【三陸鉄道グルメ旅】うに弁当・遠野のジンギスカンに舌鼓!
♪ 来ーーて〜よ そ〜の火ーをー 飛ーび越〜えてーー……
歌って食べて酔いどれる料理家スヌ子です、こんにちは。
受験生ふたりを抱えておりましたが、この冬、ハイひとり片付いたー! というタイミングで、癒しを求めて北へと向かいました。
美酒をお供に、東北・三陸ご当地グルメを訪ねる乗り鉄旅。
JR東京駅から東北新幹線でJR八戸駅へ、その後、三陸の海岸線をぐるりと巡る2日間は、疲れ切ったわたしに優しい、ゆるトラベルといえましょう。
【行程】
疲れた人にこそおすすめ。ゆるゆる乗り鉄旅
北リアス線で、予約必須のうに弁当を堪能
休暇村で三陸の潮彩ビュッフェ
バラ色の朝焼け
カッパシティ遠野で名物ジンギスカン
懐かしムードのマルカンビル大食堂
疲れた人にこそおすすめ。ゆるゆる乗り鉄旅
東京発6:32発の東北新幹線、はやぶさ1号。
前夜の痛飲が尾を引き、酔いどれたまま、構内の「駅弁屋 祭」へ。お昼に、幻の「うに弁当」を予約済みなので、朝は人気No.1駅弁「牛肉どまん中」をセレクト。さすがどまん中! 山形県産米「どまんなか」を生かす絶妙な味付けの牛肉で、二日酔いの体を優しく目覚めさせてくれました。
やわらか薄切り肉&そぼろの二重奏をバランスよく味わうため、縦方向に食べ進むべし
JR八戸駅までは2時間49分。はやぶさは全席指定、JRの車内誌『トランヴェール』も読めるし、女性用トイレも広くてきれいなのでストレスなしで到着。
ここからJR八戸線でJR久慈駅まで2時間。出発までの50分ほどを、駅構内でお土産を吟味したり、ゆるキャラに顔をはめたり。
ややきつい体勢を強いられる、八戸駅の青い森鉄道「モーリーくん」顔ハメ
車窓から青い海と林が交互に見え始め、思えば遠くへ来たもんだと旅情しみじみ。このあたりから、日々の疲れがゆるっとほぐれて流れていくのを実感……。
北リアス線で、予約必須のうに弁当を堪能
久慈に着きました。ついに来た、来ましたよー!
三陸鉄道久慈駅構内の「三陸リアス亭」、うに弁当!
朝ドラ『あまちゃん』に出てくる「リアスのうに丼」のモデルになったお店
うに弁当は、予約以外は1日限定20食なので、ぜひ予約を。無事に受け取り、ほくほくと三陸鉄道北リアス線に乗り込みました。ここから宮古駅まで、海岸線に沿って71キロを約1時間半かけて南下するのです。
レンガ色のレトロ調車両36-R1形「さんりくしおさい」号。型番の36は「さんりく」をもじっているとか
内装はオリエント急行を思わせるオールクロスシートなのね……などと車両を愛でながらも、心はうに弁当一直線。
動きだすが早いか、八戸駅で買った地酒「陸奥八仙」を取り出しセッティング。はやる心を鎮めつつ、パカリとふたを開けると……
うっ!!! にーーっっっ!!!!! これ、これはまさしく「ウニどまん中」!
いちめんのウニいちめんのウニいちめんのウニたくあんにまいいちめんのウニ(スヌ村暮鳥)※ ここまでとは……! 全面ウニの迫力に気おされながらそろっとひと口。
うっ……うんめがすーーー!!! (カタコト岩手弁・以下同)
※編集部注:元ネタは山村暮鳥の詩「風景」。元の詩ではウニではなく、なのはな。
のっているのは蒸しウニなんです。ほっかりとはかない口当たり、クリーミーに残る余韻。下に潜むごはんがまた、ウニのおだしで炊き込んであるのか、かむほどに磯の旨味がにじみ出て、これだけで立派なおつまみ。
夢中で食べ始め、不覚にもお酒の存在を忘れていたけど、あわててごくり。じぇじぇじぇ、やんだーーー! 全世界に教えたい、このすばらしいマリアージュ!!!
オレンジ色のたくあんが、またいい仕事ぶり。ひと口ひと口惜しみつつ、瞬く間に完食。
うに弁当の名残を反すうしながら望む窓外。青い海と複雑な線を描く海岸段丘、この美しい場所を津波が襲ったのか……という実感が迫ります。
「ウニの香り」というキャッチフレーズがついた白井海岸駅。三陸鉄道北リアス線には各駅に、このような愛称が。陸中野田駅は「ソルトロード」、堀内(ほりない)駅は「義経の祈り」。すべて見届けるべきところ満腹でぐーすか寝てしまい、ハッと気づけば終点「リアスの港」宮古駅に到着。
休暇村で三陸の潮彩ビュッフェ
今日のお宿「休暇村 陸中宮古(りくちゅうみやこ)」までは、宮古駅から路線バスで約30分。
国立・国定公園など優れた自然の中のリゾートとして50年以上もの歴史がある休暇村、施設は安心して滞在できそうな落ち着いた雰囲気。
夕食は三陸の潮彩ビュッフェ。はりきってオープン直後に駆け込めば、じぇ……! 目移りするほどの品数が展開されております。
桶ホヤ、尾頭つき鯛刺身、茹でたて帆立に貝ごろごろ。
これは飲むしかない! と地酒の利き酒セットを頼めば、また盛りのいいこと。
固形燃料で炊けるごはんの量、すごく研究されたんだろうなぁ
楽しかったのはセルフ釜飯。だしとお米が入った釜に好みの具材をのせ、固形燃料が燃え尽きたら5分蒸らしてできあがり。さすが米どころ、とてもおいしい。食べきれなかった分はラップに包んでもらい、お部屋での酒盛りに突入。
寝る前にお風呂に入って、ほかほか気分で就寝。
バラ色の朝焼け
おはよがんす! 日の出は6時20分と前夜確認済み。
ここ宮古は本州最東端の町、運がよければ水平線から昇る朝日を拝めます。まだ暗い空の下、森を抜けて日の出スポットを目指す道すがら、やおら水平線がバラ色に……!
展望台に着いたら、濃いバラ色がだんだんと淡いピンクになって空に消えていく。
雲が多く、くっきり日の出は見られなかったけど、この絶景!
明け切ってからもしばらく、海と空を眺める静かなひととき。
宿に戻ると、部屋からは朝日と対になった月(星かも? 不明)が美しく見えました。
カッパシティ遠野で名物ジンギスカン
宿から無料シャトルバスで宮古駅まで約30分、駅前から岩手県北バスで、道の駅やまだまで約1時間、さらに岩手県交通バスに乗り継ぎ、釜石まで約50分。宮古駅から路線バスで釜石まで計2時間ほどのバス旅。その後、JR釜石線に乗り、JR遠野駅までは1時間ほど。
柳田國男著『遠野物語』で知られる民話のふるさと遠野市は、県が「カッパ捕獲許可証」を発行しているれっきとした(?)カッパシティ。駅前カッパ交番や、ポストの上にまで木彫カッパが。
観光案内所「旅の蔵 遠野」は変装グッズ完備で、カッパになる夢もかないます。
いいのかねこれで……と変装し出ていくと、カップルが「カッパいたっ!!」と大喜びしてくれだがら、やっだかいがあっだっぺ(カタコト岩手弁)。
何しにきたんだと正気に返り、遠野駅から徒歩15分ほどの「元祖じんぎすかん鍋 あんべ」へ。こちら、岩手県人で知らない人はいないというジンギスカンの名店。
店内は、小上がりとテーブルがいくつか。地元の方らしき男性がひとり、鉄板を前に、すごい勢いで召し上がっていました。いいねえ。
ホップ生産量日本一の遠野ならではの地ビール、ズモナビールのピルスナーを
ラムは食べやすいけど、マトンは硬くて獣臭の強いイメージが。でも店員さんの「お肉が好きならぜひマトンを」とのおすすめで、両方注文。
丸い鉄板の頂上に脂をのせて熱し、野菜を麓に敷き詰め、間の空間でお肉を焼きます。焼き過ぎると硬くなってしまうので、表面が白くなったら裏返し、すぐにタレをつけてパクリ。
うわぁ……うんめがす! やわらかで、かむと肉汁がじゅわっとほとばしるラムモモ肉は、クセがなく上品な赤身。そしてマトンロース。かみごたえがあるのに筋っぽくなく、草のようないい香り(全然臭くない!)。
さらっとしたタレで、野菜と交互にいくらでも食べられます。お肉のやわらかさは、ベテラン職人さんの手切り技術によるものだそう。
のけぞるほどに食べて飲んで、お支払い時にまたびっくり。ひとり3,000円弱と、お安い……これだけのために遠野に来る価値、大アリ。
懐かしムードのマルカンビル大食堂
つかの間の命の洗たく旅もそろそろ終わり、でもまだ帰途に寄りたいところが。再びJR釜石線に乗り、JR花巻駅まで1時間ほど。花巻の町中にある「マルカンデパート」へ。
このデパート、昭和期には名所として名をはせるも、時代の流れで惜しまれつつ2016年6月に閉店。しかし2017年2月、クラウドファンディングなどにより、「マルカンビル大食堂」として営業再開を果たしたというドラマを聞いたら、確かめずにはいられません。
アーケード街にある、懐かしさ漂う建物。エレベーターを降りると……ステンドグラスに食券カウンター! グッ!! (懐かしさに涙)
マルカンビル大食堂のソフトクリーム。全長約25㎝、巻き名人の腕前に感服。
そして名物ナポリかつ。名前のまんま、トンカツのせナポリタン。まだおなかいっぱいだけど、ここまで来たら頼まないわけにはいかない。
ひと巻き、口に入れれば意外や(失礼)、うんめ! 単純なケチャップ味ではなく、濃いくちトマトソースにサクッとかみ切れるカツ。たっぷり添えられた生野菜もバランスよく、味見のつもりがついつい食べ進んで完食。ごっつぉさん。
わが胃袋のポテンシャルを褒めたたえつつ、JR新花巻駅から新幹線やまびこに。缶入り地酒を買い込み、旅情に浸……る間もなく眠りに落ちて東京着。
未知の美味を求めての乗り鉄旅、絶景とご当地グルメで、しっかりリフレッシュできました。
2019年3月には現在のJR山田線から三陸鉄道に、宮古駅〜釜石駅間が移管されます。それによって、久慈駅〜盛駅間163kmを結ぶ「三陸鉄道リアス線」として新たに生まれ変わるとか。やっぱり東北、ますます目(と胃袋)が離さらないでがんす!
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