【シゴトを知ろう】漁師 編

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【シゴトを知ろう】漁師 編

海に船をだして魚介類やノリ・ワカメ等の海藻類を採ったり、養殖して収穫したりする漁師さん。海と共に生きる自然相手の仕事には、会社員には味わえないやりがいや苦労があるはずです。今回は宮城県・東松島湾でノリ養殖に従事し「奉献乾海苔品評会」で優賞した経験から、講演活動も行っている漁師・相澤太さんにお話を伺いました。

「おいしい」と喜ぶ笑顔を見ることが一番のやりがい

Q1. 仕事概要と一日のスケジュールを教えてください。
宮城県の東松島市・石巻湾でノリ養殖業を営んでいます。祖父の代から三代目となります。毎年秋から翌春にかけてはノリの収穫と加工を行い、夏場のオフシーズンには魚を採る仕事をしています。収穫の繁忙期には、収穫したノリの加工に夜通しかかることもあり、仮眠を取りながら朝まで作業を続けてそのまま船に乗る日もあります。

6:00 日の出とともに出航、ノリの収穫
9:00 収穫を終え、帰港
9:30 浜の近くの工場でノリ加工開始
午後~深夜 パートの女性含め5人でローテーションしながらノリ加工を続行
翌6:00 仮眠後、再び出航

Q2. 仕事の楽しさ・やりがいは何ですか?
 
やはりおいしいノリを作れたとき、そして自分のノリを食べた方の笑顔を見られたときが、一番やりがいを感じる瞬間です。人は「おいしい」と思ったときに本当にいい笑顔をしています。お客さんの顔を見ればノリの出来が分かります。
また、皇室に献上するノリを決める「奉献乾ノリ品評会」で2004年に準優賞、2009年に優賞の栄誉に預かれたのは、自分の努力が認められた証として大変うれしかったです。
そして、経営者としてはノリが豊作で利益が上がり、従業員にボーナスが出せるのも喜びの一つです。頑張ったら頑張った分だけリターンの大きい仕事ですので、自然とやる気が出ます。

Q3. 仕事で大変なこと・つらいと感じることはありますか?
波が高い日は船が大きく傾いて海に落ちそうになるなど、常に危険と隣り合わせの仕事なので神経を使いますが、それをつらいと感じたことはありません。船に乗るのも収穫するのも、自分にとっては楽しくて仕方がありません。力仕事なので体はクタクタでも、いつも楽しんでやっています。

父の一言がきっかけとなり、高卒で三代目の跡継ぎに

Q4. どのようなきっかけ・経緯でその仕事に就きましたか?
東松島市で生まれ育ち、祖父の代からずっとノリ養殖の仕事を見て育ったので、海がそばにあるのが当たり前という環境でした。小学校の頃は将来の夢に「漁師」と書いていたのですが、中学以降は周りの友達同様に「スポーツ選手」などに変わりました。父親からも「仕事を手伝え」「後継ぎになれ」と言われたことは一度もなく、実際に作業をしたこともないまま中学・高校へと進学しました。
高校を卒業する時点で同級生たちは、普通の会社員になったり大学・専門学校へ進学したりする者がほとんどで、漁師になるという友達はゼロでした。自分も何となく「どこかの会社に入って何年か勤めて、飽きたら家業を継ごうかな」とぼんやり思っており、その話を父にしたら、そこで初めて「漁師をやるなら今のタイミングしかない。中途半端なら継がせない」と叱られ、目が覚めました。
漁師は簡単になれるという甘い仕事ではなかったのです。「サラリーマンに飽きたら漁師になればいい」という甘い気持ちで就ける仕事ではないと、今の自分には痛いほど分かります。その言葉をきっかけに奮起し、卒業と同時にノリ養殖の世界に飛び込みました。
 
Q5. 高校などでは何を学びましたか?
 
進路についても何も言わない親だったので、水産高校でなく普通科の高校に入って、いわゆる普通の高校生活を満喫していました。勉強はあまりせず、サーフィンしたり夜な夜な浜辺でラップの作詞をしたり、遊んでばかりいましたね(笑)。昼も夜も、海はいい遊び場所でした。
 
Q6. 高校生のときの経験が、現在の仕事につながっていると感じることはありますか?
前述したとおりの高校生活でしたので、自分の高校生活が今の仕事に結びついていることはあまりありません。ただ、漁師仲間には水産高校出身者が多く、彼らの話を聞いていると、水産高校で学ぶ実技や学科は漁師の仕事にかなり役立っているようです。そしてそれ以上に、水産高校を出ていると、濃い人間関係が生まれますし、卒業後に漁業に就いてからも仲間同士太いパイプができます。漁師を目指すなら、水産高校で学ぶメリットは大きいと思います。

「他の漁師よりも多く、良いものを」という負けず嫌いな気持ちが必須

Q7. どういう人が漁師という仕事に向いていると思いますか?
ずばり「負けず嫌いな人」です。漁師という仕事は「人よりも多く水揚げを上げたい」という気持ちが欠かせず、養殖漁業であっても「少しでも良いものを育てたい」という思いは一緒。もっともっと、という貪欲さが絶対に必要ですね。海に出て漁をしていると他の漁師の動きがつぶさに見えます。そこで「あいつがまだ残って漁を続けるなら、俺も残ろう」と強烈なライバル心が生まれます。
あとは、手先が器用だと、網の引き方や竿の振り方など、有利なイメージがあるかもしれませんが、それはあまり関係ありません。何事も好きで毎日やっていれば、自然と上達するものです。逆に毎日やっていたとしても嫌々やっているのなら、何も身に付きません。
 
Q8. 高校生に向けたメッセージをお願いします。
私は中学生や高校生向けのワークショップなども数多く行っていますが、そういう場で必ず話すのは「個性をつぶし合うな」ということです。大人になって働きだすと、いろいろな人のさまざまな能力が必要になってくるものです。一人一人違うのは当たり前ですので、個性や持ち味を認め合って、お互いを伸ばしていってほしいですね。
  
 
祖父・父ともにノリ養殖の漁師でありながら、意外にも「跡継ぎという意識はまったくなかった」とおっしゃる相澤さん。高校までは漁業とは直接的には関係のない道を進んだものの、最終的には“海に呼ばれて”三代目を継ぐやいなや、20代の若さで皇室献上海苔を二度も産出するなど漁師としての能力を発揮されています。ワークショップなどの講演活動などにも積極的に行っており、今後ますますの活躍が期待されます!
 
 
【profile】アイザワ水産 代表 相澤太


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