昆虫観察40年以上! 『巨蟲列島』原作者・藤見泰高先生インタビュー「海外のパニックドラマやB級ホラーが好きな人はぜひ!」
謎の旅客機事故により、とある島に流れ着いた「私立鳳翔高等学園」の生徒たち。 他の生存者と合流して救助を待つことにするも、その島は巨大な昆虫に支配された島だった…。 「マンガクロス」にて月間110万PVを超える話題作『巨蟲列島』が満を持して劇場アニメ化! 劇場版『巨蟲列島』が2020年1月10日より公開となります。
「最強の虫とは?」「劇中での好きな捕食シーンは?」コミック「巨蟲列島」の原作を務める藤見泰高先生に色々と質問をぶつけてみました!
Q:『巨蟲列島』を書くことになったきっかけを教えてください。
藤見先生:きっかけは、今の担当さんに「昆虫を使ったパニック物を描いてみない?」と、言われて二つ返事でOKしました。
実は過去にも何度か昆虫が人を襲うような内容のマンガを描かないかとお誘いを受けた事があったのですが、僕自身が昆虫ライターという仕事もしており「荒唐無稽な昆虫が登場する設定は描けません」と、お断りしていました。ですが僕自身が名古屋でマンガ家志望の若者達とお話しする機会があり「つかめるチャンスは、どんな仕事でも握りしめて離すなっ!」と、熱く語った事がありました。その時、ふと我に返って考え直すと僕自身がつかめるチャンスを、昆虫ライターと云う小さなプライドを守るために逃している事に気がついたのです。そこで今回、担当さんからお誘いがあった時には快諾させていただきました。
Q:蟲の描き方など、作画の先生にお願いしているポイントはありますか?
藤見先生:基本的に昆虫は、ほぼ三角形で構成されています。正三角形・二等辺三角形・三角すい・三角柱を組み合わせていくイメージでお願いしています。後は、明暗をはっきりさせて重量感を出して頂いてます。
Q:先生が考える“最強の蟲”とは?
藤見先生:蟲はジャンケンの法則で、こちらには強いが、こちらには弱い……って事が多いですので、最強の蟲を選ぶのは難しいです。
個人的に肉食昆虫が強いと考えれば、コロギスやキリギリスの仲間でしょうか? 日本で有名なのは、リオックの通り名で有名なコロギスの近縁種。国産種では、ヤブキリですね。
後はゴキブリと同じく数億年、姿をほぼ変えないトンボの仲間、天空の支配者ヤンマですっ! 姿を変えないと云うのは、すでに完成された形状を持っていることの裏打ちです。
Q:劇場版『巨蟲列島』をご覧になった感想を教えてください。
藤見先生:おすすめはリアルに動く昆虫のCGと、羽音など昆虫が動くときの効果音ですっ! 他の昆虫が出てくる作品よりも色々とこだわって制作して頂きました。スタッフの皆様ありがとうございます!! シナリオも映画用に再構成して頂き、とてもありがたいです。
そして、何よりも熱演して下さった声優陣の皆様!ありがとうございます。叫び声ばかりで申し訳ございませんでした……。
Q:劇中で、先生がお気に入りの捕食シーンはどこですか?
藤見先生:本物の昆虫が補食する過程は、面白い物が多くあって選ぶことは出来ません。ですが色々とドラマ的脚色はありますが、劇場版『巨蟲列島』での補食シーンでは、ミヤマカラスアゲハが補食するシーンですね。柔らかくて、か弱そうに見える蝶も外骨格の装甲を持ち、柔軟性に富んだニードルナイフの様な口を持っています。
本物のミヤマカラスアゲハを採集する方法も、山中にオシッコをして待つんです。オシッコに含まれるミネラルを求めて美しいミヤマカラスアゲハが集まって来ます。逆に誰もオシッコをしていないのに、ミヤマカラスアゲハが集まっている場所が山中にあれば、近くに野生動物が居ることを教えてくれるフィールドサインになります。巨大化した蝶が人を襲う理由が分かれば、ゲーム中に出てくる、弱々しいイメージが先行する蝶型クリーチャーも恐ろしく見えてくるのではと思います(笑)。
Q:どんな人に『巨蟲列島』を楽しんでいただきたいですか?
藤見先生:海外のパニックドラマやB級ホラーがお好きな方に、是非観ていただきたいです。
究極の生存競争が繰り広げられる孤島での人間関係。実社会では、心の奥底に隠し通すはずのむき出しなエゴを観ていただけたらと思います。嫌な性格のキャラを描くために一生懸命、心理学やマナーの本を読ませていただきました(笑)。
過去作品では、命の大切さや昆虫との共存をストレートに描いていましたが『巨蟲列島』では、同じテーマを全く逆側から……死と裏切りを見せることで命の大切さを描いています。そう思って、読んでいただけると嬉しいですっ!!
Q:『巨蟲列島』は今後どの様な展開になっていくか、言える範囲で教えてください!
藤見先生:現在、新章の『大巨蟲列島』(マンガクロス連載中)と巨蟲列島スピンオフ『巨蟲山脈』(どこでもヤンチャン連載中)にて、今まで以上の人間ドラマはもちろんナゼ巨蟲が産まれたのかを納得いく形で提示することが出来たらと考えています。昆虫観察40年以上…過去に自ら数万匹のカブトムシ・クワガタムシ等を巨大化させるために、飼育・ブリード・取材してきた藤見泰高の頭の中を全てお見せしていきます!!
藤見泰高先生Twitter
https://twitter.com/fuzimiken/ [リンク]
『巨蟲列島』マンガクロス
https://mangacross.jp/comics/kyochuretto/ [リンク]
『巨蟲列島』特集
https://getnews.jp/kyochuretto
(C)藤見泰高・REDICE (秋田書店)/巨蟲列島製作委員会
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