大童澄瞳(漫画家) – 『映像研には手を出すな!』一員になれたことは感動でした。

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大童澄瞳(漫画家) – 『映像研には手を出すな!』一員になれたことは感動でした。

信頼は絶大なものがあるので、現場に好き勝手やってもらおうと思っています

――アニメ化されることを聞いた際の第一印象を伺えますか。

大童:第一印象として「来たか」という感じです。湯浅(政明)監督とサイエンスSARUのみなさんにアニメ化をしていただけるのはファンの方からも待望のタッグということで、すごい驚きと同時に勝利を確信しました。

――アニメ化の話はいつごろですか。

大童:最初に話を頂いたのは2年以上前です。お話を頂く前の第3集くらいまではアニメ化しやすくならないように意識して描いていたくらいでした。もちろん、アニメ化すれば嬉しいとは思っていましたがそこで制御するのは良くないと思っていたので、出来るもんならやってみろという意識で描いてます。

――それがアニメ化しましたね。

大童:最初にお声がかかった時は当時の担当さんから「凄いことになりましたね。でも必ずアニメ化されるとは限らないのであまり期待しすぎると…」と言われていて、「わかっています。声がかかっただけで嬉しいです」と話していたんですけど、あれよという間に「実現しそうです」と連絡がきて、「まじか」と(笑)。

――しかも原作ファン待望のサイエンスSARUとですから。

大童:本当に驚いています。

――実際の制作にあたり、現場とはどのように連携をとられているのですか。

大童:サイエンスSARUや湯浅監督への信頼は絶大なものがあるので、現場に好き勝手やってもらおうと思っています。絶対にいいものが出来るので、原作をかなり無視したとしても全然かまわないです。そんな中、質問があった際は1に対して100で返すくらいの気持ちでお答えしています。今は制作チームの一人に入れてもらえ、一緒に作っている感じです。

――質問を受けて、アニメの現場の人はこういうことを知りたがるのか、と思ったことはありますか。

大童:戦車など作中に出てくる物のデティールについて質問をいただきます。あと、印象としては、絵として描いている場面が、ただの妄想なのか作品としてもっと深いデティールがあるのかが汲み取りづらいところがある際も質問をいただきます。例えば水崎が「私はここにいるって言わなくちゃいけないんだ」と言う場面で絨毯の上に立っているのですが、それが空飛ぶ絨毯なのか、飛行船に結びつけられたものなのか、そういった僕しかわからない描き方をしているところを聞かれたことがあります。質問が飛んでくることで向こうが表現をしようとしている方向性を感じることができるので、そういったやりとりはすごく楽しいです。

――作品の特徴として、現実と妄想が入り混じった世界の表現や、作中で出てくる設定やイメージボードがありますが、その部分はアニメではどのように表現されているのですか。

大童:出来上がったものを見ていただくのが一番だと思いますが、たぶん各話によっていろんな表現をされていると思います。そういった原作とは違う部分は、僕もアニメ化で楽しみにしているポイントです。

――出来上がった映像を見られて特に印象深く感じられたところがあれば教えてください。

大童:印象的だったのはアニメならではの形で表現されている部分です。詳しくは放送を楽しみにしてください。

――原作を無視してもかまわないとのことですが、その中でもこの部分は守ってほしいと要望した点はありますか。

大童:タイトルさえ『映像研には手を出すな!』であれば主人公の三人が違っていても全然かまわないです。制作現場が楽しいことができるのであればなんでもかまないと思っています。メタ的に引いた視点で見れば『映像研には手を出すな!』なのではと6割・7割思えればそれでいいんです。

――湯浅監督版として、これはこれでいいだろうということですね。

大童:湯浅監督の新しい作品が観れるのであれば大丈夫です(笑)。それだけ信頼しています。

「自由に描いていただいて」と言われ、「マジか」と思いました

――今回EDをご自身で制作されているとのことですが。

大童:つくみずさんが『少女終末旅行』のEDを制作されたのを見て、アニメ化されたら僕もやりたいとツイートしたのですが、アニメ化の話が出てからは現場に迷惑をかけてはいけないと思ってあまり言わないようにしていたんです。そのことが監督に伝わって現実になってしまって(笑)。

――大変(笑)。

大童:ある日、監督から「アニメーションをやりたいというお話を伺ったのですが」とメッセージが来て、しまった! と(笑)。つくみずさんは長い期間で原稿と並行して制作されたと伺ったんですけど、僕は短期集中型でサイエンスSARUのスタジオに入って制作しました。

――本当にチームの1人としてスタジオで制作されたんですね。

大童:会社でフルタイムでした。スタジオに入るまでは誰かがついてサポートしていただけると思っていたんですけど「自由に描いていただいて」と言われ、「マジか」と思いました。プロフィールにアニメーター・監督も入れられますね(笑)。

――確かに(笑)。

大童:実際のEDを最終的に構成するのは湯浅監督なんですが、動画の素材を作るという意味では補佐くらいのことはできたかなと思っています。サイエンスSARUは本当にハートフルな職場で、その一員になれたことは感動でした。

――現場に入ることで「これをつくっていたのか」という感覚はつかめましたか。

大童:もっと早く知ることが出来ればもっと協力できたと思うくらいでした。設定を見たことで、現場のみなさんがどれだけこだわっていただけているのかが分かったので。

――アニメーションは昔からお好きということですが、特に影響を受けた作品はなんですか。

大童:『未来少年コナン』ですね。ほかには『エウレカセブン』にも影響は受けています、吉田健一さんのデザインは特に。漫画だと『ドラえもん』です。

――作中でもドラえもんの手になっているコマがありましたね。

大童:そうですね。たまにやります。

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完璧に仕上げたものをさらに上のものにするという作業で感動しました

――漫画とアニメの違いで一番大きいのは音が付くところですが、主役の3名を演じられているキャストの方々の演技はいかがですか。

大童:一流だなとしか言いようがないです。セリフの抑揚、演技のパターンもリアルなのかコミカルなのかで使い分けもされています。アニメは絵と声の演技が二人羽織のようなものだと思っていましたが、ただの二人羽織ではなく、実際には完璧に仕上げたものをさらに上のものにするという作業で感動しました。

――漫画でもかなり映像的な表現・演出が入ってきていますが、学生時代にどういった創作をされてきたかを伺えますか。

大童:中学生のころにFlashアニメやGIFアニメが盛り上がっていて、そのころにGIFを少しだけ描いていて、それが映像のはじまりです。Flashも少しやったんですけど難しくて断念して、絵を描くのがメインだったのですが、高校で映画部に入部して実写作品も作っていました。

――サイエンスSARUの特徴としてFlashを取り入れているという点がありますが、どういう風にご覧になられていますか。

大童:ハイブリッドで制作されているという印象が強いです。Flashはツールの1つで、使い方によってどのようにも化けるというのを示されたようにも感じました。僕はなぜ脱落したんだろう、と後悔も(笑)。

――新しいFlash表現を見たということですね。

大童:手間をどうやって減らしているのか、どういう経緯で導入されたかが今ものすごく気になっているところです。そういった点は今回のアニメ化で改めてサイエンスSARUの凄さを共有できる部分だと思っています。そういった独自のスタイルは、タイトル『映像研には手を出すな!』とも通じる部分かもしれませんね。

――今回のアニメ化を経て原作に反映された部分はありますか。

大童:絵が上手くなった感じはあります(笑)。自分のデザインしたものがさらに洗練されて綺麗になって出てくると、自分に足りていないものはここだったなとか、こう変えたんだなというのがわかって、自分の絵が上手くなるというところに直結していくと感じてます。そこは原作者の利益ですね。

――いよいよ放送が始まります。NHKですからまさに日本全国で見れるわけですが。

大童:そうですね。「やったぜ」というのが本音です。原作者から離れた一視聴者・アニメファンとしてもサイエンスSARUの新作が来たか、湯浅監督の新作が来たか、という期待とワクワクがあります。TVで見る立場になると「湯浅監督の新作だ!」と、またいちファンに戻ってしまいます。この感覚は読者の方・原作未読の方・湯浅監督のファンの方とも共有できる部分なので「みんなで楽しもうぜ」と言いたいです。

――私も楽しみです。大童さんは一番贅沢な位置で見られているわけですから。

大童:そうですね(笑)。なんの権利に当選したんだろうという感覚です。

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©2020 大童澄瞳・小学館/「映像研」製作委員会

 

 

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