サラリーマンよ、炎の飛龍「藤波辰爾」に学べ! (常見陽平)

サラリーマンよ、炎の飛龍「藤波辰爾」に学べ! (常見陽平)

お前ら! プロレス観ているか? 今、何度目かのプロレスブームがきているゼ。新日本プロレスの夏の『G1 CLIMAX』は超満員札止めだったゾ。オレは秋の10月8日両国大会のチケットが取れるかどうかで、今からドキドキしているぜ。

「常見さん! あの、プロレスなんて八百長です!あんなの観て、楽しいのですか?」

バカヤロー! ドーン、ドーン(机を叩く音)! バリーン(窓ガラスを割る音)。お前は、プロレスを、いや社会と会社を、1ミリも分かっていない! お前の脳みそは、まるで、おはぎのようだよ!

いいか、プロレスは、真剣勝負なんだ!(ちゅどーんと爆発音を鳴らすこと)プロレスとは、闘いを演じるライブスポーツエンターテイメントである。あのリングで受身を取り、ロープに飛んで戻ってくるだけでもかなりの体力を消耗する。技を受け、かける、闘いを演じるという点において、プロレスは真剣勝負なのだ。プロ野球や大相撲のように賭博が行われることがないという点においても、プロレスはクリーンだ。大相撲のように、八百長が行われることもないぞ。

そして、プロレスとは社会の、会社の縮図だ。世代闘争、軍団闘争、場外乱闘、反則攻撃……。残業を減らせと言われつつ、思わずサビ残(サービス残業)をさせられ、「時間無制限一本勝負」と化している状況もあったりするぜ。

いいか、企業社会を読み解く上では、プロレスは必修科目なのだ。文科省も柔道必修化とか言ってないで、プロレス観戦を必修するべきだぜ。

「常見さん、好きな団体とか、レスラーっているんすか?」

なんだよ、いきなり。馴れ馴れしいな。いや、でも聞いてくれて嬉しいぜ。今は毎週テレビで新日本プロレスを観ていて、特に真壁刀義と中邑真輔、棚橋弘至が好きだぜ。逆に後藤洋央紀とオカダカズチカは苦手だけどな。

でもよ、サラリーマンのお前らが参考にすべきレスラーがいるぜ。それは、炎の飛龍、マッチョドラゴン、藤波辰爾(ふじなみたつみ)だぜ。

「常見さん、藤波っていかにも不甲斐なさそうじゃないですか」

バカヤロー! 藤波は長州や大仁田と違って一度も引退したことないぜ。そして、80年代の藤波辰爾はやけどしそうなくらい熱く、ナイフみたいに尖っていたぜ。

ぜひ、観てもらいたい映像があるぜ。1つは「飛龍革命」だ。説明すると面倒くさいから、ググれ。YouTubeに動画があるぜ。藤波は猪木に、前髪をハサミで切って直談判したぜ。「やらせてください」と。滑舌悪くて聞こえないけどな。サラリーマンたるもの、時にはこういう直談判、アピールが大事だぜ。やりたい仕事があったら、上司の前で髪切りアピールだぜ。

ちなみに、オレもアピールしたいことがあって、先日、『文化系トークラジオLife』に出た時に、パーソナリティーのCharlieこと関西学院大学准教授の鈴木謙介先生に、ハサミを持ちだして髪切りアピールしたが、誰も理解してくれなかったぜ。唯一、拾ってくれたのが速水健朗さんだ。あ、新作の『都市と消費とディズニーの夢』(角川ONEテーマ21)は必読だぜ。

次に、「お前、平田だろ」でググれ。これも説明が面倒だからググれ。映像もYouTubeにあるぞ。この言い回し、人に何かを指摘するときに使えるぜ。ドロドロした社内恋愛の三角関係にハマったら「お前、兄弟だろ」と言えば、一気に仲良くなれるかもだぜ。

極めつけはな、「こんな会社、辞めてやる」だ。これもググれ。まあ、説明は不要だがな。会社員生活を終える、ここぞという時に使うんだぞ。ちなみに、オレは最初の会社を辞めるとき、このセリフが入ったTシャツをもらったゾ。

というわけで、お前ら、サラリーマンはな、プロレスを観るんだよ。藤波辰爾に学ぶんだよ。分かったな!

(常見陽平)

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