Google、DeepMind開発のAIが不完全なギリシア碑文を復元!

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虫食い文章から学習して完全な文章を推測するのはAIの得意分野だ。こうした能力を碑文研究に役立てようとの試みが、Google傘下のDeepMindによってなされた。

数世紀を経て現存するギリシア語の碑文は、完全な形で残っていないものも多い。破損して判読できない部分に関しては、これまで専門家により手間暇かけて推測されていた。

碑文の空白部分を推測することに特化したAI「PYTHIA」は、碑文解読に要する時間を削減し、精度に関しても大幅な向上が見込めそうだ。

・専門家による精度を大幅に上回る

DeepMindはオックスフォード大学の研究者と共同でPYTHIAを開発。碑文上の欠落した単語や文字を推測するためにニューラルネットワークをトレーニングした。

トレーニングには、約3万5000個の碑文に含まれる約280万単語/約1630万文字を用いている。こうして開発された碑文復元モデルは、欠落した部分の複数の予測と、その信頼度を割り出す。

約3000個の碑文を用いたテストでは、人間の専門家で文字推測のエラー率が57.3%だったのに対し、PYTHIAでは32.5%%と精度が大幅に上回った。全体の73.5%で上位20セットの推測を生成できたとのことで、効率よく碑文を復元できることが証明された。

・AIはあくまでツールとして活用

このように、優れた推測結果を導き出したPYTHIAだが、人間に取って代わるわけではなく、専門家の補助ツールとして役立つものだという。

つまり、PYTHIAにより提案された推測20セットのなかから最適なものを選択するのは、あくまで人間ということになる。さらに研究者らは、PYTHIAをオープンソース化していて、碑文研究の推進のために広く役立てられることを望んでいる。

優秀な碑文復元AIの登場で専門家は他のタスクに時間が割けて、なにより碑文の解読スピードが格段に上がる。PYTHIAの事例は、AIによるスーパーパワーを人間が自由に活用して研究を加速する、という理想的なモデルだろう。

参照元:Restoring ancient text using deep learning: a case study on Greek epigraphy/arXiv.org

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