生活に困窮して役所に縋った結果(nemlog)

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生活に困窮して役所に縋った結果

今回は『nemlog』より神楽レナさんの記事からご寄稿いただきました。

生活に困窮して役所に縋った結果(nemlog)

今回は私がガチで詰んだと思っているとSNSで書き込みした事から知る事ができた制度について書きたいと思います。

 
事の始まりは、私が来週から職業訓練を受ける事に決まった所から始まります。

知らなかったのですが、職業訓練を受けている間は、雇用保険の受給者は毎月手当を受け取る為に必要なハローワークへの通所(失業認定日と呼ばれてます)が必要無くなるとの事でした。

毎月の雇用保険の手続きは職業訓練を実施しているセンターが代わりにやる。その代わりに職業訓練は休まず受講しなさい。という事だそうです。

それだけなら良かったのですが、今回問題になったのは、雇用保険の受給者が毎月ハローワークに通う日時は個々人によって違うのですが、これが職業訓練の受講者は月末締めの翌月の20日に手当が振り込まれる形に一本化される。という部分でした。

私のこれまでの予定ですと、雇用保険の支給が開始されるのが4/2日からで、次にハローワークに向かう失業認定日が4/16日。ここまでの期間の給付金が、認定日の翌週の22日か23日に一括で振り込まれる。というものでした。

しかし、職業訓練を受ける事によって、4/2日から4/30日までの期間の給付金が来月の20日に一括で支給される。という給付形態に変化してしまいました。

つまり、今月の雇用保険の支給が無くなってしまった訳です。

これで首の皮一枚繋がっていた私の経済状況は完全に破綻。今月の光熱費、携帯代、病院の通院費、奨学金の返済、そして来月の雇用保険の支給日までの食費の捻出が不可能になりました。

何をどうやっても無い袖は振れない。もはや消費者金融に頼むか、はたまた潔く死ぬか、その二択になったという旨の書き込みをSNSにしました。

しかし、その返信は私にとっては意外なプランの提案でした。

「役所の生活支援担当の窓口で相談してみよう」

兎にも角にも第3の選択肢が知人から提示され、私は今日の朝一に一縷の望みをかけて役所に行って来ました。

そこでは、まず具体的にどんな状況で困窮しているかを聞かれました。

本来生活のアテにしていた雇用保険の支給日がズレてしまい食費の捻出すらままならない。という現状を、証拠になると推測した資料(雇用保険の受給資格証、職業訓練所からのしおり、雇用保険の受給に必要な証拠等々)を片っ端から積み上げて説明しました。

私の言っている事に虚偽は無いと役所の人にも通じた様で、役所近くに構えている生活困窮者への支援を専門に行っている機関へのアポを取ってもらい、そこで支援について詳細な話し合いをして欲しい。となりました。

役所で渡された地図を頼りに支援機関に足を運び、そこで現在の経済状況をより詳細に説明する事となりました。現在の貯金を含めた全財産、お金が入る見込みはあるのか、障害の有無等の健康状態や家族構成も聞かれました。

役所がアポを取る際に、私が役所の人に伝えていたこともあらかじめ伝わっていた様で、その保管となる質問もされました。

支援機関の人達も、支援の必要が急務であると分かってくれたらしく、職員の人達もあれはどうか?これはどうか?と真剣に話し合ってました。

 
そして出た支援の結論は

「病気等の急な出費でお金に困窮している人に貸し付けを行う制度はある。しかし、これは仕事をしているか等の厳しい審査と、支援機関への何回にも渡る通所が必要であり、また、貸付金の振込まで申請から3週間はかかる。今月の生活費すらままならず、来週から職業訓練を受ける貴方には現実的な支援では無い。そこで今回できる支援は、食料の無償提供。これで食費の負担をゼロにして、今あるお金を生活に必要な諸々の費用に充てて下さい」
というものでした。

約2週間分の食料

約2週間分の食料を無償で支給してくれました。

また、もし食料もお金も枯渇し始めてて来たら、早めに平日に連絡を貰えれば翌日には食料を調達して無償で再提供する。とも言ってました。

お金を借りて来月返す。という気持ちでいた私にとっては、食料という形で「返さなくて良い無償支援」を「その日その場で」受けられるとは思いもしませんでした。

 
これは私が住んでいる地区の事例にはなりますが、役所があり、生活支援の窓口があるなら、似たような支援機関への取次や、また違う形での生活困窮者への支援というのは存在すると思います。

今回は知人からの進言をきっかけに、チェックメイトと思えるレベルの詰みっぷりを紙一重で打開し、何とか私の生活も首の皮一枚でギリギリ繋がりました。…本当にギリギリですが。

私達が普段納めている税金やら何やらも、こうした形で自分に還元される可能性があるのなら、それはやはり義務として果たさねばならないものだと改めて実感しました。

また、こうした支援制度も知らない人は知らないまま生涯を終えるかもしれません。例えその人が支援を受けられるはずの困窮者であろうとも。

この日本という社会で、困窮による死というものの元凶なのは、「金銭が無いから」では無く、「支援制度の知識が無いから」なのかもしれません。

知識とは、一人では完結できません。他者との繋がりがあって初めて成立するものです。

他者を蔑ろにしその繋がりを尊重しない人は、知識と、場合によっては生活に困窮してしまうのかもしれない。そう実感し、私はせめて自分との繋がりを持ってくれる人には真摯に誠実に向き合っていこうと誓いました。

 
執筆: この記事は『nemlog』より神楽レナさんの記事からご寄稿いただきました。

寄稿いただいた記事は2019年4月18日時点のものです。

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