ガジェット通信 GetNews

見たことのないものを見に行こう

体験を伝える―『ガジェット通信』の考え方

面白いものを探しにいこう 本物を体験し体感しよう 会いたい人に会いに行こう 見たことのないものを見に行こう そしてそれをやわらかくみんなに伝えよう [→ガジェ通についてもっと詳しく] [→ガジェット通信フロアについて]

初恋の相手は女の子になりたい男の子 「カノジョになりたい君と僕」作者インタビュー

初恋の相手は女の子になりたい男の子 「カノジョになりたい君と僕」作者インタビュー

 体は男性・心は女性な幼なじみとともに高校入学の日を迎えた少女。女子の制服(セーラー服)に身を包み、ひとりクラスの中で浮いてしまった幼なじみの姿を見て、大切な存在を支えようと決心した少女がとった行動は、男子の制服である「学ランを着る」ことだった……。思春期の未確定な揺れ動く心と、性的なものだけでない「マイノリティ」という存在を描いて話題となっている「カノジョになりたい君と僕」(マンガアプリ「GANMA!」連載)がコミックス化され、2019年4月12日に第1巻が発売されます。この機会に、作者であるたかせうみ先生にインタビューを行いました。

【さらに詳しい元の記事はこちら】

 体は男性・心は女性で、女子のセーラー服を着るアキラと、アキラを支えようと男子の学ランを着るヒメという幼なじみの2人を中心に、様々な「マイノリティ」の存在や、自分という存在を模索する高校生たちを描いたコミック「カノジョになりたい君と僕」。ヒメのアキラへの恋心を含めて、非常に興味深い物語です。コミックス第1巻発売を記念して、作者のたかせうみ先生に作品についてのお話を伺いました。たかせ先生は、これが初インタビューとなります。

【たかせうみ先生インタビュー】

 ――今日はよろしくお願い致します。まず、最初の原案として主人公を「女の子の心を持つ男の子と、それを守る女の子」という 構成にしたのはなぜでしょうか。 いわゆる「女の子コミュニティ」が舞台になった方がお話を作りやすい、とか……?

(たかせ先生)
アキラちゃんは、「自分らしさを出そうとしたら、周りに違和感に思われてしまった子」で、ヒメちゃんは「好きな人のために頑張ってみたら、自分らしさに違和感が出てきた子」です。アキラちゃんもヒメちゃんも、自分の心からの願いによって制服を選んだはずなのに、その選択によってまた「自分」というものに悩み、迷います。

 たまたまセクシャルマイノリティに深く関わるお話になっていますが、それにとどまらず「自分であること」に悩むのは誰にでも起こり得ることです。そういう誰にでも起こり得る、人と関わっていく上での「自分」というものを掘り下げていくお話を描きたくて、こんな構成にしました。

 女の子ばかりになっているのは、私が個人的に男性の心理描写を難しく感じているというのも、ひとつの理由としてあります。

 ――アキラちゃん、ヒメちゃんの造形(見かけや性格など)で、留意した点はどのようなところでしょうか?

(たかせ先生)
 アキラちゃんは「所作や顔つきは可愛いんだけど体つきは男の子っぽく」、ヒメちゃんは「中身は武士みたいだけど体つきや髪型は女の子らしく」というのを意識しています。

 ヒメちゃんは「男の子になりたいわけじゃないけど学ランを着ている」子なので、そこのアンバランスさを表現するために女の子らしい体型を、と思って描いています。名前もがっつり女の子らしい名前にしました。

 あと主要な女子キャラ4人のうち、二重なのはアキラちゃんとあんずで、一重なのはヒメちゃんとユッカです(ヒメちゃんは奥二重とかかもしれません)。女子の「カワイイ!」っていう見た目ってなんとなく「パッチリ二重」でテンプレートが できてるところがあるのかな……と思うのですが、私は女の子のいろんなかわいさが好きなので、いろんな顔を描いてみてます。

 ――キャラクターを考える上で、安産タイプ(動かしやすいキャラクター)や、逆に難産タイプ(動かしにくいキャラクター)などはあるんでしょうか?

(たかせ先生)
 安産というか、担当さんから修正があまり入らないのは割とヒメちゃんとアキラちゃんで、難産なのはその2人の周りのキャラ全般というか、あんずやユッカや先生の反応に対しては、担当さんから指摘をもらうことが多いです!

 ――それはキャラの立て方の経緯なども関係してる感じですか?

(たかせ先生)
 そうですね、ヒメちゃんやアキラちゃんは自然とできたキャラですが、その周りのキャラは原案を元に担当さんと作り上げたので、そこが大きく関係していると思います。

 ――なんとなくですが、アキラちゃんとヒメちゃんは初期ネームの頃から変わらないけど、ほかのキャラは作品世界を構築するにあたって、どのようなキャラを配置するか、というところで担当さんと悩まれたような気がしてます。

(たかせ先生)
 そうですね、そんな感じです!

 ――このお話は高校を舞台にしていますが、その意図は?そして、女子の制服がセーラー服というのは、どういった理由でしょうか。

(たかせ先生)
 もうそれほど子供でもなく、でもそこまで大人でもなく「自分」というものが曖昧で、でもその分素直で自分に影響を及ぼしたものを飲み込んで 成長していってしまう……そんな「弱さもあるけど勢いもある」キャラクターたちを描きたいなと思って、年齢は「高校生」としました。

 高校を舞台にしたのはやはり「制服がある」というのが大きかったです。私自身もセーラー服への憧れがあるので、「男の子に生まれた女の子であるアキラちゃん」というキャラクターが生まれた時、同時に「きっとセーラー服を着たいと思うだろうな、着せてあげたいな」と思いました。

 ――高校に入学する時に、アキラちゃんは女子のセーラー服を着る訳ですが、中学の時は男子の制服を我慢して着ていた……ということなんでしょうか?

(たかせ先生)
 そうですね。言われるままに見た目の性別である男子の制服を着て、中学には通っていました。でも、体育の時の着替えとか、徐々に大人の体になっていく状況が続いて、中学の3年間で我慢し続けるつらさを知ったので、高校からは心の性別に正直になろう、と決心した感じです。ヒメちゃんはそんなアキラちゃんの様子をずっと見ていたので、高校の制服でセーラー服を選んだことも素直に受け入れた、っていう感じですね。

 ――ちなみに、中学の頃の2人って、どんな感じだったんでしょう?

(たかせ先生)
 中学の頃は、アキラちゃんは心の性別をヒメちゃん以外には明らかにしていないので、周りからは「ちょっと変なやつ」っていう見られ方をしていたと思います。それをヒメちゃんは一緒にいて、理解者として守るような存在でした。そのため、ちょっとクラスからは離れているというか、2人だけの関係の方が強い、っていう感じですね。

 ――それで、あんずがアキラちゃんに近寄ってきた時、ヒメちゃんはすごく警戒して拒絶するような態度をとったんですね!

(たかせ先生)
 そうです。そんな感じです。「アキラちゃんを傷つけようとしてる!」って思って。

1 2 3次のページ
おたくま経済新聞の記事一覧をみる
  • 誤字を発見した方はこちらからご連絡ください。
  • ガジェット通信編集部への情報提供はこちらから
  • 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。