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ザ・なつやすみバンド インタビュー前編 「常にポップスというものは、導いてくれて、迷わせもするもの」

ザ・なつやすみバンド インタビュー前編 「常にポップスというものは、導いてくれて、迷わせもするもの」

 ザ・なつやすみバンドの新作ミニ・アルバム『Terminal』が現在ストリーミング・サービス等で配信中だ。2008年の結成以来、進化の歩みの中で、唯一無二の音楽性を培ってきた彼ら(詳細:特集:ザ・なつやすみバンド~唯一無二の個性を持つバンドの変遷)。『Terminal』はそんな彼らの現在地を告げる、非常にユニークでポップな作品に仕上がっている。

 そして、9月16日からは同作を引っさげた東名阪ツアーも開催。今回のツアーでは会場限定で『Terminal』のCD販売と、彼らの1stアルバム『TNB!』のアナログ12インチLPの先行販売がそれぞれ行われる。また、最終日の9月24日、ビルボードライブ東京公演では、1stステージにて『TNB!』の再現+初期の名曲で構成されたスペシャル・ステージも披露される。

 そんな一幕を前に、Billboard JAPANではバンドへのメール・インタビューを実施。その応酬を前後編にてお届けする。『Terminal』、そして『TNB!』を聴きながら、ぜひ楽しんで欲しい。(回答者:MC.sirafu、中川理沙、高木潤、村野瑞希)

──『Terminal』は、端正でポップで身近に感じつつも、とてもディープで不思議な感触もあって、非常にユニークなアルバムだと思いました。アルバムについて、皆さんはいまどんな印象を持っていますか?

中川:それぞれの曲が出来たときにはバラバラだな…と思ったのですが、形にしてみると不思議とまとまっていて、今までとは違った冒険をしているような作品になりました。次に作るものが見えてきそうな…。

高木:色んな曲があるのは毎回ですが、アイディアやイメージをきちんと共有して、それをきちんと形にできた印象があります。個性は出しつつも同じグルーヴ感で作りきれた印象も。とても聞きやすくて大好きなアルバムになりました。後述の合宿レコーディング・スタイルが大きかった気がします。

MC.sirafu:今、曲たちが実際にライブの現場で演奏されようとしています。演奏されたその時初めて、『Terminal』が完成する様な気がしています。

──管弦楽を含めたアレンジがとても濃密で、それがメロディやリズムといった楽曲の骨子と密接に絡み合っているように感じられて、とても興味深かったです。新作において、作曲とアレンジはどのように橋渡しをされて、このようなアルバムに着陸したのでしょうか?

中川:今までのアルバム全てにチェロの関口将史さんが参加してくれていたり、最近はフルートの池田若菜さんがいつもライブに出てくれていたりするので、管弦楽が入ることをイメージしながら作曲出来るようになってきて、楽曲の幅が広がったような感じがします。
 とはいえ、それぞれに弾いて(吹いて)もらうフレーズなどはほぼ丸投げで… レコーディングの時に「どんなの弾いてくれるんだろう」とみんなでわくわくしながら聴いています。出来上がったときには自分の想像をはるかに越えていることが面白いし、みんなで力を合わせて作った感が強いアルバムになりました。

MC.sirafu:10年間バンドを続けて来て出会った大事な仲間であり、リスペクトできる演奏家たちです。彼らに出会ったことも我々にしかできない、バンドの「アレンジ」だと思っているのです。

──新作はバンドにとって初の合宿でレコーディングをしたアルバムだそうですね。アルバムの濃密なサウンドを楽しみながら、その様子を想像したりしているのですが、実際のところ、合宿はどのような感じだったのでしょうか?

中川:合宿が始まる前は毎日一緒に過ごすって結構厳しいのでは…と思っていましたが、めちゃめちゃ楽しかったです。緑が豊かですごく気持ちのいいところで、メンバーの作ったご飯もおいしくてずっと音楽が鳴り続けていて、毎日笑い泣きしていた気がします。

高木:修学旅行のようでした。空き時間には料理を、夜は花火もしました。通いのレコーディングと違い、日に日に一体感が増していくのを感じました。開始ギリギリまで寝て、終わったらすぐ寝れるというのも良かったです。

村野:その日にあまりすることのない人たちでご飯を作ったり、あまり夜更かしもせず、普段より健康的な生活をしていました。カメラのアプリで遊んだり、和気藹々。大きなトラブルも無く進みましたが最終日に大雨と雷で停電…散歩から帰ったらみんなが「風になりたい」を演奏したり踊ったりしていました。

──『Terminal』は、生活にしっかりと寄り添ってくれる正統的なポップスのように思える部分と、ふと気づいたら全然見たこともない、でも綺麗な路地に迷い込んでしまった…みたいな白昼夢のような部分とが、平然と隣り合っている、ある意味で、とてもアナーキーなアルバムなのではないかと思いました。なぜ、改めてこのようなアルバムを作ろうと思ったのでしょう?

中川:自分の憧れている音楽がまさにそういう音楽です。(ブラジルの)ミナスの音楽の、キャッチーでありながらどこか不安になるような、トリップできるような不思議で鮮やかな世界に憧れていて、ほんの少しでも近づけたら嬉しいな~と思い続けています。

MC.sirafu:常にポップスというものは、導いてくれて、迷わせもするものだからではないでしょうか?僕はそう思っています。

──今回『Terminal』を発表するにあたって、配信+ライブ会場でのCD販売という方法を選んだのはなぜでしょうか?

MC.sirafu:ヴァイナルとサブスクの距離を確かめたかったのではないでしょうか?

──『Terminal』は「旅行三部作」の第一作という位置づけになるそうですが、そもそも「旅行三部作」とはどのようなプロジェクトなのでしょう?

中川:毎年1枚ずつだして三部作にしようという話を飲み屋でして…。旅を続ける中で、変わってゆくことや、また新しく見つけること、その時に思うことと向き合いながら、そのときの自分たちを記録してゆこう、という気持ちでいます。

MC.sirafu:「旅行」はTNBにとっても大きなテーマです。3年かけてみんなで取り組む自由研究の様なものですね。

──今作のミニアルバムという形態は、サウンドの濃密さを堪能するにはピッタリのコンパクトさなのではないか、と思いました。実際、ミニアルバムという形にしようと思ったのは何故なのでしょう?

中川:毎年1枚は出したいのですが、フルアルバムだと今年は間に合わない気がして… 曲数少なくぎゅっと集中させることで、一曲に対するこだわりが強くなったのかみんなやりたい放題出来て面白かったです。

MC.sirafu:考えずにできたものを次々形にしたかったからです。

(インタビュー後編に続く)

◎公演情報
【ザ・なつやすみバンド
『Terminal』リリース記念
夏のしおりツアー2019】

ビルボードライブ東京:2019/9/24(火)
1stステージ:『TNB! 』再現プラスα
2ndステージ:『Terminal』リリース記念ライブ

1st Stage Open 17:30 Start 18:30
2nd Stage Open 20:30 Start 21:30

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