怠けるを意味する「サボる」は、フランスの木靴に語源があるってどういうこと?
仕事や勉強など、人間だれしも一度は何かを”サボった”ことがあると思います。
疲れてるから筋トレはやめておこうとサボったり、塾の時間だけれど行くのをサボったり……思い当たる人は結構いるのではないでしょうか?
このように動作を怠けることを表現するのに使われる「サボる」という言葉ですが、元となった言葉である「サボタージュ」は実は違う用法で使われています。さらにその由来となったのは、一見なんの関係もなさそうな「木靴」にあるそうなのです!
今回は「サボる」の由来となった言葉、「サボタージュ」の用いられ方とその語源についてご紹介します。
「サボる」とは
「サボる」は日本でどのように用いられているかを、まずは確認していきましょう。
サボるの意味
「サボる」の主な用いられ方は2つあります。
1つは「怠ける」の意味です。しないといけないことを億劫だからとおざなりにした際に使われます。
そしてもう1つは、「ズル休み」という意味です。調子が悪いわけでもないのに学校に行かなかったり、大学の講義を受講しないで食堂で友達と過ごす様子を表現する際に用いられます。
サボるの類義語
怠けるという意味のサボるは他にも、「横着」「無精(不精)」といった類義語があります。
「フケる」という言葉もまた”ズル休み”の意味があります。フケるが使われる歴史は意外と深く、江戸時代から「逃げる」ことや「(駆け落ちして)行方をくらます」という意味で使われていたそうです。
現在のように「授業を途中で抜け出す」といった具合に使われるようになったのは、1970年代後半に到来したツッパリブームの時のことで、不良少年たちを中心にして普及していきました。
サボるの対義語
サボるにある意味は2つとも怠惰な様子をあらわしていますから、「勤しむ」や「がんばる」「励む」という積極的な動作が対義語になります。
サボるは、元の言葉とは使われ方が違う!
怠けたりズル休みを意味する「ズルい」という言葉ですが、元となった言葉とは用法が異なります。ここからは元々の言葉が何なのか、そしてどのような意味で使われているのかを解説します。
フランス語の「サボタージュ(sabotage)」
「サボる」の元になった言葉はフランス語の「サボタージュ(Sabotage)」で、「破壊行為・妨害活動」という意味があります。
また、「労働争議の中で行われる破壊活動」という意味で使われたことから、現在は「労働争議」自体をあらわす言葉として使われています。
他にもネガティブキャンペーンにより相手の社会的信用を損なうような妨害活動もサボタージュという言葉に含まれます。
大正時代から使われるようになった表現「サボる」
「サボる」という表現が使われるようになったのは大正時代のことだといわれています。
当時の日本では、集団で勤務を行わない「怠業」などによる労働争議で行われており、この中でサボるという表現が生まれたとされています。
最初は日本でも労働争議の意味で「サボる」という言葉が使われていたようですが、次第に労働争議の側面、「怠業」の部分だけにスポットが当てられた言葉になってしまったようですね。
「サボる」の語源が木靴にあるってどういうこと?
俗語としてすっかり定着した「サボる」の元となった「サボタージュ」。この言葉の語源は一見「破壊活動」などとは結び付かない、木製の靴「木靴」にあるといいます。
語源はフランスの木靴「サボ(sabot)」
サボタージュという言葉が生まれたのは産業革命の初期の事だといわれています。
当時、労働者階級の人々は高価な革製の靴を買うことができないため、木をくりぬいて作る「サボ(sabot)」と呼ばれる木靴を履いて過ごしていました。
ある時、労働者が木靴を履いたまま機械を蹴り壊してしまいました。これを由来として、破壊行為と木靴の「サボ」が結びついて「サボタージュ」という言葉が生まれたともいわれています。
まとめ
日本語では「怠ける」や「ずる休み」といった怠惰な行為をあらわす際に使われる「サボる」ですが、元となったフランス語の「サボタージュ」では破壊行為や妨害活動といった物騒な意味で用いられる言葉です。
労働争議をあらわす際にも使われますが、これは労働活動では古くから破壊活動なども付きまとったためとされています。
語源も労働者が「サボ」という木靴で機械を蹴り壊したからだ、という説の他にも「木靴を履いた労働者階級の仕事の遅さ」や「労働者階級による質の低い仕事」を揶揄したのが始まりとされています。
いずれにせよ、あまり感じのいい起源ではないようですね。
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