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Interview with black midi /ブラック・ミディ来日インタビュー

――へえ。

モーガン「でも、ブリット・スクールに入って、いまのメンバーと出会って、自分がそれまで知らなかった音楽に触れてっていう……そう、だから、ブリット・スクールに行ったことが、確実に自分にとっての人生の転機だよね。そこでいまの仲間に出会えてなかったら、いまの自分はいなかったと思うし。自分自身がすごく開かれたっていうかなあ……自分から積極的にオープンにならないと、面白いものを見逃してしまいそうな、あの環境にいて自分の狭い価値観の中に留まってるのはもったないって。だから、最初からメンバー同士でお互いに聴いてる音楽をシェアしながらも、自分の個人的な趣味の世界のほうも大切にしつつ、それをまたバンドのほうに還元してっていう感じかな。メンバーそれぞれ聴いてる音楽も趣味もバラバラだけど、そこがむしろうちのバンドの強みなんだよ。もちろん一緒に音楽を聴いていく中で、メンバー全員共通に好きなバンドもいるし、それぞれが完全に個人的な趣味で聴いてるバンドもあって、それが全部このバンドの音に反映されてるという」

――たとえば、ブラック・ミディとも比較される80年代のポスト・パンク・バンドたちっていうのは、美術を学んだりファッションの世界に携わったりするような、いわゆる“ノン・ミュージシャン”の集まりでもありました。それこそ、少し前の世代のインディ・バンドやアンダーグラウンド・シーンにおいては、逆にアマチュアリズムやDIYであることが称揚されたり美徳とされてきたところがあったように思います。ただ、ブリット・スクールで音楽を学ばれたキング・クルールだったりあなた方というのは、それとまったく異なる価値観や哲学をもって音楽と向かわれているのではないかと想像します。

マット「いや、いまはブリット・スクールみたいなものがあってすごく恵まれてるよね。基本的に無料だし、自分の学びたいときに学びたいことだけ学習できるシステムになってるから。選ばれた特別な人だけが学べる教育機関じゃないからね」

モーガン「しかも、すごく特別な環境なんだ。自分たちは音楽を専攻してたけど、あの学校の何が最高だったかって、学科とか関係なしにいろんな授業が受けられたことだよ。だから、音楽専攻だからって何も音楽の授業だけに限定されてたわけじゃなくて、音楽をやりながらアートも学べたし、逆にアートの傍らで音楽をやることもできたし、それをBDC(※ブロードキャスト・デジタル・コミュニケーション)ともコラボして絡めてとか、自分の音楽のアートワークに活用したりとかさ。何だろう……自分のビジョンを実現しようという夢を持った同世代のパッションと熱気に溢れてて、お互いコラボレーションし合えるのがすごく恵まれてたし刺激的だった。自分と年の近いいろんなアーティストとお互いに刺激し合いながら、ひとつの作品を作り上げて、それによって自分の可能性を広げていくことができたからね。それは本当にブリットだからこそ経験できたことだし。実際、いまブリット・スクールでアートやダンスを専攻してた卒業生が、学校の友達の繋がりで音楽の世界で活躍してたり。何かを始めるのに道はひとつじゃないし、音楽を始めるきっかけもいろんな方向があるんだなってつくづく思ってるよ。自分自身も音楽をやってるけど、アートにも興味があるし、そうやって考えてたほうがいろんな可能性が開けてて楽しいしさ」

――素晴らしい環境ですね。

マット「たしかにブリット・スクール出身ってことで、下に見られたりとかあるけど。『あー、はいはい、エイミー・ワインハウスが行ってた学校ね、お前らもそっち系なんだ』みたいな感じっていうかさ。そういうのとは関係なく、自分たちにとってはただ面白い連中が集まって面白いことをやってる、最高に面白い場所だったんだけどね。たしかにブリット・スクール出身ってことでメディアで取り上げられやすいってのもあるけど。とりあえず、自分たちが音楽を学ぶには理想的な環境だったし、いろんな雑多なカルチャーやら表現がが混在しててさ」

モーガン「うん、そこが一番好きだったかも。要するに、多様性ってことだよね。ただ音楽を勉強するだけじゃなくて、アートやダンスやいろんな文化的背景やライフ・スタイルを持った人たちがお互いに刺激し合って、これはもう、面白いもんが生まれるしかないだろうっていうさ。たしかにブリット・スクール出身ってだけである種の先入観をもって見られることもあるし、自分も行く前には多少はそういうとこもあったけど、実際に経験してみないとわかんないからね」

マット「難癖つける前に、お前も一度あの学校に通ってみたら? いちゃもんつけるのはそれからにしてくれない?っていう(笑)」

モーガン「でなきゃ、黙ってろっていう話でね(笑)。ブリット・スクール出身でもないのに、ブリット出身ってだけでやたら過剰反応する連中がいるんだよね。それが逆に不思議でたまらない(笑)」

――クリエイティヴな音楽を作るうえで、学ぶことの大切さ、教育の重要性みたいなものはどういうところにあると思いますか。

マット「いいとこは、実際にプロのミュージシャンとしてステージに立つ前にさんざん間違い時間を与えてもらえるってとこ、それと、いろんな人たちと一緒にプレイできる機会に恵まれてるとこかな。ステージで人前で演奏するミュージシャンとしては、そこが一番大きかった気がする。本格的にステージに立つ前に、いろんなミュージシャンと一緒に演奏しながら揉まれることができたから」

モーガン「うん、そうだね」

――ところで、モーガンはブラック・ミディと並行して、Wu-Luというサウス・ロンドンのプロデューサーが発表したEP『S.U.F.O.S.』にも参加されていますよね。

モーガン「いや、不思議な縁で、もともと何年か前にバークシャー州のスラウで〈Beat Routes〉っていうチャリティー・イベントへの参加の誘いを受けて。そのイベントの主宰者のスペンサー・ルーヴェに『こういうのをやってるんだけど、子供達の前で話してみない?』って言われてさ。そこにドラマーのモーゼス・ボイドも参加してたんだよね。それから何年かして自分がサウスイースト・ロンドンに移ったんだけど、引っ越した先がなんとモーゼスとクゥエイク・ベースってパートナーとの共同スタジオの目と鼻の先だったという。それが縁で繋がったという。サウスイースト・ロンドンって、そうやって結構ミュージシャンが繋がっててさ」

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