大人の東京カルチャー旅。ソファ席でカジュアルに楽しむ能・狂言&落語!
こんにちは! ライターの山城さくらです。
私は静岡県出身で、上京してちょうど1年がたちます。
東京タワーに、浅草食べ歩き。両国でちゃんこも食べたし、はやりのタピオカ屋さんにもひと通り行きました。
東京のすごいところは、おしゃれなカフェの隣に、おしゃれなカフェがあるところ。
なんなら向かいのお店も、おしゃれなカフェだからね!
1年たっても、ハートはおのぼりさん。次はどこいこうかなーとインスタを高速でスクロールさせていたところ、びゅうたび編集部さんから、こんな連絡が……
編集部:甘いね。キラキラばかりが東京じゃないよ、もっとディープなカルチャーに触れてきなっ!
山城:ディープなカルチャー……だと……?
話を聞いてみると、なんでも今、落語や能といった渋い東京カルチャーがアツいらしい。
いやいやいや、言っても敷居高すぎません? 私みたいなパンピーが気軽にホイホイ行けるところじゃないでしょ……と、言いかけたけど、確かに体験してみたい気持ちは大いにありまくる。
ということで、今回は東京駅をスタート地点に、1泊2日で東京カルチャーをたっぷり満喫する旅に行ってきましたっっ
【行程】
何回来ても美しい。東京駅スタート!
「駅近ランチ」で極上デミグラスを堪能
美味しい寿司と能を楽しむ「水戯庵」
ここは美術館なのか?
1951年から続くバー、「どん底」で一杯
「末廣亭」で落語に漫才、4時間半お笑い三昧
いま、東京駅でお土産を買うならこれ!
何回来ても美しい。東京駅スタート!
東京駅(丸の内側)写真撮るならここやで
スタートは東京駅。は〜、何度来ても美しい。
この1年で、何回ここで写真を撮ったことか。この大正ロマンな駅舎の周りは、た〜〜っかいビルだらけなんですけど、そこも東京っぽくて好き。
「駅近ランチ」で極上デミグラスを堪能
まずは腹ごしらえということで、伺ったのは、東京駅から歩いて約10分、列車なら隣の大手町駅C10番出口から出てすぐのところにある洋食屋さん「芳味亭」。昭和8年から続く老舗の洋食屋さんです。
店内に入ると、ふわ〜っとデミグラスソースのいい香りが……!
カーペットかわいい
注文はもちろん、ビーフスチュー。
ビーフシチューじゃないですよ、スチューです。
一番人気のビーフスチューセット
これは、オープン当時(昭和8年!)の初代シェフが、英語の「シチュー」が「スチュー」と聞こえたため、そのままメニューにしたからなんだとか
わかるよ、わかる。そういうのあるよね。
でも、それからずっと「スチュー」にしておくの、遊び心ありすぎません? ビーフスチュー、エピソードかわいすぎてキュンとしちゃうな。
あ〜〜写真だけで……美味しさが蘇る……
ねぇ、これいつから煮込んでたの? というくらい柔らかいお肉と、バターが香る、こってりとしたデミグラスソース。もうふたりは結ばれるべくして結ばれたんですね。
見よ、この美しいハンバーグを
「スチュー」があまりに美味しかったから、調子に乗って追加で頼んだデミグラスハンバーグ。
ちなみに毎日13時から15時に入店するとコーヒーが、そして月曜日は終日、女性のお客様にプリンがつくそうです。
美味しい寿司と能を楽しむ「水戯庵」
芳味亭のある「大手町駅」から半蔵門線でひと駅、「三越前駅」で下車し、徒歩約1分。
日本の伝統芸能である「能・狂言」をカジュアルに楽しめるという、「水戯庵(すいぎあん)」にやってきました。
この建物の地下にあります
本来、能や狂言というのは、能楽堂で楽しむもの。それをカジュアルにって、どういうこと……? 正直、日本の伝統芸能についてなんにも知らないけど、行って大丈夫? と、やや不安に。
店内に入り予約名を伝え、中へ。
通路には、130年前の絵師、月岡耕漁(つきおかこうぎょ)の浮世絵がずらり。
オーナーの私物なんだとか……!
そして、メインルームがこちら。部屋の中央に能舞台があり、それを囲むように席がぐるり。
想像以上にラグジュアリーな空間で、まさに大人の世界!!!!
カウンター席
先ほどの浮世絵もそうですが、ここにある装飾のほとんどが伝統的な工芸品で、例えばこちらの能面。
能面がずらり。間近で見ることができます
日本に数人しかいない能面師が作っており、大阪の博物館にあったものを譲ってもらったそうです。
ほかにも、老舗「鍋島緞通(なべしまだんつう)」のカーペットが敷かれていたり、食器はすべて、坂本龍馬が訪れたといわれる老舗料亭「富貴楼」で実際に使われていたものだったり……
ここは美術館なのか?
伝統工芸品に、伝統芸能。一度に日本の美しい歴史を味わえる美しい空間に、背筋が伸びます。
席に着くと、机の上には今日の演目と食事のメニューが。
提供されるお寿司は、現存する最古の江戸前鮨店といわれている「すし栄」さんのもの。持続性の高い魚だけを使うというこだわりも。
現存する日本最古の江戸前鮨店「すし栄」 。赤酢のシャリで酸味控えめ
舞台上演中には食べることができないので、始まる前にいただきます。
本物の日本の伝統芸能・工芸品の中でいただく、本物の味。なんという非日常空間……!
美味しいお寿司に、にんまり
そしていよいよ、舞台が始まります。
ここで少しお勉強。
「能」と「狂言」は、もともと「猿楽」とよばれていたものが、明治時代に2つに分かれて「能」「狂言」とよばれるようになったそうです。
「能」は、能面をつけ、悲劇をテーマに、歌や舞いで感情や場面をみせるもの。
「狂言」は、今で言うコントで、世の中のあれこれを風刺し、対話で笑いに変えてみせるもの。
私が行った日の舞台は、狂言でした。
まずは「お話」。狂言の説明や、楽しみ方のお話です。静かに聞かなければいけないのかな? と思ったら、面白いところは声を出して笑っていいんだそう。まさにお笑い……!
お話をするのは、野村万之丞さん
そして、狂言が始まります。
先ほどのお話で、ストーリーを聞かせてもらっていた分、内容もするする入ってくる……!
それにしても、距離が近いのもあり、生の舞台は迫力満点!
狂言「歌争」、野村万蔵さん、河野佑紀さん
終わってからは、再び解説と質問コーナーまで……!
この日は、お客様に陽気な団体さんがいたので、とっても盛り上がっていました。
解説と質問コーナー
演者の皆さんと写真を撮る時間も……! 緊張した〜〜〜〜!
自分のスマホやカメラで撮ってもらえます
舞台は約30分。初心者には、ちょうどいい長さでした。
いや〜、初めての伝統芸能、初心者でも充分楽しめました。次は能も見てみたい……!
終わった後は、お茶とお菓子をいただきます
20:30からはラウンジタイムに入り、席の料金もややお安く、より入りやすくなります。通して滞在できるので、そのまま鑑賞。
この時間も、日本舞踊の先生方が舞を披露してくださるという豪華ぶり……!
芸納言(日本舞踊)
初めての伝統芸能、初めてでオロオロそわそわしてしまいましたが、スタッフの皆さんも、とても気立てのよい、気品のある方々でしたので、安心して楽しむことができました。
デートでも、お友達同士でも、絶対にいい経験になると思います。
次は絶対、お母さんを連れてきてあげたい……!
1951年から続くバー、「どん底」で一杯
水戯庵を出たら大手町駅まで歩き、そこから東京メトロ丸ノ内線で約20分、「新宿三丁目駅」へ。
新宿三丁目駅から徒歩約5分、1951年から68年続く老舗の居酒屋「どん底」にやってきました。
こちらは、三島由紀夫や黒澤明も訪れたことがあるといわれる、文化人に愛されたお店。
見た目からして圧巻
昭和の空気を感じさせる店内は、なんと3階建て! (スペイン店もあるらしい、気になる)
カウンター席
席に着いたら、一番人気だという、どん底カクテルと、どん底カクテル黒(通称:どん黒)を注文。作り方は社外秘らしい……! (どん黒は、少しコーラの味がした)
どん底カクテル
食べ物は、「林さんのライス」 「マッシュルームのプランチャ」 「ミックスピザ」を注文。
林さんのライス
林さんのライスは、ハヤシライスではなく、常連さんのシャンソン歌手の付き人である「林さん」が考案したメニューだそう。
特におすすめの一品だというのがミックスピザ。まだピザが日本にほとんどなかったころに、居酒屋で初めて出したのが、ここどん底だったんだとか……! すごい。
ミックスピザ
メニューもお酒も、本当に独特なんだけど、めっちゃ美味しかったです。
平日にもかかわらずオープン直後からにぎわっていたので、早めの来店をお勧めします〜〜!
この日は新宿駅近くのホテルに宿泊。明日も楽しみ!
「末廣亭」で落語に漫才、4時間半お笑い三昧
さぁ、ここからは2日目!
新宿駅から徒歩約10分、新宿三丁目駅から徒歩約3分の「新宿末廣亭」で、落語三昧です。
時代の流れから、ビルに入る「寄席」が増える中、江戸以来の寄席の雰囲気を今でも守り続けるのが新宿末廣亭。この見るからに歴史を感じさせる建物は、築70余年!
末廣亭
そして見てください、コレ!
開演は12時なんですけど、11時過ぎの時点でこの行列!!! (平日)
来月の予告
中に入ると、完全に昭和の空気。映画のワンシーンのような世界が広がります。
売店でお弁当とお茶を買って、席へ。(自由席)
TVのリポーターとしても活躍中。二つ目の柳亭市弥(りゅうていいちや)さん(写真提供:末廣亭)
初めての落語は、目の前で『笑点』を見ているような感覚(大喜利ではないけどね)。
噺家さんはひとりで話しているのに、目の前には3人くらいの登場人物がいるように感じられるし、情景も浮かぶし、なにこれすごい!
最初は表現力に圧倒されていましたが、どんどん引き込まれて気がついたらゲラゲラ笑ってました。
TVからラジオまでこなし、多才な平成生まれ、二つ目の林家けい木さん。師匠は『笑点』の黄色い方、林家木久扇さん(写真提供:末廣亭)
正直、見る前は4時間半もあって飽きないかな……と不安でしたが、落語のほかにも漫才、パントマイム、紙切りなどが次々と始まり、気がついたらものすごく時間がたっていてびっくり。
みんな! 落語ってめっちゃ楽しいよ!!!!! (まじ)
いま、東京駅でお土産を買うならこれ!
落語を楽しんだ後は、新宿駅からJR中央線で、東京駅へ戻ります。
帰る前にちょっと待って! おすすめのお土産があるんです。
東京駅って、美味しいおみやげがたくさんあって悩みますよね。その中でも私が大好きなのがコレ! 「メープルマニア」のメープルバタークッキーです。
メープル風味のクッキーにバターチョコがサンドされているなんて、もうおいしさの確約ですよ。しかも個包装もかわいいので、ばらまき用のお土産にもぜひ!
今回は、初めて、日本の伝統的なカルチャーに触れる旅でした。
こんなに近くで、そして気軽に経験できるなんて知らなかったし、むしろ楽しみ方さえ知りませんでした……が、飛び込んでしまえば簡単に自分の世界って広がるんですね。
東京のディープなカルチャーに触れる旅、いつもと違った休日を過ごしたい方は、ぜひ体験してみてください〜〜〜〜!
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