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世帯年収900万円,出産祝い170万円,保育所に楽々入所のシンガポールは、日本より出生率が低い(今日もシンガポールまみれ)

少子化を移民で解決するシンガポール

日本より低い出生率となっているシンガポールですが、解決策があります。移民です。シンガポールは現在でも、人口の1/3が移民です。人口の1割を永住者が占め、彼らが新国民への母体となります。
シンガポールはもともと移民国家です。ラッフルズがシンガポール島に上陸した時には、現地民はわずかに数百人でした。そこから交通の要所として発達しますが、労働力は当然移民です。シンガポール人は、移民には他国より寛容ですが、さすがに移民を入れすぎて、2011年総選挙では与党PAPが大きく議席を減らします*7 。これを受けて、与党PAPは大きく方向転換。マイルドな移民の受け入れとなり、2015年の総選挙では地滑り的大勝利を収めました。

*7:「シンガポール2015年総選挙~得票率70%で大勝の与党PAP~」 2015年9月25日 『今日もシンガポールまみれ』
http://uniunichan.hatenablog.com/entry/20150925GE2015

「現在の合計特殊出生率1.2のままでは、2060年には国民人口は2/3に減少する。これを食い止め国民人口を安定させるには、毎年2万人の移民による新国民が必要」というのが、政府の説明です。シンガポール政府は、激しい批判を受け、労働ビザ発給を厳格化し、永住権保持者の受入数は最盛期の年8万人から3万人に絞りました。しかし、新国民の数はこの長期的視野に基づき年2万人の受け入れを着々と実行させています。

「移民と年金:「日本のような高齢化社会にシンガポールをしてはならない」と指摘するシンガポール首相」 2015年1月1日 『今日もシンガポールまみれ』
http://uniunichan.hatenablog.com/entry/20150101SG-Population_ageing

国民はこれ以上の移民が嫌でも、「お前たちが産まないから、移民を入れるんだ」という政府のロジックと戦わなければなりません。シンガポールでは「経済発展は要らないから、移民も要らない」という考えが広範な支持を得るには、国民は踏ん切りがついていません。

子育て支援と少子化対策は別物だった?

「子どもを産む環境が整備され、経済的・肉体的・精神的な負担が減ると、子どもは増えるはず」、というのが従来の考えです。これまでは、保育所の充実や子育てへの支援を語られる時に「それが少子化対策であり、国益だから」という前提で話をされることが一般的でした。「子育ては親のエゴなだけでなく、お国のためなんだから、カネを出すのは国の義務だ」という話です。
しかしながら、所得が高く支援が充実しているシンガポールの方が少子化が進んでおり、沖縄や発展途上国の方が他産なことを考えると、経済支援や保育所の充実では少子化対策にならないのではないか、という仮説が生まれます。

「子育て支援と少子化対策は別物」というのはあくまで仮説です。複合要因がからみあっていて、それらへの対策と子育て支援が組み合わさると、改善に向かう可能性もあります。また、子どもを0人を1人、1人を2人以上にするのは別のアプローチが必要なのは、容易に思いつきます。「お金があれば、子育てが楽なら、子どもはもう一人欲しかったのに」という家庭には従来の支援がミートする可能性はあるでしょう。ですが、1人を2人以上にするアプローチでも、従来型の政策は、費用対効果が悪い可能性があります。「それをやったところで、本当に産んだ家庭はどれだけあるんだ?」ということです。「子どもはいらない」「結婚もしていないのに」という人に、保育所の定員増は心を動かさないでしょう。

国と国民の利害が一致しない

それでも子育て支援を堂々と主張しよう

子育て支援が、国益である少子化対策に直結しない、という可能性が出てきました。

シンガポール政府のことなので、私が指摘していることは承知の上で今の政策をとっているはずなんですよね。「していなければ、今より悪化していた」というのが政府主張です。
「政府に従順」と言われる国ですが、人口政策では政府は歴史的にずっと負け越しです。言ったように人は動きません。

ロジックとして成り立つのは2つです。

・少子化対策には子育て支援とは別に、見落とされてきた要素がある
・従来の子育て支援をしていなければ更に悪化していた。逆に言うと、子育て支援に更に突っ込むと、改善に向かい出すはずだ。

しかし、たとえ子育て支援が少子化対策になろうがなるまいが、利害関係者は今後も堂々と「子育て支援の充実」を訴えるべきです。少子化対策では費用対効果の疑問が残りますが、子育て支援が国としての未来への投資であることには変わりはありません。
日本の経済的凋落で、共稼ぎ家庭は増加します。核家族化の進行も避けられません。専業主婦や大家族の時代に戻すことはできないのだから、関係者だけでは対応ができない子育て支援を行政はすべきです。これは国民が国に期待する役割で、税金はそのために使われると信じています。ライフステージで当事者のキャパシティを超えるイベントに対して、支援を行う国で日本はあって欲しいと願います。

補足

残念ですが、はてブのシンガポールのコメント*8 は、ファクトチェックを通らないものが多すぎです。

*8:「高校まで学費は激安で保育園待ちなし出産で170万円貰えるのに日本より出生率が低いシンガポールの話、行政の支援は出生率向上につながるのか – Togetter」『はてなブックマーク』
https://b.hatena.ne.jp/entry/s/togetter.com/li/1361258

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