災害時の通信障害からみるSIP通話の有用性
災害発生時、携帯電話の音声通話は繋がりにくい
令和元年10月12日(土)歴史的大型台風19号による甚大な被害がありました。一部地域の基地局で停電や通信設備の故障により通信障害が発生し、携帯電話・スマートフォンにも影響が生じました。今回は各キャリア共に移動基地局の設置を行いましたが、それでも多くの地域で通信障害が発生してしまいました。
災害の際にはデータ通信(パケット通信)よりも、090/080/070から始まる携帯電話番号を用いた音声通話に支障をきたす事がほとんどです。例え基地局が正常だったとしても、音声通話での通話中は通話相手と共に一定の帯域を常時占有してしまう事により輻輳(ふくそう)に弱く、災害で音声通話が混み合うと「電話が繋がらない」という現象になりやすい傾向にあります。
また、輻輳している際には110番・119番等への緊急通報も繋がりにくくなってしまう為、出来る限り緊急通報用に音声通話の帯域を開ける必要もあります。
一方、データ通信(パケット通信)の場合には、端末側でデータの送受信を行わない時には帯域を占有しない為、輻輳に強く、繋がりやすい傾向にあります。それだけではなく例えデータ通信が出来ない状態にあったとしても、無線LAN(Wi-Fi)を使えばインターネット接続を行う事が出来ます。震災時には各携帯キャリアのWi-Fiスポット等が被災地に解放され00000JAPAN(ファイブゼロジャパン)というSSIDが加わりますので、それらを活用する事でインターネット接続を行う事が可能です。従って震災の際にはLINEのテキストチャット機能などでやり取りをすると相手と連絡を取りやすい傾向にあります。
しかし、震災の時だからこそ相手と音声で話したいものです。そのため、日頃より震災時にも電話が繋がりやすい環境を作っておくことをおすすめいたします。
災害時こそデータ通信(パケット通信)を利用するSIP通話を活用しよう!
090/080/070から始まる携帯電話番号ではなく、データ通信(パケット通信)を用いたIP電話サービスによるSIP通話を行う事で、震災時にもつながりやすい環境を作る事が出来ます。
クレジットカードさえあれば初期費用・月額費用共に無料で050から始まる電話番号が付与されIP電話の発着信が可能になる楽天モバイル株式会社“SMARTalk”はSIP通話のため震災時にもつながりやすいツールの一つです。
“SMARTalk”同士など楽天モバイル株式会社基盤のIP電話網であれば通話料無料で発信可能で、固定電話・携帯電話への発信でも30秒8円(税別)と比較的安価に利用できます。もちろん、どこから着信を受けても無料ですし、付与された050番号を周知していれば携帯電話への音声通話よりも着信が受けやすい状態になります。
また、 “SMARTalk”同士であればさらに繋がりやすいのはもちろんのこと、携帯電話の音声通話⇔“SMARTalk”間の通話だったとしても、携帯電話の音声通話同士より繋がりやすい傾向にあります。公衆電話やアナログ電話回線(PSTN)は災害時も比較的繋がりやすい傾向にあるため、アナログ電話or公衆電話⇔“SMARTalk”間も比較的繋がりやすい組み合わせだと言われています。
携帯電話の音声通話とは異なり、SIP通話の最大のメリットとして、例え基地局が停波してしまい通信不能になってしまっても、無線LAN(Wi-Fi)によるインターネット接続が確保されれば、“SMARTalk”などのIP電話サービスによるSIP通話が基本的に可能となります。
IP電話サービスによるSIP通話サービスは、“SMARTalk”以外にも、プラステル株式会社“My050”/株式会社ジーエーピー“G-call 050”/エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社“050plus”などがあります。
SIP通話でも通話料定額制“かけ放題”プランがある!
現在の携帯電話の料金体系では音声通話の定額制、いわゆる“かけ放題”が広く普及しており、これからIP電話サービスに切り替えるのは費用的にもったいないと思われるかもしれません。実際のところIP電話サービスでは通話料が従量課金制であるところが多いのが現状ですが、通話料が定額制の“かけ放題”サービスも少なからず存在します。
例えば、イオンリテール株式会社提供“イオンモバイル”のオプションサービスに、“050かけ放題”といわれるサービスが存在します。なんと月額1,500円(税別)のオプション料金で050番号が発番され、すべての国内通話(固定電話・携帯電話・PHS・IP電話)への通話が定額制のかけ放題で利用できます。
イオンモバイルの長所は、データ専用SIMの1GBプランが月額480円(税別)ですから、最低月額1,980円(税別)でデータ通信1GB+050かけ放題が利用でき、キャリア契約よりも非常に低額な料金を実現できます。違約金・最低契約期間なども存在しません。また、契約時にデータ専用SIMのタイプ2(NTTドコモ回線)を選択すれば、低速通信時でも最大200kbpsの帯域を通信制限なく利用する事が出来ます。
さらに、低速通信・高速通信の切り替えアプリも存在し、050かけ放題でのSIP通話時など高速通信を行う必要がない時には低速通信モードに切り替えておけば通信容量がカウントされない為、月間1GBの通信容量でも現実的な利用が可能となります。
ただ、4GBプランであっても月額980円(税別)と、大手キャリアと比較すると非常に安価に利用できますので、自分に合わせた通信容量を選択することで更に快適にお使いいただけるでしょう。
スマートフォン端末は、ドコモの端末であればSIMロック解除をせずにそのまま利用可能です。ドコモの周波数に対応したSIMフリースマートフォンを利用する事も出来ます。通信エリアはドコモ回線のLTE/3Gエリアと同一です。
当然ながら無線LAN(Wi-Fi)でも050かけ放題でSIP通話を行う事が出来ますから、データ専用SIMが圏外の地域でも無線LAN(Wi-Fi)さえあれば通話可能ですし、海外でもホテル等のWiFiを活用する事で日本国内への定額制通話が実現します。
普段から低価格かつ快適にスマートフォンを利用する事が出来るイオンモバイルに切り替えることで、自動的に災害時にも電話が繋がりやすい環境を構築することが可能です。
是非この機会に皆さんの携帯電話・スマートフォン環境を見直して、震災時にも繋がりやすい環境を作り上げていきましょう。
(甲斐犬人/音楽プロデューサー)
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