【草彅剛&小西真奈美インタビュー】まずはやってみること。人生初の“犬”役に挑戦!
ドラマ「いいひと。」「僕と彼女と彼女の生きる道」、映画「黄泉がえり」「日本沈没」、舞台「蒲田行進曲」など、多くのヒット作に主演してきた草彅剛さん。「新しい地図」がスタートし、その活躍は次々と話題となっている。「平成」を駆け抜けた草彅さんが、新元号「令和」となってはじめての主演舞台「家族のはなし PART1」を5月4日から京都劇場で迎える。いい仕事をするための、草彅流ヒントとは? 共演する小西真奈美さんとの爆笑スペシャル対談をお届けする。
(写真向かって左から)草なぎ剛さん 1974年7月9日生まれ。小西真奈美さん 1978年10月27日生まれ。
「草彅さん、ワンちゃんなんです(笑)」
舞台『家族のはなし PART1』は、<第1話 わからない言葉><第2話 笑って忘れて>の喜劇2話構成。草彅さんは第1話ではケンカして別れそうになっている夫婦の飼い犬・ハッピー役を、第2話では妻役を演じる小西真奈美さんの夫であり広告会社プランナー役と、異色の2役に挑む。
――今回の舞台は2つの物語があります。脚本を読んでいかがでしたか。
草彅:「蒲田行進曲」以来、19年ぶりに真奈美ちゃんとご一緒するというので、話が来たとき、すぐに「はい、やります」と言っちゃいましたよね(笑)。だから、実はもうどんな脚本でもいいと思っていて(笑)。でも、読んでみたら、笑えるところもたくさんあるんだけど、ちょっと切なくじんわりホロリとするところもあって、とても家族愛に溢れていて。これは、いい舞台になるんじゃないかと、ドキドキワクワクしています。
小西:私は舞台自体が久しぶりで緊張しているんですが、まずは草彅さんと19年ぶりにご一緒できるということで、率直にうれしかったです。それで脚本を読ませていただいて。1話目も2話目も私は夫婦の妻役なんですが、すごくほっこりもしつつ、愛に溢れていて。1話目は池田成志さんと夫婦役。ここでは、草彅さん、ワンちゃんなんですよね(笑)。草彅さんがどんなワンちゃんになるんだろう、って見る側の気持ちにもなって、楽しくなりました(笑)。
――19年ぶりの共演ですが、ずっとお会いになっていなかったんですか?
草彅:先日、ラジオで本当に久しぶりにお会いして。
小西:私がパーソナリティを務める番組においでいただいたんです。
草彅:それでおしゃべりして。でも、久しぶりに会って、真奈美ちゃん、可愛くてね(笑)。なんかね、19年前とまったく変わってなくて。
小西:近所の子どもが育ってない、みたいな感じですか(笑)。
草彅:いやいや、すごいな、と思って。真奈美ちゃん、マジでぜんぜん年、取ってないんじゃないの、なんなのって(笑)
小西:とんでもない(笑)。
草彅:恐ろしい人だな、と(笑)。やばいですよね。この仕上がり。どういうことだって(笑)。
大きい役を乗り越えた経験が人生の転機に
草彅:「蒲田行進曲」のときは、23歳。これは、僕にとってターニングポイントになった仕事だったんです。あのときに、お芝居の扉が開いた。演出のつかこうへいさんとの出会いは、人生の大きな転機になりましたよね。
真奈美ちゃんもそうだった、という話も伺っていて。同じタイミングでそういうのって、なかなかないじゃない。だから、すごく縁を感じているんです。19年ぶりに会ったんだけど、僕の中では真奈美ちゃんって、とても密接につながっているんですよね。
それも、つかさんのおかげなんです。つかさんって、けっこうどんなときにも心の中にいるんです。僕の中では、そういう存在。お芝居するとき以外でも、です。ほんと、あんな人、いなかったんで。
だから、そのときすぐそばにいた真奈美ちゃんは、僕の中ではすごく親近感があって。つかさんから「真奈美!」って呼ばれたときの顔も覚えているし、髪の毛でお団子を作って真剣になった顔とかも覚えているんだけど、まったく変わっていなくて。
もちろん大人になってはいますけど、今回19年前に戻ったみたいです。真奈美ちゃんがいなかったら、僕も「蒲田行進曲」のヤスという役は演じられなかったので、今回もこの2人で舞台やるってことは、何か起きるんじゃないかな、と楽しみにしています。すいません、熱くなってしまって(笑)。
小西:光栄です。
草彅:つかこうへいだけに。あ、こうへいじゃないか、こうえいか(笑)。
小西:(笑)。私もラジオで久しぶりにお会いしたので、「あ、どうも」みたいな他人行儀になってたらどうしようかな、と思っていたんですが、お会いした瞬間からこの「真奈美ちゃーん!」という感じで、「あ、草彅さん、変わってない」と思ったんです。
「蒲田行進曲」のときも毎日、優しくて、一緒に頑張ろうね、って、すごく声をかけてくださって。私もそれをずっと覚えていたので、19年経ったと思えないくらいに、あっという間にそのときに戻ってしまって。
さっき草彅さんがおっしゃったみたいに、草彅さんがヤスさんだったから、私も小夏という大きい役を乗り越えられたし、やらせていただけたと思っているんです。
今回、夫婦役の話も、ヤスさんと小夏のときとはまた違った愛情たっぷりのストーリーになっています。脚本を読んでいると、旦那さんのパートで草彅さんの声が聞こえてくるみたいで、どんなふうになるのかなって、今は稽古に入るのが、すごく楽しみです。
はじめての「犬」役も「とにかく挑戦してみる」
――今回、1話と2話で役がずいぶん違うんですよね、特に草彅さんは。役作りは、どんなふうに行われるのでしょうか。
草彅:いや、本当に犬というのは、まったく初めての役で(笑)。「今回はお医者さんで初めての役なんですよ」なんてこともありますけど、犬ですからね(笑)。犬か、と(笑)。考えもつかなかった役なので、すごく面白いと思っていて。
実は僕自身も、2年前から犬を飼っているんです。クルミという名前なんですけど、それが役作りに役立っています。犬を飼ったのは初めてなんです。それで、すごく疑問に思っていたのが、いったいクルミは何を考えているんだろう、ということで(笑)。毎日、試行錯誤ですけど、そんな経験も重なって、今回は自分の愛犬を役作りにして、頑張ろうかな、と。
もうひとつの真奈美ちゃんとの夫婦の役は、なんかじんわりとするというか、これはすごくいいものになるんじゃないかという直感というか、感覚があるんです。なんか深い、それこそ僕らが初めて仕事して19年という月日があるからこそできるようなお芝居にもなるんじゃないかと思っています。じっくりとじんわりとできたらな、と。2人の空気感とかで。
小西:私はどちらも妻役なんですが、1話目のほうは、脚本のカラクリが難しくて。さっきも相手役の成志さんと「どうしよう」という感じで。とにかくやってみないと、という感じなんですけど、それを身体に染み込ませたら、1話の妻と2話の妻のまったく違う良さがそれぞれ出てきて、お客さんに違うメッセージを感じてもらえるんじゃないかなと思っています。
2話目は草彅さんの妻役で、日常の物語なので、実際、お声を聞いて立って稽古をやってみて、感情をどのくらいのレベルにするのかとか、決めていきたいですね。演出がどうなるのかも楽しみです。
舞台は、その日、その瞬間、「唯一の一回」
――お二人は映画やドラマにも出られていますが、舞台は何が違いますか?
草彅:映画だと、「ちょっともう一回、ごめんなさい」とかありますが、舞台だと、それがまずできないですよね。実質的に。まぁ、やってもいいと思うんですけど(笑)。
小西:(笑)
草彅:止められない、始まったらノンストップ、みたいなところが一つ。あとは、お客さんの目線が違いますよね。カメラでフォーカスしたりとか、広く見たりとか、そういうのは、ないので。
あとは、よくわからないです(笑)。どっちも気を張ってやりますし。あまり僕自身は、分けているつもりなくて、映像もできる限り一回で終わったほうがいいなぁと思っているし。
あ、舞台はそのときに起こることって、そのときにしかない、というのがあるかな。その後、残ったりとかしないので、その場にいた人が感じられる唯一の一回、という感じがするかな。
小西:そうですね。舞台が唯一、生の生命力をお互いやりとりできる場じゃないかと思っています。その空間に来た、その日、その瞬間のお客さんだけが得られるものがあるというか。
同じことをストーリーとしてやっていても、毎日、私たちのやっていることは変わってくると思うし、やっぱりお客さまがいないところでやるのと、いらっしゃるところでやるのとでは、全然パワーが違う。
お客さん側も、私たちの呼吸が聞こえるでしょうし、汗も見えるでしょうし、それが醍醐味でもあり。だから、間違ったりしても、ちょっと喜劇でもあるので、そのへんは許してもらえるかな、と(笑)
――間違えることもあるんですか?
小西:ぜんぜん、ありますよ(笑)
草彅:あります、あります(笑)。でも、お客さん、わからないときもあるし、堂々としてればいいかな(笑)。間違えている本人だけが合ってるつもりになっちゃって、まわりのほうが慌ててたり。でも、動じない、みたいな(笑)
緊張しない人はいない。緊張はいいこと
――やっぱり一回勝負ですから、緊張すると思うんです。緊張とはどう向き合っていますか?
草彅:どうですか、真奈美ちゃん。
小西:私はすごい緊張するタイプなので。だから私、「蒲田行進曲」のときも、緊張してウロウロしてたじゃないですか。
草彅:ああ、してたしてた。
小西:ねぇ。それで、つかさんに、毎回、「大丈夫か」と言われて。だから「手のひらに人と書いて食べる」とか、なんかジャンプしてリラックスするとか、やってました。
草彅:ほぐして。
小西:なので、そんなことになりますので、よろしくお願いします(笑)
草彅:いまだにそうなの。
小西:そうなんです。大変なんです。終わるまで、何十回やっても。
――でも、ちゃんとできてますよね。
草彅:そりゃ、プロですから、当たり前ですよ、うちの真奈美は(笑)。
小西:ありがとうございます(笑)。
草彅:そこはやっぱり、女優さんだから。舞台の上に立つと変わりますよね。一回、共演しているので、真奈美ちゃん本当に集中力、すごいです。緊張しているのも、わからない。自分の中で、緊張もエネルギーに変えて演じていると僕は思いますね。
僕も緊張しますよ。でも、したところで、もう半分、捨て鉢みたいなことになっちゃって。そもそも緊張しない人はいないと思うので。緊張はいいことだなと思う。そんな感じでコントロールしていますね。
――大舞台でも、いつもの自分を発揮して、いい仕事をするためのヒントはありますか?
小西:準備しかなくないですか。私たち「蒲田行進曲」でも、ずっと稽古してましたもの。もう本当に、ギリギリまで。2人の掛け合いのシーンが30分くらいあったんですが、2人だけで始まる前に集まってやっていましたよね。スタッフさんとか、誰もいなくても。とにかくギリギリまでやっていれば、あそこまでやったんだからやるしかない、みたいな。あとは草彅さんを信じて出る、みたいな感じで、やっていました。
草彅:準備はすごく大切です。何か起こったときもこうしよう、とパターンをあらかじめ考えておいたり、練習したりとか。
――でも、お二人とも、いろいろな仕事で忙しいじゃないですか。
草彅:いえいえ、そんなことないですよ(笑)。全然、クルミの散歩もしてますし(笑)。集中してやればいいんです。ダラダラやっても、効率悪いし。
人との出会いが人生を切り拓く
――コンディションづくりについては、秘訣はありますか?
草彅:僕は、スープを作ったりするんです、自分で。ノドのためにも。ショウガすったり、ニンニク入れたり、匂いがするんで、すいません、と共演者の方に言っておいて(笑)。
小西:絶対これ、というのはないけど、いいよと、聞いたものはやってみますね。この飴がいいよ、とか、スープがいいよ、とか試してみたり。
あと、精神的には、ご褒美を作るんです。今、自分の中ではさっき草彅さんが「みんなで京都に行ったらおいしいものを食べよう」っておっしゃったので、それを目指して頑張ろう、と。
草彅:ほんと、いい子ですね、真奈美ちゃんは(笑)。ほんと?
小西:だって、ご褒美があったら、頑張れません?(笑)。あれ、女子だけかな。大事ですよね。そのときみんなで笑って、楽しく鴨川を眺めながらご飯を食べられるように頑張るぞ、と思って。だから、いいモチベーションがついさっき、できました。
――芸能界で、長く第一線で活躍できる理由は、どこにあると思われますか?
草彅:僕の場合、つかこうへんさんもそうなんですけど、人生の節々で、師と思う方、先生との出会いがあって、心の中に何人もいるんです。そういう方がいてくれて、やってこられているのかな、と思っています。
小西:人ですね。人との出会いに恵まれた。それこそ草彅さんとの出会いだったり、つかさんだったり。そのときどき、節目節目で、振り返ると本当に人との出会いに恵まれてこられたな、と。
自分一人では絶対にここまで来られなかったし、仕事をサポートしてくれる方、応援してくれる方、精神的に支えてくれる方……。今後も長くやっていくとしたら、人に感謝しかない、と思います。
草彅:今はまったく新しい世界に飛び込んで、環境も変わっている中でやっているところで、新しい気持ちです。でも、今までのことも自分の中でちゃんと受け止めて、その上でまた新たな道を歩んでいこうかな、と思っているところなんです。
それにしても、つかさんは、不思議な方でした。超能力を持ってたんじゃないかな。可愛がっていただいたんですが、その光りって閃光していて。23歳の時に「お前はそういうの、あるよ」と言われた任侠ものにずっと後になって出ることになったり。当時の僕には全然わからなかったので「この人は何を言ってるんだろう」と、思いましたから。
でも、適当に言ってたんじゃないか、とも思ったりもして(笑)。それでもやっぱり、つかさんなんですよ。この出会いがいろんなところに導いてもらえたと思っています。
文:上阪 徹
写真:平山 諭
編集:丸山香奈枝
◆スタイリスト:細見佳代(草彅&小西)
◆ヘアメイク:荒川英亮(草彅)、国見登志子(小西)
『家族のはなし PARTⅠ』
「作・演出」:淀川フーヨーハイ、あべの金欠
「出 演」: 草彅剛 小西真奈美 畠中洋 小林きな子 / 池田成志
「会 場」: 京都劇場
「公演日程」:2019年5月4日(土)~6月1日(土)
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