マイノリティの活躍を妨げる“ガラスの天井”を打ち破った女性ヒーロー『キャプテン・マーベル 』

access_time create folder映画

アベンジャーズ結成の鍵であり、アイアンマンに続いて今後のマーベル・ヒーローの中心を担う”キャプテン・マーベル”の誕生を描いた映画『キャプテン・マーベル』。3月15日に日本公開され、現在も大ヒットを上映中ですが、この『キャプテン・マーベル』の最大の見所のひとつは、マーベル初の、女性単独ヒーロー映画だということです。

『キャプテン・マーベル』の主人公(ブリー・ラーソン)は、なんらかの理由で瀕死の重傷を負い、過去の記憶までも失ってしまった女性。ヴァースという名を与えられて、宇宙に名を馳せるクリー帝国のエリートソルジャーチーム”スターフォース”の一員として戦いの日々を送っています。彼女は、家族や友人……すべての記憶を失った代償として、”規格外の力”を持っているものの、未熟さゆえに上手くコントロールできず、また、しばし悪夢や断片の記憶のフラッシュバックに悩まされ、どこか”スターフォース”の仲間たちとは違う自分を感じて、孤独感や疎外感を抱いています。『キャプテン・マーベル』は、そんな彼女が<本当の自分>を見つけ出し、そして、本来の力を解放する物語です。

複雑な背景を持つゆえに、生きることに困難を抱えているヴァースですが、そのひとつに”女性”であるということがあります。ヴァースを一流の軍人へと育て上げたスターフォースの司令官(ジュード・ロウ)は、戦士としての弱点になり得るとして「感情的になるな」と戒めます。また、ヴァースの脳裏には、軍隊での訓練中、果敢にロープ渡りに挑戦して落下したり、少女時代に男の子たちに交じってレーシングカートでスピードを出してクラッシュしたり、BMXでジャンプ台に果敢にチャレンジして失敗するたびに、男性たちに「お前には無理だ」と、笑われたり抑えつけられ続けてきた記憶が、幾度もフラッシュバックを繰り返します。けれど、ヴァースは、それらの抑圧に負けず、不屈の精神でもって、立ち上がり続けるのです。

自分の可能性を信じて挑み続けた結果、自らの持つ力を、すべてを解放するヴァース。そんなヒーローの姿に、エンパワーメントされる人も多いことでしょう。『キャプテン・マーベル』が全米公開された3月8日は、女性の地位向上を訴える国際女性デー。 (女性を含む)マイノリティの活躍を妨げる、見えないが打ち破れない障壁を示す”ガラスの天井”という言葉がありますが、それを突き破ったマーベル初の女性ヒーロー映画として、とても相応しい公開日ではないでしょうか。

もちろん主人公のヒーローが女性だからといって、男性が楽しめないわけではありません。これまでのマーベル作品の主人公たちと同様に、もしくは最も強いヒーローの戦闘シーンは、超エキサイティング。また、『キャプテン・マーベル』の舞台は、アベンジャーズが結成される以前の1990年代半ば。ゆえに、若き日のニック・フューリーや、フィル・コールソンらが登場し、アベンジャーズ結成の前日譚ともなっています。アベンジャーズのネーミングの由来や、ニック・フューリーのトレードマークでもある眼帯の理由が描かれているところも、見逃せないポイントのひとつ。もちろん、アベンジャーズ誕生以前の物語だからこそ、これまでマーベル作品を観たことがないという方も、予備知識なしでも楽しめますので、ご安心ください。この機会にぜひ、劇場に足を運び、『キャプテン・マーベル』の快挙を、目撃してください!

https://marvel.disney.co.jp/movie/captain-marvel.html

(C)2019 MARVEL

【書いた人:大泉りか】
官能小説、ライトノベルを手がける作家でありながら、恋愛コラム連載も人気。著書に『女子会で教わる人生を変える恋愛講座』(大和書房)『もっとセックスしちあなたに』(イースト・プレス)など。
https://twitter.com/ame_rika [リンク]

  1. HOME
  2. 映画
  3. マイノリティの活躍を妨げる“ガラスの天井”を打ち破った女性ヒーロー『キャプテン・マーベル 』
access_time create folder映画
  • ガジェット通信編集部への情報提供はこちら
  • 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。