メドが立つは「目処」と「目途」のどちらを使うのが正しい?

メドが立つは「目処」と「目途」のどちらを使うのが正しい?

仕事がひと段落したとき、「仕事の”目処”が立った」と表現することもあれば、「仕事の”目途”が立った」と表現することもあります。

しかし、どちらの漢字を使うのが正しいのか疑問ですよね。そこで、ここでは”メド”を漢字表記する際に知っておきたいことをご紹介します!

メドとは

そもそも「メド」という言葉は、どういう状況を指す言葉なのでしょうか?

メドの意味

「目処」とは、目当てや目標、物事の見通しのことを意味します。一方の「目途」は、目当てや見込みを意味します。

意味はほとんど一緒

「目処」と「目途」はほとんど同じで、目当てや目標、見通しという意味があります。

また、近い未来のことを想定して行動することや、将来のことを予測して行動することを指すこともあります。

類語としては、意図、作意、展望、狙いなどがありますが、どれも先を見据えて結論を見立てるような状況を意味する言葉です。

意味がほとんど同じなので、どちらを使っていても正解と言えるかもしれません。「仕事の目処が立つ」でもいいし、「仕事の目途が立つ」でもいいということですね。

目途の読みは「メド」ではない?

多くの人が目途を「メド」と読んでいますが、実は「もくと」が本来の読み方です。

実際に「メド」で辞書を引いても多くの場合は、漢字表記が「目処」しか記載されていません。

国の常用漢字表では「目」の音読みは「モク・ボク」、訓読みは「め・ま」です。「途」は音読みの「ト」のみが挙げられています。

そのため、「め」と「ト」を組み合わせると「めど」と読むことはできますよね。

このように訓読みと音読みを組み合わせたものを「湯桶(ゆとう)読み」といいますが、文化庁によると「○途」という熟語のうち、「○ど」と読むものは「先途(せんど)」と「冥途(めいど)」のみなのだとか。

このことから、本来「目途」の読みは「もくと」しかないということになります。

「目処」は実は当て字

目処に関しても、読みに怪しい点があります。なぜなら「処」は、通常「ド」と読まない字だからです。

辞書ではメドの漢字表記が「目処」となってはいますが、常用漢字表では「処」の読み方は「ショ」のみとしています。

常用漢字表でない、漢和辞書にある読みとしては、音読みの「ショ」以外の読みは「ソ」、訓読みで「お(る)」もしくは「ところ」です。

「ド」という読みは音訓どちらの読みにもありません。

そのため、目処や目途という漢字は当て字という扱いになり、新聞協会では「めど」を用いる際にはひらがな表記とするのが一般的となっています。

メドの由来は2つある

メドに関して明確な由来は分かっていませんが、有力な説は2つあります。1つが植物由来説で、もう1つが針穴由来説です。

植物由来説

メドの語源について、植物の「蓍萩(めどはぎ)」が由来だとする説があります。

蓍萩とは、野原に生える茎が90cmほどまで伸びる多年草です。

古代中国の易経をベースにした「占筮(せんぜい)」ともいわれる易占いでは、現在50本の細い竹の棒「筮竹(ぜいちく)」を使用しますが、かつてはメドハギの長い茎が使われていました。

このことから、易占いで使われる細い棒を「メド」と呼ぶ他、占いそのものを意味するようになりました。

昔の人にとって占いは未来の指針となる重要なものだったため、占い用語としての「メド」が転じて、近年の目標や目当てを意味するようになったと考えられています。

針穴由来説

その他、メドには「目指すところ」という意味があるのですが、これは針の糸を通す穴「針孔(めど)」を狙うところに由来するという説があります。

針の穴はとても小さく、なかなか糸を通すことができませんよね。そこでしっかりと狙いを定めて穴に入れるということが転じ、目標や目当てを持つこと自体をメドと呼んだわけです。

まとめ

「目処」と「目途」に大きな意味の違いはなく、どちらも「目当てや目標、今後の見通し」を意味する言葉です。

目途は本来「もくと」と読むのが正しいのですが、日常においては多くの場合で「目処」と同じく、「めど」と読まれています。

一方、「目処」も当て字とされていることから、新聞で用いられる際は「めど」とひらがな表記されるのが一般的です。

新聞で「めどが立った」などという表記を見ても決して変換漏れではないという事を覚えておくといいかもしれませんね。


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