働き方先進国、フィンランドのワークスタイルについて(後編) (note/ikkaku -サラドの情報発信メディア-)

働き方先進国、フィンランドのワークスタイルについて(後編)

今回は『note(ikkaku -サラドの情報発信メディア-)』より中村 洋一郎さん執筆の記事からご寄稿いただきました。

働き方先進国、フィンランドのワークスタイルについて(後編) (note/ikkaku -サラドの情報発信メディア-)

フィンランドの広告業界に15年間勤務した後、現在はニューヨークを拠点に活動するメディア・ストラテジストのテロ・ホンカラさん。日本文化にも造詣が深いホンカラさんに、ムーミンとマリメッコを生んだ働き方先進国フィンランドのワークスタイルをお聞きするインタビューの後編です。
(前編はこちら)
https://note.mu/salad_tokyo/n/n943df55c60af

前編では、フィンランド企業の特長である「男女間の平等」、「階層に左右されない、率直なオープンコミュニケーション」や、アメリカやスウェーデンとの企業文化の違いをお聞きしました。

後編では、ホンカラさん自身のリーダーシップ体験や健康習慣、フィンランド企業におけるウェルネス面の取り組みについてお聞きしました。

テロさんと筆者

(インタビュー風景:テロさんと筆者)

強い絆とメンバーへの信頼がオープンな雰囲気を作る

— リーダーポジションに初めて着任されたとき、どのようにしてオープンな雰囲気を作ったか、お聞かせください。

当時、リーダー経験はまったくのゼロでした。始めは、考えうるあらゆる失敗を犯し、大変難しい時期でした。

一番難しかったのは、いい人、話しやすいリーダーと、チームの目標を達成するために、ときに厳しく、叱咤激励するリーダーという二つの役割のバランスでした。

メディア、エンターテイメント業界で働く人達は、基本みな仕事が好きで、何かしらの強いパッションを持っています。労働文化として、これは素晴らしい原動力で、労働環境は刺激的で、とても前向きです。

このパッションをチームの力にすべく、皆で外出したり、集まったり、絆を強めることに力を入れました。団結していると、なにか問題が起きても、簡単に早く解決できます。

また、チームメンバーを信頼して、細かいことには気にしないようにもしました。メンバーは自分より優れている人材ばかり。信頼している上司が、自分より優れた人材を雇用しろ、と常々言っていたのですが、初めて人を雇用したときは半信半疑でした。非常に有能な人だったので、これは自分のポジションを取られると、かなり悩みました。でも結果的には、そうはならず、そんなことは一度も起きませんでした。

テロさん

(熱のこもった話をしてくれるテロさん)

企業ウェルネスは会社と社員の責任

— フィンランド企業のウェルネス面での取り組みをお聞かせください。

ウェルネスはとても大切にされています。特にワークライフバランスです。フィンランドでは、一日15時間も働くなんてありえません。

仕事をしていると、毎日忙しい、仕事が終わらない、と時間に追われ、限界を感じたり、混乱したりします。そういう状況には会社からの助けが必要です。一人で解決できない問題をみつけたら、すぐに会社に相談します。

大切なのはそのアクションを起こすこと。これは社員の責務です。そういう意味で、ウェルネスは企業だけでなく、社員の責任だと思っています。以前の上司がよく、「よい上司になる努力だけではない。チームメンバーの一人ひとりが、よいチームメンバーになろうとする努力も大事だ。」と言っていました。

これはウェルネスも同様です。どのような福利厚生サービスが必要なのか。それはなぜか。そして、それをなぜ、会社として取り組むべきなのか。企業からの提案を待つだけでなく、社員から発信・提案していく姿勢が大切だと思います。一方企業側も、日々変化する社員ニーズを察知し、それを新たな取り組みに転換できる仕組み・文化の構築が必要だと感じます。

頻繁に利用される社内のウェルネスサービス

— 社内には医師やセラピストなどもいるんですか。

社内には医師がいて、手厚いサポートがあります。セラピストもいます。予防医学と言うのでしょうか。一般的には、まず医師に相談して、その後会社負担で無料のセラピーを数回受けられます。

会社は社員に健康でいてもらいたいので、解決が早ければ早いほど、業務の効率性も上がる、という考え方です。社員は一人で思い悩まなくていいのです。

— 利用率はどの程度でしょうか。日本では無料でも利用されないというサービスを多く見かけます。

利用率は高いです。病院やセラピストのサービスを受けることが、失敗でも、敗北でもないという認識が浸透しているからだと思います。できるだけ予防して、問題があれば早く解決して、できるだけ早く業務に戻る。それがベストです。

私がリーダーポジションに初めて着任し、どうしたらいいかわからず混乱してしまっていたときも、そういったサービスに非常に助けられました。

他にも社内ウェルネスの一環として、月に一度「アカデミー」という会もありました。人事部が企画して、著名なスピーカーを招いたり、歌手が歌ったり。業務とは離れた場所で、インスピレーションを得たり、違うチームメンバーと交流したりする、クリエイティブな会です。これが一般的とは言いませんが、いままで勤めた企業では全て行っていましたが、他の業界でも似たようなことはしていると思います。

— 企業ウェルネスに関して、特に先進的な取り組みを行っている企業はどこでしょうか。

テクノロジー系、スタートアップ系は、とても先進的です。例えばゲーム会社のRovioやSupercellなど。本当にカジュアルで、フォーマルな面が全くない。外見だけで社長や役員を見分けるのは不可能です。

毎晩の振り返りとウォーキングが、ニューヨークでの仕事を支える

–最後に、ホンカラさんご自身のウェルネス習慣を教えてください。

毎日の振り返りは欠かせません。異文化の中で働くと、自分の声を見失いがちになります。私の場合は、毎晩寝る前に、仮にどんなだめな日であったとしても、その日に起きた前向きなこと、よかったことを5つ探しています。

本当にだめな日でも、太陽が輝いていたな、この人と面白い話したなとか、そんなものでいいんです。それが自分を落ち着かせ、自分の声に耳を傾けるきっかけになります。私なりのメディテーションです。

あとは運動、特に出来るだけ長距離歩くことを意識的に実践しています。これだけでとてもいいストレス解消になります。それにニューヨークの街を満喫できるというオマケも付いてきます。

テロさんと筆者

(テロさんインタビューのご協力ありがとうございました!)

 

執筆:中村 洋一郎(@Yoichiro32)

中村 洋一郎(NY在住 人と組織のコンサルタント)
企業は人なり – 健康は生活習慣に宿る – 伝統とエビデンス – 身体との対話 – 米国栄養療法協会認定 栄養療法コンサル
https://note.mu/yoichironakamura

 
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https://note.mu/salad_tokyo

 
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代表はAppleの元営業でした同僚の病気がきっかけでオフィス向けのB2Bサラダデリバリーを始めることを決意
ランチは午後の自分への投資として考えオフィスにいる間のパフォーマンスをベストな状態に整えるためのサラダランチを提案しています
https://www.salad.co.jp

 
執筆: この記事は『note(ikkaku -サラドの情報発信メディア-)』より中村 洋一郎さん執筆の記事からご寄稿いただきました。

寄稿いただいた記事は2019年10月2日時点のものです。

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