いじめや虐待などの「犯罪」をなくすため… 子どもにもわかりやすい「法律の本」
皆さんの中には「法律」と聞いて、ややこしくて難しいものというイメージを抱く方が多いかもしれません。それだけに、「子どもは知らなくても問題ない」と勝手に思ってしまってはいませんか? しかし、いじめ、肉体的・精神的な虐待、SNSでの誹謗中傷、お金や持ち物を奪われるなど、子どもの世界にも「犯罪」は存在します。もし被害に遭ったとき、自分を守る武器となるのが、社会のルールである「法律」です。
山崎聡一郎さん著『こども六法』の出版元である「弘文堂」のウェブサイトには「子どもは法律を知りません。誰か大人が気づいて助けてくれるまで、たった一人で犯罪被害に苦しんでいます。もし法律という強い味方がいることを知っていたら、もっと多くの子どもが勇気を出して助けを求めることができ、救われるかもしれません」と書かれています。法律を知ることが、子どもにとっても非常に大事なことだとわかりますね。
では、本書にはどんなことが書かれているのでしょうか。
「六法」とは通常、日本国憲法、刑法、民法、商法、刑事訴訟法、民事訴訟法の6つの法律を指しますが、本書では子どもとあまり関係のない商法の代わりに、少年法、いじめ防止対策推進法を合わせた計7つを法律ごとに章立てで紹介。子どもが読むことが前提なので、小学生でも読めるように漢字にはすべてルビをふり、難しい用語もできる限り噛み砕いて解説されています。
たとえば、第1章「刑法」では「刑法は破ったら国から罰を受けるルール」「罰金は国に払うお金だよ」「裁判でうそをついてはいけないよ」、第2章「刑事訴訟法」では「現行犯逮捕は誰でもできるよ」「どんなに軽い犯罪でも裁判になっちゃうの?」などの項目が、見開き形式でイラストを交えてわかりやすく説明されています。
第3章「少年法」には「子どもだからといって謝るだけでは許されない」「14歳以上は大人と同じ罰を受けることもあるよ」などの項目があり、第5章「民事訴訟法」には「いちばん大事なのはお互いに納得すること」「目に見えない心の傷も償ってもらうことができる」などがあります。ただ法律を説明するだけではなく、「苦しんでいる子どもの心に寄り添う本に仕上げよう」という著者・山崎さんの優しさが感じられます。
また、本書は特に「いじめ」に重きが置かれています。それは山崎さん自身が子どものころにいじめ被害に遭い、自身がいじめ加害者になったこともあるという中で、いじめ問題の難しさを実感してきたからなのでしょう。いじめは、外部から状況判断しづらいケースも多く、ときに子ども同士の「いじり」と誤って受け取られたり、事を荒立てず丸く収めるよう求められたりといったことも起きがちです。しかし、「いじめは犯罪である」「場合によっては法律で罰を受けることもある」という認識がもっと子どもたち、親たち、教育者たちの間に浸透すれば、いじめに対する流れも変わるに違いありません。
子どもたちに読んでほしいのはもちろんのこと、大人も一緒に本書を読んで、法律についていま一度確認してみてはいかがでしょうか。もし子どもが被害に遭ったときにどう対処すればよいか、本書が一つの指針になり得ることと思います。
■関連記事
100年経たずに人口半減!? 20年後の日本人はどこに暮らしているのか
ある日身近な人が加害者にならないとも限らない…「万引き依存」とは
「ワセジョ」はおしゃれに、「慶應ボーイ」はバンカラになった?
- ガジェット通信編集部への情報提供はこちら
- 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。