【プロ監修】ナスの育て方・栽培方法|家庭菜園
家庭菜園の人気野菜「ナス」の栽培・育て方をプロが徹底解説。 支柱の立て方や、追肥、収穫方法など美味しいナスを育てるために大切な情報ばかり!【家庭菜園の基本シリーズ】
加藤正明さん
練馬区の農業体験農園「百匁の里」園主。 NHK Eテレ「趣味の園芸 やさいの時間」では、栽培管理や講師を務める。著書に『甘やかさない栽培法で野菜の力を引き出す 加藤流 絶品野菜づくり』(万来舎)がある。
ナスを栽培する前に知っておくべきこと
暑さと湿気に強く、高温多湿の日本の夏でも元気に育つナス。
病害虫対策を行って上手に夏を越せれば、秋まで長く収穫できますよ。
育て方で一番のポイントは、枝葉を伸び放題にせずに整枝すること。
ナスは一枚一枚の葉が大きく、株も横に広がるため、放任で育てると枝葉が混み合って日当たりや風通しが悪くなるためです。
そうすると、病気や害虫が発生しやすくなるほか、実に養分が回りにくくなり、収穫量が減ってしまう事態に・・・。
ナスの栽培では、主枝(株の中心の枝)+側枝(わき芽が伸びたもの)2本の合計3本の枝のみ伸ばす「3本仕立て」にすることが大切。
収穫中も、下葉を切る、枝を切り戻すなど枝葉の整理を続けましょう。
さらに、予防的に薬剤を使って、うどんこ病を防ぐのもオススメ。
適用のある薬剤を葉に撒布することで株が健康に育ち、長期間収穫を楽しめます。
また、ナスは肥料と水が大好きで、一度でも肥料切れや水切れを起こすと、その後の生育や実つきが極端に悪くなりますよ。
定期的な追肥を忘れずに行うほか、ナスのプランター栽培では水やりも欠かさずに行って。
畑では、植えつけ時に黒色のポリマルチ(ポリフィルムのシート)を張っておくと、土の乾燥を防いでくれます。雨などによる土のはね返りを防いで病気の発生を防ぐ効果もあるため、ぜひ、ひと手間かけてください。
【ナス栽培データ】
ナス科 ●畝のサイズ(※長さは自由)畝幅:70㎝、畝の高さ:5~10㎝、株の間隔:70~80㎝以上 ●適正pH:6.0~6.5 ●土のpH調整(植えつけの2~3週間前) 苦土石灰:100~150g/平方メートル ●元肥(1~2週間前。溝施肥)牛ふん堆肥:0.5L/平方メートル、有機配合肥料(N-P-K=3-9-10程度):40~50g/平方メートル、熔成リン肥:約10g/平方メートル、米ぬか:0.2L/平方メートル ●気をつけたい病害虫:うどんこ病、アブラムシなど
ナスの栽培カレンダー
ナスは品種によって、収穫適期のサイズが異なります。タイミングよく収穫しましょう。
※寒冷地
植えつけ:5月下旬~6月下旬
収穫:7月下旬~10月上旬
※暖地
植えつけ:4月下旬~6月中旬
収穫:6月中旬~10月下旬
※寒冷地・・・北海道、東北、新潟県、富山県、石川県、高冷地。
※中間地・・・福井県、関東甲信、東海、近畿、中国、九州北部。
※暖地・・・四国、九州南部、沖縄県。
【5月上旬〜6月下旬】植えつけ・仮支柱立て
畝にポリマルチを張ってナスの苗を植えます。
仮支柱として、竹ひご2本を斜めに交差させ、株を軽く挟んで立てて。
植えつけ後は防虫ネットをトンネルがけして強風を防ぐと、根の活着がよくなります。
【6月上旬〜7月下旬】整枝・支柱立て
植えつけの1か月後、最初の実(一番果)がついたら、トンネルを外して整枝。
最初の実のすぐ下のわき芽2本を残し、それより下のわき芽は摘み取ります(3本仕立て)。長さ240㎝の支柱を2本立て、ナスの枝を誘引して。
【6月上旬〜10月上旬】追肥
整枝後から2~3週間に1回、化成肥料(N-P-K=8-8-8)40~50g/平方メートルを追肥。
マルチの裾をめくって畝の端に肥料をまき、土となじませてマルチを元に戻します。
同時に通路を深さ20~30㎝まで耕す(中耕)と、根がよく張りますよ。
【6月下旬〜10月下旬】収穫・枝葉の整理
株が小さいうちにつく最初の実と二番目の実は、株の負担を減らすため、小さめで収穫。
その後は、品種特有のサイズで皮につやがあるうちに収穫します。
取り遅れると株の負担になり、実つきが悪くなるので要注意。
【Point】収穫中も枝葉を整理して病害虫の発生を防ぐ
ナスの株の下の方の黄色くなった葉や枯れた葉は、つけ根から切ります。
また、ナスの実を収穫した後は、上図のように葉を1~2枚残して枝を切り戻し、株をコンパクトに保つことが大切。いずれも日当たりと風通しをよくして、病害虫を防ぐ効果があります。
【Column】ナスのプランター栽培のポイントは?
直径、深さともに30㎝以上、容量15L以上の深型プランターに1株植えます。
最初の実がついた頃、整枝して長さ150㎝の支柱を1本、主枝の脇に立てて、枝をひもで誘引。
追肥は整枝後から2~3週間に1回、化成肥料10gをまいてください。
プランター栽培では、水やりのたびに肥料分が流れ出てしまうため、肥料切れに要注意。
乾燥する梅雨明け後は、水切れにも気を付けましょう。
【ナスのレシピ】ナスの和風カレー
隠し味のめんつゆでまろやかにするのがポイント!
ナスを収穫したら、ぜひ試してみてくださいね。
【材料】(作りやすい分量)
中長ナス(乱切り)・・・3本
甘トウガラシ(万願寺、甘長など。乱切り)・・・2~3本
タマネギ(薄切り)・・・1/2個
シメジ(小房に)・・・1/2パック
厚揚げ(縦半分、7~8㎜厚さ)・・・1/2枚
サラダ油・・・大さじ1
カレー粉・・・大さじ1
めんつゆ・・・大さじ3
だし汁・・・1と1/2カップ
片栗粉・・・大さじ1
【作り方】
鍋を中火にかけてサラダ油を熱し、タマネギを炒める。その他の野菜とシメジも炒め合わせ、カレー粉を加える。
だし汁、めんつゆを加え、ふたをして5~10分間加熱する。
厚揚げを加え、片栗粉大さじ1を同量の水で溶いて混ぜる。
ナスの栽培方法・育て方はいかがでしたか?
正しいナスの育て方をマスターして、たくさん収穫してくださいね!
写真・渡辺七奈/万来舎・丸山滋/八木竜馬/加藤正明
イラスト/小春あや
構成、文、料理写真、料理監修/北村文枝
「Pacoma」はホームセンター系のフリーペーパーに出自を持つ、「暮らしの冒険」がテーマのライフスタイル系Webマガジン。ノウハウ記事からタレントの取材記事まで「暮らしを楽しむためのアイデア」をテーマに日々発信しています。
ウェブサイト: http://pacoma.jp/
- ガジェット通信編集部への情報提供はこちら
- 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。