最新作『ゴーストランドの惨劇』日本公開 フランスの鬼才パスカル・ロジェ監督作品を振り返る[ホラー通信]
最新作『ゴーストランドの惨劇』の日本公開を8/9に控えるフランスの鬼才、パスカル・ロジェ監督。新作を待ち焦がれるファンの多い彼の作品を振り返ってみましょう。
『MOTHER マザー』(2004)
50年代の孤児院を舞台にしたミステリアスなホラー。閉鎖寸前の孤児院で働き始めたアンナは、もういないはずの子供の声や足音を耳にするようになり、孤児院に隠された秘密を探りはじめ……。
多くの謎を残すストーリーがあまり支持されなかった本作ですが、不吉で美しい神秘的なムードに引き込まれます。どこか不安定なアンナを演じるヴィルジニー・ルドワイヤン、孤児院に残ったまま大きくなった、少女と大人の中間のような女性ジュディスを演じるルー・ドワイヨンもいい味を出していました。
『マーターズ』(2009)
1970年初頭のフランス、行方不明となっていた少女リュシーが路上を彷徨っているところを発見される。何者かに廃墟に監禁され、長期に渡って拷問と虐待を受けていたリュシーは事件の詳細を語らないため、捜査は難航を極めていた。養護施設に収容されたリュシーは、少女アンナの献身的な介護で平穏な生活を取り戻してゆくが……。
多くの人にトラウマを植え付け、一方で熱狂的なファンをも生んだ『マーターズ』はパスカル・ロジェの名を世に知らしめるきっかけとなりました。正視できないほどの凄惨な拷問の果てに何があるのか。一度観たら最後、様々な憶測が飛び交うあのクライマックスが永遠に頭を離れないでしょう。
『トールマン』(2012)
6年前に鉱山が閉鎖され、急速に寂れていく炭鉱の町コールド・ロックで、次々と幼い子どもたちが行方不明になる事件が発生。人々は正体不明の誘拐犯をトールマンと名づけ恐れていた。町で診療所を開く看護師のジェニーは、ある夜、自宅から何者かに連れさられた子どもを追って傷だらけになりながらも、町外れのダイナーにたどり着く。しかし、ダイナーに集う町民たちは奇妙な行動をとり、やがて想像を絶する真実が明らかになる。
『マーターズ』で味をしめて観客の期待に応える残酷ホラーを作りそうなところを、敢えてのサスペンス・スリラー『トールマン』を突きつけるのがロジェ監督。子供を奪う“トールマン”の予想外の正体は、観客に疑問を投げかけ、「あぁ面白かった」で終わらせずに深く思考することを促します。
『ゴーストランドの惨劇』 8月9日公開
人里離れた叔母の家を相続し、そこに移り住むことになったシングルマザーのポリーンと、正反対の性格を持つ双子の姉妹。新居に到着したその日の夜、突然の惨劇が一家を襲う。2人の暴漢が家に押し入ってきたのだ。しかし、娘を守ろうとする母は必死に反撃し、姉妹の目の前で暴漢たちをメッタ刺しにする―。あの惨劇から16年後。内向的な妹・ベスは小説家として成功したが、奔放な姉・ヴェラは精神を病み、今もあの家で母と暮らしていた。久しぶりに実家に戻ったベスを母は迎え入れるが、ヴェラは地下室に閉じこもっていた。そして、ベスに向かって衝撃の言葉をつぶやく――。
待望の最新作は、観る者を翻弄する衝撃のホラー。パスカル・ロジェらしさの集大成のような本作は、不快なのに2度観たくなる絶望的なトリックが仕掛けられています。2度観たくなるけど2度目のほうがつらい。でもそれを乗り越えた先には……? 新たなロジェ・ワールドにどうぞご期待ください。
『ゴーストランドの惨劇』
8月9日公開
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