AI技術は道路インフラも劇的に変える!「ROAD-S(ロードス)」システムがすごい

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最新テクノロジーを活用して、道路インフラの点検作業を劇的に効率化している土木管理総合試験所。従来のマンパワー頼りのアナログな点検作業の課題を、テクノロジーによって解決に導く「土木テック」の最新事情を担当者に聞いた。

普段クルマを運転しているとよく見かける道路のインフラ点検や工事。従来の橋梁の定期点検は目視と打音による人海戦術で行われており、人件費や長時間の車両規制などさまざまな問題を抱えていた。

ひび割れなど道路状況の点検も、電磁波レーダによる高速調査が行われていたものの、取得したデータの解析には熟練の技術が必要となり、結局はアナログのマンパワー頼りに。

そんな状況を劇的に改善する「土木テック」の取り組みの1つが、土木管理総合試験所が手がける「ROAD-S(ロードス)」システムだ。AIのアルゴリズムを使って、数か月かかっていた点検作業がなんと数分で済んでしまうという。IT技術によって従来の作業スピードが劇的に向上する。

このシステムは内閣府主導のSIPと東京大学と共同で開発された調査データの自動解析技術を取り入れることで、3Dレーダ探査車を道路で走らせるだけでAIが自動的に損傷箇所を多角的に検知してデータ化。

工期の短縮化により、人件費をはじめとしたコストも1kmあたり100分の1程度に削減される。従来の点検工事では、道路のアスファルト部分を剥がし、中のコンクリートに異常がないか点検、異常部分を修繕し、再度アスファルトを被せるという工程を踏む。

それに対して、ROAD-Sは車を走らせるだけで異常箇所を判定できる。結果として工事の総数が減り、ドライバーを悩ませる交通規制も減少するので、車移動でのストレスも軽減され、ありがたい。

そもそもインフラメンテナンスが重視される背景には、2012年12月に発生した中央自動車道笹子トンネルの崩落事故が影響している。多数の死者を出した事故以降、国土交通省はインフラストックに対する点検・維持管理を5年ごとに実施することを義務化。各自治体は維持管理計画を遂行するために、調査・設計をして修繕工事を随時行っていくワークフローを形成していた。

「ROAD-S」の最大の特徴は、取得された全国の道路状況がビッグデータとしてライブラリ化されることにある。これによって、各自治体は「ROAD-S」にアクセスして、調査したい範囲の道路状況を確認。問題点がある箇所をいちはやく見つけ出して、修繕工事をピンポイントで行えるようになるのだ。従来の方法では、築年数から劣化状況を予測して異常度の調査を行っていたため、「見当違い」もあったのだという。WEBでアクセスするだけで、異常地点がわかるようになるのだから、画期的なシステムと言えるだろう。

特別に「ROAD-S」の体験版のデモンストレーションを見せていただくと、マップに表示された道路状況からひび割れや陥没につながる目に見えない地下の空洞の有無など、100mごとに視覚的なデータで確認することができた。UIも非常にわかりやすく使いやすそう。

赤色部分は異常が大きい箇所で、青色部分が平常箇所だと言う。色で異常度がわかるので、専門的な知識不要で、誰が見てもひと目でわかる。

データだけでなく実際の現場を確認したいという場合もあるが、これも探査車によって複数視点から映像で周辺の状況を記録したものを確認できる。映像をはじめデータはダウンロードが可能。

現在はビッグデータ化のためのデータ集積を行なっている最中とのことだが、すでに首都高を除く全国の高速道路と主要な国道を多数データ化。全国網羅に向けて鋭意情報取得中で、今後は道路管理者や自治体の求めがあった場所を優先してデータ取得をおこなっていくという。

この「ROAD-S」に用いられている解析技術は、ほかの分野への応用も視野に入れて、さらなる開発が進められているとのこと。山々の紅葉の度合いを瞬時に測定する機能が検討されているが、調査段階で撮影した映像をVRで見られるようにすることで、一般の人でも楽しめる「VRドライブ」が提供できるのではないかと感じた。このように限りない刺激的なアイデアが出てくるのも、優れた技術あってこそ。

土木管理総合試験所では、従来のマンパワーで調査してきた経験をベースにして、人材不足が叫ばれる現代に適した最新技術への応用にチャレンジしている。ROAD-S以外にも、土質試験の自動化や3Dスキャナを利用した測量調査の効率化なども展開。北海道では「土木テック」の研究専用設備も、今年の開設に向けて着工されているとのこと。

道路の点検周期は、国定義務としては5年に1度。土木管理総合試験所による土木テックの取組みやインフラ点検事業は、50年、100年先のインフラの安全を支える試金石になるはずだ。そこで取り組まれている最新技術にも注目していきたい。

株式会社土木管理総合試験所公式サイト:
https://www.dksiken.co.jp/

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