16年の時を経て大型アップデートを果たした全方位フリーSTG『WINGED GEAR NEW VERSION』

access_time create folderゲーム

かと言って、戦闘が長時間続くような設計になっていないのが絶妙。フロアを順に巡っていく構成も相まって、全滅後には決まって次への移動という名の休憩時間が挟まるので、疲労が蓄積することもなく進めていける。戦闘時間も何十分もかかるような例もほとんどなく、大抵が長くても1分程度。適切に立ち回れば数秒ほどで全滅させるのも夢じゃない程度にテンポを重視しているのだ。
16年の時を経て大型アップデートを果たした全方位フリーSTG『WINGED GEAR NEW VERSION』

それも相まって、終盤のボス戦まで適度な緊張感を維持したまま進めていける。基本、どのエリアのフロアも集団の敵を全滅させることばかりで、その点に関しては率直に言って、単調さは否めない。だが、敵バリエーションはそれなりに豊富で、一部、ギョッとするような組み合わせと弾幕を展開する大技で攻め込んでくるので、不思議と同じことの繰り返しでありながらも駆け引きの楽しさはしっかりしている。何より、どんなにギョッとするような敵の攻撃があっても、戦闘決着時間の平均に揺らぎはない。

この辺の塩梅が見事で、心地よい緊張感と難局を乗り越えた時の達成感を提供してくれる。何より、その同じことの繰り返しでありながら、キモである敵との戦闘は常に油断ならない下りが、往年のアーケードゲームらしさに富んでいる。入り組んだ展開を作りたくも表現の制約で難しい。ならば、その制約下でキモと言える部分の作り込みだけは徹底してやり通す。本作もそんな意図を込めて作った形跡がフロアごとの構成や戦闘シーンにて醸し出されており、不思議と夢中になって遊んでしまう楽しさが表現されている。当時のゲームに慣れ親しんだ人のノスタルジーを喚起させる要素に秀でているのだ。
16年の時を経て大型アップデートを果たした全方位フリーSTG『WINGED GEAR NEW VERSION』

なので、直撃世代ならば新作ながらもあの頃にタイムスリップしたかのような気分に浸れるのも大きな見所。実際にアーケードゲームらしさは、エリア構成や戦闘というキモを大事にした作りに留まらず、グラフィックから音楽、効果音と言った表現面においても徹底しており、どれもこれも”それっぽい”。中でもグラフィック、スコアやメニュー画面などで用いられているフォントのデザイン諸々には、「これぞあの頃のアーケードゲーム!」な納得感を抱けるはずだ。
16年の時を経て大型アップデートを果たした全方位フリーSTG『WINGED GEAR NEW VERSION』

アーケードらしさ抜きに1エリアごとの密度も圧巻だ。総数で見ると5つで少なめだが、フロアの数は後半になるほど30以上に及んだりするので、全く持って物足りなさを感じさせない。しかも、エリアによっては分岐もあるから、1回クリアしたらそれで完全終了とはならず、再び別のルートを通ってみるセカンドプレイの楽しみが残る。そう言った遊び方をしたい人を対象としたエリアセレクト機能も備わっているので、思わず”分かってらっしゃる”と言いたくなるはずだ。

セレクト機能に関しては、最初から全てのエリアが解禁された仕組みになっているのも思い切っている。順番に巡ってもいいし、いきなり最後から始めてしまっても構わない下りには、どんな形で遊んでも大いに良しの懐の広さが現れている。もちろん、初見時に後半から始めたりすれば痛い目を見るが。
ただ、難易度選択機能を使う突破口があるなど、完全に門前払いの憂き目に遭う訳ではない辺り、良心的ではある。この辺はいかにも今なりの作りといったところだ。
16年の時を経て大型アップデートを果たした全方位フリーSTG『WINGED GEAR NEW VERSION』

アーケードゲームらしい懐かしさを徹底させつつ、極度に人を狭めるようなことは抑える。ゲームのキモを大事にする作り込みも見事ながら、遊びやすさへの配慮も押さえる所は絶妙の塩梅と言ったところだ。一応、アップデート実施前は後者に関し、至らない部分が残っていたらしいが、それが改良されたことで、本作の完成度はさらに底上げされている。

ある有名なクリエイターの発言で、「ゲームは2回つくると面白くなる」というのがあるが、本作はある意味、そのことを顕著に表した例と言ってもいいかもしれない。まあ、厳密には2回作るというより、根幹を見直して更新した形なので大分ズレるのだが。

16年経っても色褪せない魅力を持つ良作

16年の時を経て大型アップデートを果たした全方位フリーSTG『WINGED GEAR NEW VERSION』

ただ、首を傾げる箇所も僅かに。特に敵の耐久力。ここもアップデートに当たって再調整を実施し、倒しやすくした……とあるのだが、まだ固い印象がある。特に後半、弾幕を展開してくる敵との戦いではその点が顕著に現れていて、もう少し詰める必要があったのでは、と思う次第だ。そのような敵が頻繁に現れる構成に関しても疑問符が浮かぶ。幸い、自機の当たり判定は適切なサイズで、至近距離で弾を当てれば大きなダメージを与えられるようにはなっているのだが(おまけにスコア倍率が16倍になる!)、シチュエーションはもう少し自重してよかったように思う。

攻撃に関しても基本、ワイドとパワーの2種類しかなく、戦術面で単調さが出てしまっているのとも気になるところだ。意図的にこうしている可能性もある上、このおかげで取っ付きやすさを表現できている部分もあるので難しいところだが。
16年の時を経て大型アップデートを果たした全方位フリーSTG『WINGED GEAR NEW VERSION』

また、もの凄く気になる所で、攻撃を撃ち込んでいる時に音が鳴らないのも寂しい。爆発音はちゃんとしているだけに、撃ち込んでいる時の音にしても、倒したという手応えを確かなものにするため導入していただきたかった。

そう言った気になる点も多々あるが、80年代のアーケードゲームをオマージュした作品としての出来はよく、戦闘もシンプルながら油断ならない手ごわさが演出されていて面白い。実は全てオリジナルという楽曲へのこだわりと仕上がりも見事だ。
16年の時を経て大型アップデートを果たした全方位フリーSTG『WINGED GEAR NEW VERSION』

元が2004年製、相当古い作品ではあるが、16年近くが経過した現在にプレイしても面白さと魅力は色褪せず、新たなアップデートによって、より遊びやすさが増した作品に進化している。当時の旧バージョンをプレイした人も、初めて本作のことを知った人にもおすすめできる良作だ。特にシューティングゲーム、80年代のアーケード作品を楽しんだ方で未プレイであればぜひ、ダウンロードしてみて欲しい。

懐かしくてどこかで見たような、けれども新しい……不思議な体験を味わってみよう。

[基本情報]
タイトル:『WINGED GEAR New Version』
制作者: ZAP
クリア時間: 1時間半~2時間
対応OS: Windows
価格: 無料

※ダウンロードはこちら
https://www.freem.ne.jp/win/game/21910

関連記事:

見た目以上に熱い展開目白押しのフリゲSTG『VASTYNEX』。五つの武装を駆使して、変形を繰り返す”ヤツラ”を撃ち落とせ!
何度も挑んで自機を強くし、禍々しい”なにか”を滅せよ。電波系フリゲ弾幕STG『AruMa KeteRa』
あのオンラインシューターRPG『The Division』開発元のテクニカルディレクターが作った、”もしも”の80年代”後半”風短編STG『Death Strike』

前のページ 1 2
access_time create folderゲーム
もぐらゲームス

もぐらゲームス

もぐらゲームスは、ゲームプレイヤーとゲームクリエイターのためのWEBサイトです。 フリーゲーム、インディゲーム、アナログゲームを中心に、個人クリエイターや小規模なクリエイター集団が制作したゲームの紹介や、インタビューを行っています。

ウェブサイト: http://www.moguragames.com/

  • 誤字を発見した方はこちらからご連絡ください。
  • ガジェット通信編集部への情報提供はこちら
  • 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。

人魚Days
ガジェ通制作ライブ
→ガジェ通制作生放送一覧