草下シンヤ「半グレ」ドブのような世界こそ、世の中の真実があるような気がしてならない #とにかく癒されたいときのカルチャー

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草下シンヤ「半グレ」ドブのような世界こそ、世の中の真実があるような気がしてならない #とにかく癒されたいときのカルチャー

ドブのような世界こそ、世の中の真実があるような気がしてならない

 
 妹の学費を稼ぐために、何としてでも就職しなくてはならない。就職活動で何十社も受けてもどこにも受からなかった真が唯一受かった会社は反社会系企業だった。表の顔はイベント会社だが、裏の顔はマネーロンダリングや詐欺などを中心に生計を立てている半グレ会社だ。入社早々、社長が逮捕され、「名義だけでもいいから社長をやってくれないか?」というところから始まる裏社会でのサクセスストーリーである。
 
 初めは、大学あがりの純粋無垢な青年だったが、反社会と長く付き合うにつれ、この汚い世界が世の中の真実なのではないかと思い始め、裏社会へどっぷりと漬かっていく。「ムショに3年入っても、3億残れば年収1億。」「稼ぎのない犯罪者は警察を恐れ、金を持った犯罪者は税務署を恐れる」「捕まったときに”正直”はいけない。大切なことは”ズルい”こと。」など、読むだけで裏社会で生きていくための考え方が身につく。
 
 架空のイベントを興行し赤字申告をして税金対策をしたり、探偵事務所を作り詐欺などで稼いだ汚れた金を売り上げとして計上し、きれいな金にロンダリングしたりなど生きるための知恵がふんだんに盛り込まれている。半グレとヤクザの関係性、半グレと芸能プロダクションの関係、芸能界の薬物汚染など、元ネタを辿ると、この事件のことを言っているのではないかと現実の事件との照らし合わせをするのも楽しい。
 
 どんな世界に生きていても、義理と人情が大事だが、甘さを見せるとそこに、つけ込んでくる大人がいるということが非常に良く描かれている。当書を読んでいると、政治家の汚職や天下りと反社会の生計の立て方はとても似ていると感じる。
 
 物事のきれいな面だけみていても、知らないところでボロ雑巾のように使い捨てられるだけである。裏の汚いドブのような世界こそ、世の中の真実があるような気がしてならない。(阿佐ヶ谷ロフトA:山崎尚哉)
 

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