暴対法・暴廃条例など、警察の取締りの強化によって用心棒代などの従来型の資金源を断たれ、生活費にも困窮した暴力団員が増えているという。
広島や福岡など、映画の影響か、なんとなく暴力団員が多そうだなというイメージがある県でもその実態は変わらないそうだ。
福岡県では県警がそうした事態に全力で取り組んでおり、2017年には、組を離脱した人が131人にも上ったそう。離脱者を雇った企業に年間で最大72万円を支給する制度が功を奏したという見方がある。
上記の実態を伝えた朝日新聞の記事(2017.01.25)には、恐怖を感じつつも、元暴力団員を雇用し、トラブルにも負けないという強い意思を見せる男気溢れる社長の話が紹介されていた…。
度重なる恐怖を乗り越え、50代の元ヤクザを雇用した男気溢れる社長の勇気に感動!!
福岡県内のある建設会社に男性が突然現れたのは、2016年6月のこと。「社長、明日から雇ってくれんか」と訪ねてきたのは50代の暴力団組員だった。
40代の社長は、男性が地元のヤクザであることを知っていた。だが体はやせ細り、所持金はわずか10円という状況に同情こそしたものの毅然とした姿勢で断った。しかし、その男性は翌日もまたやって来た…。「もうヤクザじゃ食われん。何日も食べとらん」。20人ほどの従業員を抱える社長は「ヤクザ辞めんね。更生したら雇ったる」と伝えたという。数日後、男性は最寄りの警察署で離脱を表明。社長も県警に相談し、離脱組員を雇う協賛企業になれば警察がトラブル対応の後ろ盾になり、県の給付金も得られると聞かされた。
怖さはあったが「放っておけない」と雇うことにした。(ここが男気ポイント!)
そころが、そんな心配をよそに男性はよく働いた。週6日、夕方まで大型車の運転や資材の積み込みに励んだ。「無断欠勤も遅刻もトラブルもない。びっくりするぐらい頑張っている」(社長談)。
会社への給付金は、最初の6カ月間は月8万円。そのうち半分ほどを本来の給料に上乗せし、賞与も2回渡せたという。
「評価してもらったと思えるから余計頑張ってくれていると思う」(社長談)。給付金の一部は会社の運転資金にも充てているという。
一度だけ、やっかいなことはあった…。男性を捜す組員らしき2人組が「ここにおろうが。出せ」と乗り込んできたのだ。雇ったことへの後悔が頭をよぎったが、県警に相談すると、2人組の側から「(男性を)よろしくお願いします」と連絡があり、丸く収まったという。
逆にうれしい出来事も…。「家族とはもう一生会えない」と言っていた男性のもとに、暴力団を辞めて働いていると知った子どもたちが会いに来たという(ここが感動ポイント)。
「うちにも本人にもプラスだし、ヤクザが減れば街も良くなる。一石何鳥にもなっている」と社長。
働きたい離脱者がいれば、雇用を前向きに検討したいと話しているそう。
【出典】
「朝日新聞」(2017.01.25)
組離脱131人、最多更新 「就職支援が奏功」 福岡県警【西部】
確かに元とはいえ、暴力団の方を雇うというのは勇気がいることだろう。
40代社長の勇気ある決断には本当に脱帽だ!!