“麺屋武蔵”が企業コラボ限定麺を仕掛ける理由とこだわりとは?
全国のラーメンを食べ歩くラーメンミュージシャン、井手隊長です。東京を代表する人気ラーメン店“麺屋武蔵”。新宿に総本店を構え、池袋、渋谷、上野、秋葉原など東京の繁華街を中心に積極的に出店し、15店舗を展開。「東京にしか出店しない」「全店舗味が違う」など他のラーメンチェーンにはないこだわりの施策が特徴で、1996年の創業以来、20年以上トップを走り続けている。
“麺屋武蔵”は店内にジャズを流す、券売機の導入など、それまでのラーメン界になかったものを積極的に導入し、その後のラーメン店に影響を与えてきた。女性や海外観光客でも入りやすいお店づくりは“麺屋武蔵”の存在なくして今はないのではないかと思う。
そのほかに“麺屋武蔵”が先駆けになったものとして挙げられるのは、期間限定麺の発売、数々の企業コラボである。常に話題になるものをメニューとして発信することでお客とメディアの注目を集めるのだ。リリースを配信するだけで広告は一切打たない。すべて取材と口コミで話題が広まっていく。
今回、取材したのは浜松町店の限定メニュー「冷製メーンポタージュ」。ポッカサッポロとのコラボ商品で、「じっくりコトコト冷製コーンポタージュ」を1本丸ごと使用した限定麺である。
味のイメージが強いコーンポタージュの良さを残しながら、ラーメンとして美味しく仕上げるポイントは「単調さをなくすこと」。濃厚でハッキリとした味のコーンスープはそのまま飲むのは美味しいし、麺に合わせるにはインパクトもあって最適だが、ラーメンとして一杯食べさせるには味が単調になるのだ。どこまでいってもコーンの味では飽きが来てしまうので、各所に工夫が凝らされている。
まずスープを鶏と貝の出汁で伸ばし、複合的な旨味をプラスした。
そして味変の面では、スープの味が強く、溶かす類は難しいので、通常であれば卓上調味料で味を変えていくところを、具材で表現することにした。
鶏の山椒焼きで山椒の香りを演出、オレンジとグレープフルーツの甘酢漬けで酸味を演出、大葉やミョウガなどの薬味もポイントだ。焼きもろこし豆腐は食感のアクセントになっている。
もちろんコーンポタージュに入っているコーンもそのまま全て使っているので、コーンもたくさんだ。
「一般的に味のイメージが強い商品とのコラボは、その商品の良さを生かしながら上手くラーメンっぽさを出していくのに苦労しています。今回のポイントは“酸味”ですね」(麺屋武蔵 矢都木氏)
オレンジやグレープフルーツは一見変わり種の具材に思えたが、一口食べれば、この一杯に絶対に必要な要素だとわかる。見事な味の構成だ。
「企業コラボをトライするたびに新たな味の発見がある」と矢都木氏。今後の“麺屋武蔵”の企業コラボや限定麺にも注目したい。
この日はアレンジレシピ研究家のノジーマ氏も同行して一緒に「冷製メーンポタージュ」を試食させてもらった。数々のアレンジレシピを考案しているノジーマ氏がこの一杯をどう見たのか。ぜひノジーマ氏の記事も一読いただきたい。
「冷製メーンポタージュ」は“麺屋武蔵 浜松町店”で期間限定で発売中。ぜひお試しいただきたい。
麺屋武蔵 浜松町店
住所: 東京都港区浜松町1-29-6 浜松町セントラルビル1F
営業時間: 11時15分~22時15分(偶数月の第3土曜日は20時閉店)
定休日: なし
(執筆者: 井手隊長)
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