自信がない人ほどルールに依存する!? 自粛警察の心理分析

access_time create folder生活・趣味

自信がない人ほどルールに依存する!? 自粛警察の心理分析

「自粛警察」というワードがコロナ禍に多く聞かれました。私たちの社会は、ルールによって守られていることは間違いありませんが、それに縛られ過ぎても窮屈になってしまいます。精神科医として活躍している藤野智哉医師に、ストレスから自分を守るコツを紹介してもらいました。

※本記事は、藤野智哉:​著『コロナうつはぷかぷか思考でゆるゆる鎮める』(ワニブックス:刊)より一部を抜粋編集したものです。

自分のルールを相手に押し付ける人がいる

「コロナうつ=うつ病ではありません」。

心が極度に疲れている症状ともいえるかもしれませんが、長引くことで症状が悪化する可能性があります。そのためにも、今からコロナうつと向き合う必要があります。

うつ病ではないからこそ、薬ではなく考え方などを変えていくことで、いい方向に向かっていくはずです。コロナで疲れたあなたに、ちょっと気持ちが楽になるいくつかのコツをご紹介しましょう。


▲自分のルールを相手に押し付ける人がいる イメージ:PIXTA

社会生活にルールを持ち込むことで、私たち人間は文明的な生活を営むようになりました。ルールを作り、それを守ることで危険を回避し、不快な思いをすることなく生きていくことができるからです。

私たちがルールによって守られていることは、間違いありません。

法律などの強制力の高いルールと同時に、生活マナーなどの規範も存在します。私たちは意識的に、さらに無意識にそれらの規範を守って暮らしています。ゴミ出しの日を守る、顔を合わせたらあいさつをする、などもそれに該当するのでしょうか。

マナーを守らないからといって、社会的に断罪されることはありませんが、コミュニティーで厄介者扱いされることはあるでしょう。社会生活を営む以上、近隣コミュニティーと上手にやっていくことが、ある程度は求められます。

しかしコロナの影響で感じたのは「同調圧力」が、かつてないほど高まったことです。

自粛要請が出ている中で、営業している飲食店にクレームの張り紙をする人もいました。あくまで自粛要請であり、20時までという営業時間を守っても、他の店は休んでいるのに、なんでやっているんだという不満を抱く人がいるのです。

自分がつらい思いをしているときに、他人にも同じ思いを味わわせたいと感じる人が多いことにびっくりします。

そして密告をする人たち。張り紙を貼って回ったり、お釣りの渡し方が不衛生だと店員に対して、罵詈雑言を投げかける人もいました。

そんな世の中に、息苦しさを感じた方も多いのではないでしょうか。

いきすぎた怒りが自粛警察へと駆り立てる

人間は誰しも自分なりのルールを持っているものです。ただし、自分のルールを相手が守らないからといって、相手を糾弾してよいことにはなりません。

自粛期間中は「自粛警察」という言葉が独り歩きしました。自粛警察とは、行政の休業要請対象外の店への抗議や嫌がらせをする人たちを指す言葉で、SNSなどで話題となりました。


▲いきすぎた怒りが自粛警察へと駆り立てる イメージ:PIXTA

たとえば新型コロナウイルスの感染が拡大する中、休業要請の対象外の店に対して「他の店は休んでいるのになぜ営業しているのか」などと抗議をするのです。さらにルールの範囲内であっても、外出をしている人を見かけると、警察に通報する人まで現れました。

同調圧力とは、少数に対してネガティブ・キャンペーンを行って、少数意見者がおかしいとの印象操作をすることです。

他人のルール違反が許せないという気持ちは誰にでもあるものです。

そもそも人は、なぜルールを守るのでしょう。それはこれまでの人生経験が、あなたにそう判断を与えているからに違いありません。

たとえば「信号を守ったら褒められた」という小さい頃の記憶から始まり「交通標識に従ったおかげで危ない目に合わずに済んだ」「前の車はスピードを出し過ぎて捕まったが、自分は制限速度を遵守したため違反切符を切られなかった」など具体的な利益に至るまで、ルールを守ることでさまざまなメリットを享受していたからです。

それゆえ、ルールを守ることに固執する人が現れるのです。

同時にルールを守らない人を非難することが始まります。ルールを守らない人を責めるのは、ルールを守っている人です。

ルールを守らない他人に対して怒りが湧き、それにより自分の心の穏やかさを損なってしまうのです。そして自粛警察にいきつくのでしょう。

ルールを守ることに“依存”してはいけない

他人のルール違反に目くじらを立てているとどうなるか。

やがてその矛先は、自分に向くことでしょう。きっちりとルールを守るという行為=自分の存在価値になり、価値ある人間として居続けるために、ルールを守り続けることが、生きる意味へと変説していくからです。

ルールを守ることは、社会的承認欲求を満たすことにもつながります。

「あの人はゴミ出しのルールもきちんと守るし、顔を合わせたらあいさつをしてくれる立派な人」そう思われることが、自分の満足につながるのです。だからこそ、自分に自信がない人ほど、ルールを守ろうとする傾向が強いように感じます。

自分の中に軸となる確かな価値観がないため、ルールを守ることに意義を見出してしまう。さらに言えば、生きる意味さえ見ている人がいるように思います。

自分に自信がないなんて当たり前なんです。だからといって、何かに依存することをやめましょう。まずは人に対して寛容な気持ちを持つこと。そのためには自分自身をほどよく甘やかせてあげましょう。

人に対して厳しいと、自分に対してもプレッシャーがかかる。他人のことを、まずは気にしないことから始めましょう。

ルールを守る人ほど、キチキチとした目標を立てて、それを守ることに固執したりします。だったらこれまでのルールを逸脱してもいいじゃないですか。

昔から「終わりよければ全てよし」といいますが、本当にその通りだと思います。

仕事の日は飲まないなど、きちんとコントロールできていれば、休日くらい昼からビールを飲んだっていいと思うのです。軽く昼寝をした後に、運動をすればいいし、午後からだって有意義な1日を過ごせるはずです。

「なんとかなる!」でストレスに対応する

イスラエルの健康社会学者であるアーロン・アントノフスキーによって提唱された「首尾一貫感覚(SOC=sense of coherence)」とは、ストレスに柔軟に対応できる能力を指します。

SOCは3つの感覚が揃うことで成り立ちます。

自分の置かれている状況を予測・理解できる=「把握可能感」(comprehensibility)
なんとかやっていけるという=「処理可能感」(manageability)
日々の営みにやりがいや生きがいが感じられる=「有意味感」(meaningfulness)

首尾一貫感覚を構成する3つの感覚は、お互いを補完し合うようにつながっています。最初のふたつの能力があれば日々のストレスを乗り切れます。

「まぁなんとかなるだろう」と自信を持って、前向きに状況に取り組んでいける性格傾向のことですね。SOCが強い人はストレス耐性があり、健康が維持されやすいんです。

大事なのはルールにこだわり過ぎないこと。他者のマナー違反が脅かすのは社会の平和でなく、自分の心の平和なのです。


関連記事リンク(外部サイト)

精神科医が指摘。これからコロナが拡がる原因は「不安」と「差別」
コロナ禍で露わになった自分勝手な人々と歪んだ「正義感」
悩み過ぎてしまう人へ「間取り図」妄想のススメ

access_time create folder生活・趣味
local_offer
WANI BOOKS NewsCrunch

WANI BOOKS NewsCrunch

出版社ワニブックスが運営するWEBマガジン。 “いまが旬!”のニュースをクランチ(=噛み砕いて)してお届けします。ここでしか読めない!見られない!オリジナルのエンタメコンテンツも満載。

ウェブサイト: https://wanibooks-newscrunch.com/

  • 誤字を発見した方はこちらからご連絡ください。
  • ガジェット通信編集部への情報提供はこちら
  • 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。

人魚Days
ガジェ通制作ライブ
→ガジェ通制作生放送一覧