「こんなイケメンとなら一年に一度でも幸せ!!」一流セレブの豪邸でイケメンウォッチ! ミーハーおばさんの弾丸トークが止まらない~ツッコみたくなる源氏物語の残念な男女~

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「本当にお気の毒なことでしたね。でも、親がいないことで人に侮られるのは私とて同じ、それも世の常なのですわ。私こそ、父宮のご遺志にもそえず、こうして心ならずも生きていますのに、尼になんて……。それに出家してしまうにはもったいないほどのご器量なのに」。

中の君は浮舟を同じ父をもつ姉妹とみなしてこう言いました。思いやりのある発言に、母の心も救われます。内心(八の宮に見捨てられた者)と、もっと見下されるのかと思っていたのです。

すっかり心を許した中将の君の弾丸トークはとまりません。長年の思い出話、そして東北の景勝地のことなどをとうとうと語ります。卑しい感じもなく小ぎれいな人ですが、太り過ぎなところだけが、いかにも田舎婦人の“常陸どの”といった風情でした。なんかわかる気がする。

「まさかあの御方ほどは…」絶賛のイケメンウォッチ第二弾!

当の浮舟は、“憎むことができないほどの”愛らしさです。女房たちの手前、恥じらって几帳の影に隠れていますが、みっともないほど引っ込み思案でもない。品よくおっとりしているけど、ぼんやりさんという感じでもなさそう。ハキハキした子ではないけど、空気が読めないタイプではないといったところでしょうか。

そして何か一言、二言受け答えする様子は、やはり大君に不思議なまでによく似ています。(人形(ひとがた)を探している薫の君に早速会わせて差し上げたいわ)と中の君が思った時、「薫の大将の君がお見えです」との声が。グッタイミン!

ミーハーおばさんの中将の君はまたまた興味津々で(ぜひ拝見させていただきましょう。ちらっと見た乳母が絶賛していたけれど、まさか匂宮さまほどでは……)

やがて大勢の人のざわめきが聞こえ、しばらくして薫がこちらに向かってきました。匂宮の華やかでセクシーな感じとはまた違いますが、優雅で品よく、落ち着いた風情は格別です。

中将の君はドキドキして(自分の姿が見えているわけでもないのに)慌てて前髪をつくろったりして、思わず居住まいを正します。前フリからこの流れ、ほぼ完璧にコントです。

「昨晩、中宮さまのお加減がよろしくなく、お側に宮さまがたも誰もいらっしゃらなかったので、お気の毒で代わりに今まで詰めていました。匂宮さまは今朝も随分遅刻していらっしゃいましたね」。今日も今日とて、薫が夫の留守を見定めてやってきたのはミエミエ。中の君は警戒します。

大乗り気の母をよそに…荷が重いお願いに思わず辟易

話題はいつも通り大君のことへ。相変わらずの薫の気持ちの深さに同情する一方、同じ口で言われる自分への恋心は煩わしいばかり。気をそらすため「実はあの、人形の娘が密かにこちらにおりますの」と打ち明けます。

薫は突然のことに動揺。臨機応変さにかける彼は喜ぶというよりむしろまごつき、「さあ、そのお人形が本当に僕の願いを満たしてくれればいいんですが……恋しい人の代わりに、私の気持ちも撫でて流そうか」などとごまかします。

中の君は「人形は撫でたあと川に流してしまうもの、いつまでも側に置いておけないと仰っているようで、私としては不憫ですわ」と反発。確かに、そんな言い方ないでしょ!

しかし薫はあくまでも中の君への愛(という名の執着)を主張。夜も更けて着きたし、中の君は浮舟たちがなんと思うかとそれも心配で、とにかく今日だけは早く帰るよう促します。やっとのことで薫も折れ、彼女によろしく伝えてくれと言い残して帰っていきました。

詳細を知らぬ中将の君は、(理想的なお方)と、薫の去ったあとの芳しい残り香をかいでうっとり。女房たちが薫の特異な体質を「お経の中にも香りが尊いことを褒めている」などというのを聞いても、思わずニンマリです。元はと言えばそういう聖人設定だったんですが、今では完全なこじらせストーカー。

中の君は「薫の君は、一度思われたことは執念深いまでに思い詰めるお方なの。今はご新婚ということもあって、そこは気になるでしょうが、尼にとまで思うのでしたら、同じことと思ってチャレンジしてみては」。

中将の君は「出家もやむなしと考えていましたが、薫の君を拝見して心が変わりました!あんな素晴らしいお方にお仕えできるなら、たとえ下働きでも光栄なことです。

こんなおばさんですらそう思うのですから、若い娘ならましてあの方に憧れることでしょうが、何と言っても身分が低いために、かえって世間の笑いものにされるのでは、とそこだけが気がかりです。

身分の高低に関わらず、女というものは恋愛沙汰で、来世までの苦しみを負うとか申します。そんなことになるのもかわいそうですので、どうか中の君さまのよろしきようにお計らい下さいませ。何卒、お願い申し上げます」。

さすがに来世のことまで頼まれると、中の君も荷が重い。「さあ、今までのことはともかく、先のことは誰にもわかりませんわ」。

そのうちに夜が明け、常陸介が牛車とともに怒りの手紙を届けてきました。「母ちゃんは家をほっぽりだしてどこさ行ったべ!!」。確かに主婦がいつまでも家を明けてもいられず、幼い子どもたちも不安がっているだろうと、中将の君だけが帰宅することに。

今まで母と離れて生活したことのなかった浮舟は、少し心細いのですが、華やかな二条院で、美しく優しい姉の中の君のそばに居られるのを、娘心に嬉しく思うのでした。イケメンウォッチングに熱心なのはお母さんばかりで、当の本人は関心を示していない点がポイントです。

簡単なあらすじや相関図はこちらのサイトが参考になります。
3分で読む源氏物語 http://genji.choice8989.info/index.html
源氏物語の世界 再編集版 http://www.genji-monogatari.net/

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(執筆者: 相澤マイコ) ※あなたもガジェット通信で文章を執筆してみませんか

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