中古住宅買取再販市場が急成長!その理由は?メリットや注意点は?

中古住宅買取再販市場が急成長!その理由は?メリットや注意点は?

矢野経済研究所が、中古住宅買取再販市場の市場規模を予測した。住宅市場の縮小が懸念されるなか、中古住宅買取再販市場については大幅に拡大すると予測している。市場はなぜ大きく成長するのだろう?中古住宅買取再販市場について深掘りしていこう。【今週の住活トピック】

「中古住宅買取再販市場に関する調査(2019年)」を発表(2020年1月7日)/(株)矢野経済研究所

中古住宅買取再販市場は、2025年には2018年の約4割増に拡大する

矢野経済研究所が国内の中古住宅買取再販市場を調査したところ、2018年の市場規模は成約件数ベースで3万2500戸(中古戸建と中古マンションの合計戸数)と推計した。これが2025年になると、成約件数ベースで4万5000戸になり、2018年比で38.5%増にまで拡大すると予測している。中古住宅買取再販市場規模推移と予測(出典:矢野経済研究所「中古住宅買取再販市場に関する調査(2019年)」より転載)

中古住宅買取再販市場規模推移と予測(出典:矢野経済研究所「中古住宅買取再販市場に関する調査(2019年)」より転載)

同社はその理由をいくつか挙げている。

「新築よりも比較的販売価格が割安な中古住宅に対する消費者需要の増加がある」

「従前からの主力事業者である中小不動産会社のほか、大手デベロッパーやその系列不動産会社なども新規参入しており、市場が活性化している」

「リフォーム・リノベーションを必要とする築年数の経過した住宅ストック数(既築住宅数)の増加を背景に中古住宅買取再販物件の供給は必然的に増える」

そもそも中古住宅買取再販って?市場が拡大する理由は?

さて、中古住宅買取再販市場について、もう少し詳しく見ていこう。

「買取再販」とは、中古住宅を事業者が買い取って、リフォームやリノベーションを実施したうえで、事業者が売主となって再度販売するもの。

築年数の経過した「古い住宅」は、今の住宅より性能が低かったり、老朽化が進んで見栄えが悪かったりする。個人が売主の場合は、リフォームして売り出すと費用がいくらかかるか分からないし、時間も手間もかかるので、改修しないで安く売り出すことが多い。

一方、一般の個人と違って事業者であれば、大量発注することでリフォームコストを抑えたり、改修内容をパターン化することで工期を短くしたりできる。こうして新築住宅に近い状態にして売り出せば、性能や見栄えなどの不安も解消されるうえ、新築住宅より割安な価格なので、買い手を見つけやすくなる。

事業者が、個人の中古住宅を安く買って、改修費用を抑え、新築住宅より割安な価格で売ることで、利益を出すというビジネスモデルだ。事業者だけでなく、リフォームなどへのハードルが高い売主にとっても、リフォーム済みで安心して購入できる買主にとっても、メリットのあるビジネスモデルなので、国土交通省なども税制優遇等で支援をしている。

買取再販の中古住宅を買うときに注意することは?

では、こうした買取再販の中古住宅を購入する場合に、どんなメリットや注意点があるだろうか?

冒頭の買取再販の説明の際に、「リフォーム・リノベーションを実施」と書いた。一般的に「リフォーム」は新築当時の性能に改修すること、「リノベーション」は今の生活水準に応じた性能を引き上げる改修をすることといわれている。しかし、これらの違いは明確ではなく、混在して使われることも多い。

つまり、「リノベーション住宅」として販売されているものが、必ずしも性能を引き上げているとは限らず、内装だけを改修して見栄えをよくし、リノベーション済みと説明している場合もある。逆に「リフォーム済み」という説明でも、性能を引き上げた改修がされている場合もある。

特に、構造に関する部分や給排水管などの設備については、表面を見ただけでは分からないので、どこまで改修されているかを確認することが大切だ。具体的に、改修前はどういった状態で、どの部分をどこまでどのように改修したかを確認しておかないと、住み始めてから想定外の不具合が生じるリスクもある。改修箇所の履歴を残し、一定期間の保証を付ける事業者なら安心だろう。

自分で改修内容まで確認することにハードルを感じるという人は、(一社)リノベーション協議会の「適合リノベーション住宅」かどうかを目安にする方法もある。建物検査をしたうえで改修工事を行い、その履歴を保管したり、改修箇所に一定の保証を付けたりしている。また、数は少ないが、国土交通省が定める「安心R住宅」かどうかをチェックする方法もある。

買取再販の中古住宅を買うと資金計画がラク

一方、買取再販の中古住宅は、資金計画の点でもメリットがある。

買主が自らリフォームする場合、中古住宅の購入費用とリフォーム費用をそれぞれ捻出することになり、資金計画が複雑になる。中古住宅+リフォーム一括で借りられる住宅ローンもあるが、中古住宅の契約時点でリフォーム工事の見積もりが確定している必要があるので、スピード感が求められるというハードルがある。また、中古住宅を取得した後リフォーム中でも、購入費用のローンの返済が始まるなど、資金計画の面では検討事項が多くなり、かなり複雑な判断をしていくことになる。

買取再販の中古住宅であれば、リフォームプランを自分で決めることはできないが、まとめて住宅ローンが利用できるので、資金計画が立てやすいメリットがある。

ただ、売主が事業者になるので、消費税が課税される。その反面、住宅ローン控除の拡充やすまい給付金、次世代住宅ポイントなどの対象になるので、それは相殺されると考えてよいだろう。

筆者は中古住宅を購入するなら、築年数がそれほど経っていない場合も含めて、住宅の状態に応じたリフォーム・リノベーションを行うことをオススメしている。古い住宅であれば性能を引き上げることで快適に暮らせるし、まだ新しい住宅でも壁紙を変えるなどで自分らしさを取り込めば愛着を一層感じることができる。

リフォームにこだわりがあるなら、自らプランをつくることを選べばよいし、それほどこだわりがないなら、買取再販住宅を選ぶという選択肢もある。ただし、市場が成長しているとはいえ、中古住宅市場に占める買取再販住宅の割合はまだそれほど多くない。消費者の選択肢が増えるように、さらなる成長を期待したいものだ。
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