初心者がマンション買う時に犯しがちな、たった一つの大きな過ち
この記事はえふしんさんのブログ『F’s Garage』からご寄稿いただきました。
初心者がマンション買う時に犯しがちな、たった一つの大きな過ち
かつて分譲マンションを購入して、数年前に起業するリスクを考えて手放しました。
幸いにも9年住んで、隣人にも恵まれ、素敵なマンションだったので、想定以上に高い値段をキープしたまま売れたのでローンの残債を払ってもお釣りが来た状況だったのですが、サラリーマンを一度、辞めてしまったため、マンションを35年ローンで買えるような安定な人生のレールからは外れてしまいました。
(まぁとはいえネットのベンチャーに入ってからマンション買ったわけなので、何が自分たちにとって安定状態か、というのは一般的じゃなかったかもしれません。)
それはさておき、自分がマンション買ってから電車の中の広告などを見ていて、一点だけ、「それ違うんだよなー」と思っていたことがあったのですが、それは、
「管理費の金額は売り主のデベロッパーが決めるものではなく、住民の責任で自分達が決めるもの」
ということ。
マンションのチラシには、販売価格を元にした35年のローンのモデルケースと、管理費(+修繕積立金)がセットで書いてあって、今支払ってる家賃と比較したりしますが、あの管理費、修繕積立金の試算はおそらくミニマムの設計の数字です。
ミニマムということは暫定の予算では計算されているけど、何も不幸なトラブルは起きないという前提の試算だと思います。
管理費というのは、マンションの共用部分の維持費なので、日常的には共用部の電球が切れました、とか電気代に使われるもので、修繕積立金はマンションが老朽化してきたり、何かが想定外に壊れていたり、経年劣化について住民だけで担わなくてはいけない部分なので、マンションのチラシに書いてある管理費が安くてラッキーだったね、ということは、そもそもありえないのです。
何せマンションの会計自体は、住民からの収入以外にほとんど収入の手だてがないのですから、住民の安定な生活と安定成長に全てが掛かっていると言っても過言ではありません。
デベロッパーが物件引渡し後に何かを負担するとしたら、10年以内の保証範囲の部分だけです。例えば最上階で水漏れがあっただとか、雨水が浸食して想定よりも早く壁の塗装がはがれてしまったなどです。あくまでも、それは「瑕疵責任」、「不良」の範囲ですので、そういう補修工事があるということは、想定外のことと言え、デベロッパーにとっても住む人にとっても全くハッピーなことではありません。
そして、トラブルの少ないマンションでも、数年後に管理組合の方で気がつきます。
「今の予算計画では、大規模修繕に足りない」
数年後にアウトソースしている管理会社の人から、管理組合にこの事実が伝えられます。この段階で、最初のデベロッパーの修繕積立金の設定が甘かったんじゃないか?!と文句を言っても、後の祭り。
結局、修繕積立金を上げることは住民総意の責任による決断に委ねられるのです。
もしくは決断を避けて、大規模修繕の内容を簡素化するか、です。
大規模修繕でかかるコストは、どこまで何をやれば良いという事を、素人に算定できるものではないので、プランは管理会社が持ってくるので、そのコストの妥当性を疑って、他社とあいみつを取ったりするのは大事なことです。
ただ、相応の知識と熱意がないと、フラットな組織で誰も責任を持てないマンションの住人の関係であれば、ある種の「空気を読まない力」がないと面倒くさくて仕方ないです。
それも、いつもおつきあいのある管理会社にお願いするのと、他社を比較した時に妥当性を評価するのは、無知な住民達同士での決断ですから、何が正しいかは、ある種のパワーゲームになって、これまた面倒くさいわけです。誰か詳しい人が住んでいるとラッキーですよね。
おっと、若干話がずれているかもしれませんね。
ポイントは、本来、管理コストというのは住む人の責任で持って管理されなくてはいけないものハズなのに、全く関係がない売り手であるデベロッパーのチラシに書いてある、管理費、修繕積立金の初期設定金額を見て、賃貸感覚で支払い計画を立ててしまうと、あとで困る人も結構出てるだろうな、ということなのです。
なので、本当にお金に余裕のない人でもローンを組めちゃうようなプランで売るデベロッパーのマンションは、自分のために避けておいた方が良いし、隣人トラブルも含めて、もしマンションを買うなら、その地域でも「良い地域」と呼ばれてるところの方が無難だと思いますし、自分自身もその余力を先んじてイメージしておくべきです。
ローンを支払ってカツカツだ、という人は間違いなく持ち家の購入は考えた方が良いと思います。賃貸なら大部分の責任を大家さんが持ってますので借り主の責任範囲は限定的です。この見えにくいコストが分譲、賃貸議論では正しく可視化されてないような気がしますね。
そもそも毎年10万円以上の固定資産税や、ちゃんとした内容の火災保険は払ってると思いますので、自動車持たない議論で維持費の事を気にした人はまず持ち家は無理でしょう。(そもそもそういう人は賃貸派だと思いますが)
僕は小規模なマンションだったので、一つの部屋でも売りに出されている間に入ってこない管理費のリスクや、戸数が少ないことでの大規模修繕でボリュームメリットが見込めない不利を感じていましたが、大規模物件は大規模でフラット過ぎる組織の中での意思決定が難しいという話を聞きます。
結局、一番問題になるのは、みんな忙しい中での当事者意識の有無で、定年後に管理組合をしきってくれる優秀なオジサマがいたら、これほどラッキーなことはないのかもしれません。その辺は、会社組織と同じで、やっぱり「人」なんでしょうね。ただ、その時点で単純にモノを買うという発想ではなく、大げさだけど運命共同体に参加してしまったんだ、ということに気がついたりしますね。
p.s.ある物件で、駅から遠いマンションで、契約の送迎バスがついてたことを売りにしていたマンションは売り方がDQNだと思いましたねー。よくよく、ちらしを見てみると、1年目以降の継続はマンション理事会で決定します、とのこと。当たり前なんですけどね。そんなの10年、続くわけないじゃん、と思ったんですがどうなんでしょうかねぇ。
参考URL:
「「持ち家と賃貸はどっちが得か?」とか「家賃を払うのはもったいない」とかいまだに言ってる不動産業者やファイナンシャルプランナーは、相当ヤバイ その1」2012年7月13日『アゴラ』
http://agora-web.jp/archives/1472590.html
執筆: この記事はえふしんさんのブログ『F’s Garage』からご寄稿いただきました。
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