介護施設で働きながら進学する 介護インターンシップ型自立支援プログラム「ミライ塾」とは?

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介護施設で働きながら進学する 介護インターンシップ型自立支援プログラム「ミライ塾」とは?

大学や専門学校へ進学するときに、一番気になるのが入学金や学費など、金銭的な問題です。親に負担をかけたくないと考えて進学を諦めてしまう人もいるかもしれません。
経済的な理由で進学が困難な学生のために、介護施設で働きながら自分の力で進学をする自立支援プログラムを提供している「ミライ塾」というシステムがあります。一体どのような内容なのか、株式会社介護コネクションの代表取締役でミライ塾塾長の奥平幹也さんと実際にミライ塾に入塾して大学へ通っている学生にお話を伺うことができました。

ミライ塾では、学生の学校面、生活面、仕事面をしっかりサポート

ミライ塾は介護施設で働きながら進学する学生を支援していますが、具体的に3つの側面からサポートをしています。一つ目は初年度に必要な入学金の問題を解決すること、二つ目は入学後に学校面、生活面、仕事面をしっかりサポートすること、三つ目は卒業後に奨学金の返済負担を軽減するために、在学中にアドバイスをしていくことです。
多くの場合、大学や専門学校へ入学する際に100万円ほどの入学金を支払う必要があります。これは一般的な奨学金で対応することができないので、経済的に困難な学生が最初にぶつかる壁なのですが、ミライ塾では学生の受け入れ先である介護施設を運営する法人から入学金を無利子で借り入れるシステムを取っています。
そして学生生活が始まってからも、学業に支障が出ないように学校面、生活面、仕事面をしっかりサポートしてくれます。併せて在学中に奨学金の詳細な返済プログラムを作成して、卒業後にできるだけ残額を残さないようサポートします。生活用と学費用の口座を分けるなどして、介護施設で働いて得た給料を学生が無駄遣いせず、返済のために貯めておく仕組みを作っているのです。

ミライ塾は「塾」という名前どおり、自己研鑽をしていく場所

ミライ塾塾長の奥平幹也さんにお話を伺いました。
――ミライ塾を設立した背景について教えていただけますか?
私は大学進学にかかるお金の問題は、入り口と出口にあると考えています。まず学校に入学する前に必要な入学金は、奨学金で対応することができません。そのために金融機関の教育ローンなどを申し込む必要がありますが、これは親が審査の対象になります。学生がどんなに勉強を頑張っていても親が審査に落ちてしまえばダメになります。入学金が支払えないことで進学を断念する人が出てくるのは、こうした理由からです。
また奨学金に関しても、学校を卒業して社会人になってから返済していけばいいというシステムが今は機能していないような気がします。借りたのはいいけれど、金額が大きすぎて返すことが大変だということが出口の問題です。
そこで奨学金ができないことをカバーする仕組みを作れば、進学問題を解決できると考え、「働きながら学校へ通う」という考え方を持ち込むことにしました。実は私自身、新聞奨学生として大学に通い卒業したのですが、この経験がものすごく価値のあるものだったのです。やりきったという自信にもつながりましたし、精神的に強くなりました。私は進学するためのお金を給付するだけではなく、学生たちが自分の力で乗り越えていくという経験をサポートすることが重要だと考えたのです。
――具体的にどのようにサポートをしているのですか?

まずはミライ塾へ入塾する前に、実際に介護施設での仕事を体験してもらいます。「こんなはずではなかった」というミスマッチを起こさないためにも、介護施設とはどういうところなのか、どういう仕事をしながら学校へ通うことになるのかをきちんとイメージする必要があるからです。その上で入塾した学生には、学校面、生活面、仕事面をしっかりサポートしていきます。半年に一度、受け入れ先の介護施設の担当者を交えて三者面談を行い、ワークシートを使って客観的に自分を評価していきます。そして同時に半年間どういう生活スタイルを作ってきたか、生活面、仕事面、学校面すべてにおいてどんな課題があるかということを書き出して一緒に振り返っていきます。うまくいかないときは、何かが崩れると全部崩れ始めますから、客観視して分析し、早めにリカバリーしていけば離職も起こりにくくなりますし、学生自身の成長にもつながります。
――ミライ塾ではどのような学生に入塾してもらいたいと考えていますか?
自分の力で進学しようという強い覚悟を持って入塾してほしいです。働きながら学校へ行くというのはそんなに甘いことではありません。ただやれるかやれないかで言えば、私は必ずできると思っているし、できるようにサポートをしていきたいと考えています。そのためには、きちんと覚悟を持って踏み込んで来てくれないと支援することが難しくなります。実は私どもの塾生は、すべて経済的に困っている子ではないんですよ。初年度の学費を借り入れしないでやっている子もいて、自分の力で学校へ行きたいという強い意志を持って入塾しているわけです。
もう一つミライ塾が目指しているのは、2つの専門性ということです。どういうことかというと、介護施設で働くことによって得られる介護の専門知識に学校で学んでいる専門性をプラスすることです。私たちは介護職の人材を増やすことを目的にしているのではなく、いろいろな業界で活躍できる人材を増やしていきたいのです。例えばミライ塾の卒業生には、介護の知識と経験を活かして介護に役立つシステム開発をしたいとシステムエンジニアになった子もいます。
ですので、経済的に困っている学生を支援するというよりは「ミライ塾」という名前のとおり、これからも学生たちが自己研鑽する場所を提供していきたいですし、それによって新しいものを作り出せる人材を生み出していくことを目標にしています。

どうしても大学で勉強したいという気持ちがミライ塾に入るきっかけとなった

実際にミライ塾の塾生として、介護施設で働く大学2年生の平田さんにお話を伺いました。
――ミライ塾に入ろうと思ったきっかけは何ですか?
平田:大学へ進学すると学費や生活費がかかりますが、私の家は経済的に進学することが厳しかったんです。でも私は、大学へ進学して身体の動きや仕組み、健康面に関することを勉強したいという目標がありました。高校時代は部活ばかりやっていましたし、介護はやったことがなかったので不安でしたが、諦めずに仕事をしながら学校へ通えるミライ塾を選びました。
――具体的にはどのような働き方をしているのですか?
平田:週に2日、夜勤として16時30分から翌朝9時半、17時から翌朝10時の2つのパターンでシフトに入っています。土曜日に夜勤入りをして日曜日の朝までと、水曜日に大学の授業が終わってから夜勤に入って翌朝10時まで働き、その後学校に行くという感じです。20人以上の入居者の方々を見る責任のある仕事ですので、普段から生活リズムを整えて夜更かしをしないように心掛けています。
――実際に介護施設で働いて、大変だったことやうれしかったことは何ですか?
平田:実家におじいちゃんやおばあちゃんがいましたが、認知症の方と話したことがなかったので、コミュニケーションをどんなふうにとっていいか分からなかったです。さっき言ったことも忘れてしまうので、次の声かけをどうしようとか、何を話したらいいんだろうというのが一番苦労しました。周りの職員の人たちのアドバイスを聞いて、否定的なことを言ってはいけないとか、あまり話しかけずにそっとしておいたほうがいいなど自分で実践して分かるようになっていきました。
介護の仕事は人と関わるものなので大変ですけれども、例えばトイレ誘導が終わった後とか、食事の介助が終わった後「ありがとう」と感謝の言葉を言われたら嬉しいですし、やりがいを感じます。また介護は職員や看護師さんなどと連携して行っていく仕事なので、チームの中で働く力がついたような気がします。
――日頃から気を付けていることは何ですか?
平田:入居者の方は自分で歩けない人が多いのですが、認知症だと自分が歩けないことを忘れてしまいます。ですので、その方が起き上がったらすぐ分かるようにセンサーコールが鳴るようになっているのですが、センサーコールが鳴ったらすぐ行って対応をするようにしています。そうすることで事故が防げるし、入居者の方も安心するからです。
――将来の目標を教えてください。
平田:私は高校時代からバドミントンをやっていたのですが、例えば椅子に座ってできるような年配の方も簡単にできるバドミントンを作りたいです。寝たきりにならないような体づくりをすることももちろんですが、何か楽しみを作ることができたら気分も明るくなって認知症の予防になると思うのです。高齢者の方に「明日バドミントンができるから頑張ろう」という前向きな気持ちになってもらって、健康寿命が延びたらいいなと思っています。
ミライ塾は経済的に困っている学生のためのシステムだと思いましたが、それだけではなく「自分の力で進学したい」と強い意志を持った学生がチャレンジできる場なのだということに驚きました。実際に介護施設で働いている平田さんを拝見していると生き生きとしていて、塾長の奥平さんは「何があっても動じない子」と頼もしそうにおっしゃっていました。
ミライ塾へ入塾するまでは、説明会、一次面接、事業者面接、条件最終確定を経て入塾となり、対象となるのは2年以上介護施設で勤務が可能な人です。経済的な理由で大学や専門学校へ進学することを諦めている人や、親に負担をかけずに進学したいと考えている人は、一度ミライ塾のことを調べてみてはいかがでしょうか。

【取材協力】
株式会社介護コネクション
代表取締役社長 奥平幹也
介護施設:さくらテラス青葉町

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