アジア最大&最新鋭! 横浜初寄港の巨大客船“スペクトラム・オブ・ザ・シーズ”を船内見学レポート
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6月10日、アジア地域で就航している客船としては最大となる巨大客船が、初めて横浜港に来航した。その名は“スペクトラム・オブ・ザ・シーズ”。クルーズライン最大手のロイヤル・カリビアン・インターナショナルが今年4月に完成させたばかりの最新鋭船で、同社が所有するクァンタム級の4番目の船となる。
『スペクトラム・オブ・ザ・シーズ』スペック
全長:347メートル
全幅:41メートル
喫水線からの高さ:63メートル
総トン数:16万9379トン
喫水:8.8メートル
巡航速度:22ノット
客室数:2137部屋
乗客定員:4246人
乗員:1551人
推進:アジポッド2×20.5MW/バウスラスター4×3500kW
船籍:バハマ
全長は東京タワーを横に倒したよりも長く、総トン数はライチ560億個分!……って言われてもサッパリ分かんないけど、なんかすごい! そんなアジア最大の最新鋭船が初めて日本にやって来ると聞いて、心ときめかない男子がいるだろうか? というわけで、10日に横浜港にやって来たこの巨大客船を、大きなものが大好きな5才児(おっさん)の視点でレポートしちゃうゾ。
船体:16階建ての巨大マンションが浮かんでる!?
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6月3日に上海で命名式を終えたばかりのスペクトラムが大坂・神戸を経由して横浜初寄港。横浜ベイブリッジをくぐれないほど大きいため、今年4月にオープンした大黒埠頭客船ターミナルに接岸。岸壁から見上げた印象は船というよりも高層マンションだね、こりゃあ。外観のインパクトは、昨年8月に横須賀で空母ロナルド・レーガンを見た時以上かもしれない。なお、本船は2020年に開業予定の東京国際クルーズターミナルの開業第1号船(7月14日入港予定)に決定しているそうだ。
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あいにくどしゃ降りの雨で、ゆっくり外観を撮影する時間がなかったので橋の上を走るバスからの写真でお茶を濁す。かまぼこ型のテントのようなところが客船ターミナル。出入国審査と税関の職員がいて、取材記者も含め乗船客はパスポートの確認と持ち物検査を経なければならない。さらに乗船時にも、首から提げるICパスカードと顔認証、持ち物のX線検査によるセキュリティチェックがある。日本の米軍基地に入る時よりも厳しいゾ! 残念ながら当日は満室だったため、どこも客室内の撮影はできなかった。
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船の中に大通りが!? ティファニー、カルティエ、ブルガリといった高級ブランドの免税店が軒を連ねる4階・ロイヤルエスプラナード。廊下や階段の壁面にはそこかしこに絵画や彫刻のような美術品が飾られている。きっと名のある芸術家の作品なんだろうね。筆者は5才児だからちょっと分かんないけど。
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乗客用だけで16基もあるエレベーター。5階から15階までは吹き抜けになっている。船の構造は全16階層で、3~5階がレストランと商店、それに劇場やカジノなどの娯楽施設。6~12階が普通客室。13~16階がスイート客室とVIP専用レストランと、プールや運動場などの娯楽施設が集まっている。
動画:MEYER WERFT – Der Bau der Spectrum of the Seas(YouTube)
https://www.youtube.com/watch?v=iMryDexveco
ドイツの造船所が公開したスペクトラム造船のハイライト動画。巨大なスクリューとか、前後のパーツを合体させるところとか、すべてが興味深い。このスペクトラムはアジア最大だが、カリブ海にはこれよりさらに6万トンも大きい世界最大のオアシス級が就航している。
食事:フルコースが食べ放題!
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最も揺れが少ない船尾にあるメインダイニングは3階から5階までが広い吹き抜けになっていて船内だということを忘れそう。朝・夕、各2回の入れ替え制で、一部の追加メニューとアルコールドリンク以外はフレンチ、中華などのフルコースが基本的に食べ放題。船内にはここを含めて全17のレストランがあり、うち9店は追加料金なしで利用できる。他の8店はパスカードに料金が記録され後でクレカもしくは現金で精算することに。
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日本料理店“IZUMI”では、職人さんが目の前で握る寿司や刺身、ラーメンなどが味わえる。お値段はマグロの寿司が2貫で8ドル、豚骨ラーメンが13ドルなど。思ったほど高くもない? イギリスのセレブシェフが経営する“ジェイミーズ イタリアン”もここでは元気に営業中だ。
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その他、カジュアルなビュッフェ、鉄板焼き、火鍋、ホットドッグスタンドなども充実。こんなスイーツまで食べ放題って、ちょっとすごくない!?
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ロボットのバーテンダーがカクテルを作る“バイオニック・バー”。ロボットのくせに「シャカシャカ」とシェイクしたり、グラスに移す時に注ぎ残しがないようにシェイカーを「ピッ、ピッ」と振ったりと、小芝居を交えた動きで見た目にも楽しい。ロボットアームは中国・美的集団傘下のKUKAロボティクスのものが使われているようだ。母港が上海で中国人客が多くなるため、船内の案内表記は中国語と英語が基本だった。一番お金を落としてくれる人を“おもてなし”しないとね。
娯楽:ギネス世界記録認定のアトラクションも
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3階の船の真ん中にあるのがカジノ。やっぱりここで一番お金を落としてもらいたいんだね。日本ではカジノが禁止されているため、寄港中は閉鎖されていた。ルーレットやポーカー、各種スロット台までそろった本格カジノ。すぐ近くにATMもあるので負けが込んでも安心だヨ!
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オーケストラピットのある1300席の劇場、ジャズの似合いそうな小ホール、270度ガラス張りの船尾ホールでは、プロのパフォーマーたちが毎日違った演目を繰り広げる。最大600インチの大スクリーンに投影できるプロジェクションマッピングなど最新の舞台演出装置まで備えている。
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14階から屋上となる16階までは、プールと多目的に使えるスポーツコート、そして様々なアトラクションが集まっている。別料金が発生するけど、サーフィン体験とかスカイダイビング体験までできちゃう。昔、デパートの屋上にあった小さな遊園地みたいでワクワクしちゃうね。5才児だからよく分かんないけど。お金をかけたくなければ、サンルーフの下のソファで一日中日向ぼっこもいいね。船内にはその他、マッサージ室、ジャグジー&サウナ、フィットネスジムなども。
動画:Curious Cruise Jobs: North Star Operator(YouTube)
https://www.youtube.com/watch?v=uSJ6dN4-DQo
「クルーズ船上の最も高い展望デッキ」としてギネス世界記録に登録されている目玉アトラクションが“ノーススター”。アームの先の14人乗りのゴンドラが海面からの高さ93メートルまで上昇して360度の展望台になる。10分程度で25ドルほどかかるけど大人気アトラクションのため予約必須。取材時の屋外デッキは激しい雨と風で撮影している余裕がなかったので、ロイヤル・カリビアン公式の映像をどうぞ。
VIP専用施設:たくさんお金を落としていってね!
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クルーズ船の利用客はやっぱりお金持ちが多い。展望の良い高層階にはスイート客室に宿泊するVIP専用のパスカードを持っていないと入れない施設があって、優越感を満たしてくれるゾ。ステーキにキャビアやトリュフが添えられたりと、料理の質もアップ。
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最上級VIP専用のブティックは、客が店に行くんじゃなくて、デパートの外商みたいに店の方から高額商品を持ってやって来るシステム! 「こちらのネックレスとってもお似合いですわよ奥様」「そうかしら? お値段は1000万円? あら、安いのね。じゃあいただこうかしらオホホ」なんて会話が繰り広げられているに違いない! ちなみに、クァンタム級スイート客室料金の目安を調べようと公式サイトの予約システムをあたってみたところ、直近の日本寄港クルーズのスイート客室はほとんど売り切れ。1部屋だけ残っていた長崎クルーズ4泊5日のジュニアスイートは1人あたり約29万円だった。逆に、最も安いところでは4泊5日で7万5000円からと比較的お手頃な部屋も。この夏はひと味違うクルーズ旅を検討してみてはいかが?
ロイヤル・カリビアン・インターナショナル公式サイト
https://www.royalcaribbean.jp/[リンク]
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(執筆者: ろくす) ※あなたもガジェット通信で文章を執筆してみませんか
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