3万点以上のアートをリアルに表示する「Meural(ミューラル)」って?

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NETGEARの「Meural」は、絵画や写真といったアート作品を表示させるためのスマートアートキャンバス。テレビやモニターなどのディスプレイとは何が違うのか? どんな用途で使われているのか? 発売元のネットギアジャパンに取材しました。

取材に対応してくれたのは、ネットギアジャパン合同会社の幸田彩希さん。

−−ネットギアといえば、Wi-Fiルーターやスイッチングハブなどのネットワーク製品のイメージが強いですが、なぜ絵画を表示する専用デバイスを?

幸田さん「ネットギアはおっしゃるとおり、インフラの会社ですが、近年はライフスタイルの領域に踏み出しています。そうした背景もあり、Meuralを開発したアメリカ・ニューヨークのベンチャー企業Meural社を2018年に買収しました」

−−Meural社は、このデバイスを開発するために作られた会社なんですね。

幸田さん「ええ、絵画は高価で買える人が一部に限られます。しかも、保管なども大変で、気軽に楽しめるものではありません。もっと、生活の中にアートを取り入れてほしいと開発されたのがMeuralです」

27インチのIPS液晶(解像度は1920×1080)を採用。木製フレームの『MC227HW-100AJS』は参考価格16万8000円。

 

−−実物を初めて見ましたが、電子機器っぽさは皆無ですね。木の額縁の存在も大きそうです。

幸田さん「こちらは米国産のくるみ材を使用しています。他にもブラックとホワイトが選べ、そちらはぐっとモダンな印象になります」

−−ディスプレイがノングレア(非光沢)で映り込みがないのも、リアルな絵のように見える理由でしょうか。

幸田さん「色や質感をリアルに見せるために、True Art Technology(トゥルーアートテクノロジー)という特許技術を使用しています。絵が鮮やかに見えるだけでなく、筆遣いまでが感じられるんですよ。また、照度センサーが内蔵されており、周囲の明るさに合わせて明るさを自動調整しています」

ぱっと見は完全に絵画。暗い部屋でビカビカ光るようなことがなく、反射光で見ているようです。近くに寄って見てみると……。

−−間近で凝視すれば液晶のドットも認識できます。それでも作品によっては、まるで絵の具が盛り上がっているような3D感があります。

幸田さん「ゴッホなどの油絵ではとくにそう感じられると思います」

ジェスチャーセンサーを内蔵し、手の動きで作品情報の表示や各種設定が行えます。

−−メモリーはどのぐらい積んでいるのでしょう?

幸田さん「4GBです。1枚のアートはそれほど容量が大きくないので、かなり余裕があります」


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サブスクで用意される作品数は3万点以上

−−作品はどう選んで表示するのでしょう?

幸田さん「クラウド上に3万点以上のアートコンテンツがあり、スマートフォンのアプリやPCから選択して追加します。プレイリストは、アーティストはもちろん美術館や、カテゴリー、赤っぽい作品など様々に用意されています。お気に入り作品を集めてプレイリストを作り、あなただけのキャンバスを楽しめるのが最大の特徴です」

 

アプリからプレイリストを選択すると、本体がWi-Fiで自動ダウンロードする。

 

−−横位置の作品があると思いますが、どう表示されるのでしょう?

幸田さん「それは設定次第です。置き方に最適な作品だけ表示する設定にもできますし、混在させることもできます。縦置きで横位置の作品を表示させる場合、上下にスペースを表示させるか、トリミングして全体表示、どちらも選べるようになっています」

−−横置きになると、キャンバス自体また違った印象となりますね。

幸田さん「たとえば、『富嶽三十六景』は横位置のものが多いですし。本体を簡単に縦横に動かせるスイーベルもオプションで用意する予定です。

本体裏側。オプションのスイーベルを取り付ければ、壁などに直接設置した際も縦横に動かせます。

−−月額の利用料などは?

幸田さん「現在販売しているMeuralキャンバスには、3年間のサブスクリプションの権利が入った状態で販売されています。一部には、有料の作品もありますが」

−−権利者との契約はどうなっているのでしょう?

幸田さん「古い作品は著作権が切れているものもありますが、美術館や個人のアーティストと個別に契約しています。Meural限定で作品を出してくれるアーティストもいます。ちなみに、アーティストへの還元率は60%です」

−−絵画だけでなく、写真や現代アート、アニメも入っている。

幸田さん「絵の一部が動画で動くデジタルアートもあります。日本ではまだ楽しむことはできませんが、アメリカではマーベルとの契約が完了したので、スパイダーマンやアベンジャーズのアート作品が見られます。ゲーム・オブ・スローンズのアート作品も人気ですね」

−−それは、20代の若い人の部屋にあってもオシャレです。絵画というと、節税や投機目的のイメージもありますが、アートポスターのようにカジュアルに楽しめる。

幸田さん「アメリカやヨーロッパは日本とはアートに対する考え方が違っていて、日常にアートを取り入れている一般家庭が珍しくはありません。日本でも、もちろんご家庭でも楽しまれていますが、会社の受付やクリニックに導入されるケースが多いです」

−−来客に合わせて表示する作品を変えられるのは良さそうです。

幸田さん「たとえば『クリスマス』で検索してプレイリストと作成できるので、季節ごとに変えるのも簡単です。また、タイマーで時間ごとにプレイリストが変えられます。朝はすっきり目覚められる明るめの絵に、夜はリラックスできる絵にしよう、といったような表示が可能です」

法人向けモニターを募集中

最初は一部のアート好きのための製品かと思っていましたが、ポスターを貼るようなカジュアルさで、幅広いコンテンツが楽しめるアイテムとして、今後注目度が高まっていきそう。また、アート作品の合間に広告やプライベートの写真を表示させるなど、デジタルサイネージ的な使い方も可能なので、ディスプレイを置きたいが、野暮ったくなるのは嫌だというお店や企業にも最適ではないでしょうか。法人向けには、無料でMeuralが使用できるモニターキャンペーンも実施しています(2020年1月31日まで)。

 

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