日本の隠れた「お宝」徳島県美波町とは?「波乗りオフィスへようこそ」の舞台【現地ルポ】

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豊かな自然に恵まれた徳島県南部は、知られざる魅力の宝庫。そのなかでも今注目なのが、映画「波乗りオフィスへようこそ」の舞台となった美波町です。豊かな自然に加えて、四国第23番札所の薬王寺を擁する巡礼地。素朴な漁師町のたたずまいと、お遍路の町としての表情を併せもつ美波町は、四国の隠れた「お宝」でした。

「波乗りオフィスへようこそ」の舞台・美波町

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海と山に囲まれた徳島県美波町は、古くから海とともに歩んできた漁師町。住人はみな顔見知りののどかな田舎町といった風情ですが、近年では都会からのUターン者や移住者も増えつつあり、ひなびた港町に新たな風が吹き込まれています。美波町に「株式会社あわえ」を設立した吉田基晴氏のエピソードは、2019年4月19日公開の映画「波乗りオフィスへようこそ」のモデルにもなりました。

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そんな美波町が誇るのが、「日本の渚100選」に選ばれ、ウミガメの産卵地としても知られる大浜海岸。美波町の美しい海は、タカアシガニに出会える全国的にも珍しいダイビングスポットとして、知る人ぞ知る存在です。

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加えて、美波町は四国第23番札所の薬王寺を抱えるお遍路の町。青く澄んだ太平洋と、昔ながらの瓦屋根の家々、そして高台に建つ薬王寺の塔が織り成す風景は、心に染みる日本の美しい漁師町そのものです。

うみがめマリンクルーズ

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南阿波の案内人「かめたろう」さん

美波町観光のハイライトのひとつが、「うみがめマリンクルーズ」。地元の漁師が操る漁船から、室戸阿南海岸国定公園の海崖美が堪能できます。

波に揺られる船の先端に座れば、ひときわスリル満点。観光用のボートでは味わえない素朴な情緒に、冒険心を掻き立てられます。

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およそ2キロメートルにわたって続く「千羽海崖」は、室戸阿南海岸国定公園の特別保護区。エメラルドブルーの海と、ところどころに緑をかぶった断崖絶壁とのコントラストは、目を見張るほどの迫力です。

それにしても、徳島の海がこれほどまでに美しいとは・・・!「海」といえば沖縄をイメージしがちですが、ブルーとグリーンのグラデーションを描く、透明感あふれる海の美しさに感動しっぱなしでした。

地元漁師による運航だけに、漁船の操縦テクニックも見もの。クルーズでは断崖絶壁の近くを通ったり、漁船のまま洞窟内に入ったりしましたが、それもこの地域の海を知り尽くし、船の操縦にも長けたベテラン漁師さんだからできたことなのです。

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その技の見せどころが、中央に空洞のある奇岩「通り岩」。うみがめマリンクルーズでは、ここを漁船で通り抜けるというスリリングな体験ができるのです。この通り岩、出口の部分にも岩があるため、通り抜けができるのは地元の漁師さんわずか数名だとか。

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徳島県最大の天然の洞窟「恵比須洞」にも、船ごと潜入。地元の人曰く「今日は波が高いから、水が濁っている」そうですが、そうでない時を知らない筆者には、透明度抜群にしか見えません。

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国内では沖縄、海外では南フランスや南イタリア、マルタなどの海を見てきましたが、「美波町の海も負けていない」と、その美しさに吸い込まれそうになりました。

日和佐うみがめ博物館カレッタ

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「日本の渚100選」にも選ばれている美波町の大浜海岸は、ウミガメの産卵地。2009~2010年にかけて放映されたNHKの連続テレビ小説「ウェルかめ」の題材にもなっています。

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大浜海岸に面して建つ、日本で唯一のウミガメ専門の博物館が「日和佐うみがめ博物館カレッタ」。さまざまな種類のウミガメの解説があるほか、大小のウミガメが飼育されていて、彼らの暮らしぶりを垣間見ることもできます。

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赤ちゃんガメとのふれあい体験も開催される週末は、ウミガメを触るめったにないチャンス。一口に「ウミガメ」といっても、種類によって顔つきも違えば、甲羅の手触りや模様などもまったく違うことがわかります。

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屋外のプールでは、ウミガメへのエサやり体験も。生年月日が判明しているウミガメとしては世界最高齢の「浜太郎」を含む大人のカメたちに、直接えさをあげることができます。

普段なかなか身近に感じることのなかったウミガメですが、ここに来て赤ちゃんガメの愛らしさや、ユーモラスな表情にすっかり魅了されてしまいました。

日和佐うみがめ博物館カレッタ
住所:徳島県海部郡美波町日和佐浦370-4
http://caretta-hiwasa.com/index.html

四国第23番札所「薬王寺」

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美波町の魅力は、自然だけにとどまりません。毎年80万人が訪れるのが、四国八十八ヶ所第23番札所の薬王寺。弘法大師(空海)が42歳のとき、厄除けを祈願して建立されたことから、厄除けにご利益のある霊場として信仰を集めています。

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境内には、33段の女厄坂と61段の男厄坂、それぞれ男女の厄年にちなんで造られた「厄坂」と呼ばれる石段。厄除けを願う参拝者は、自分の年齢分のお賽銭(1円玉でも可)を一段に一枚ずつ置きながら石段をのぼるというユニークな祈願の風習が根付いています。厄年の人はもちろん、そうでなくても、薬王寺ならではの方法で厄払いといきましょう。

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厄坂をのぼった高台には、四国八十八ヶ所の霊場開創1150年を記念して造られた「瑜祇塔(ゆぎとう)」が建っています。海上からも見える美波町のランドマークで、町と太平洋を一望する絶好のビュースポット。

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残念ながら、筆者が訪れた際は雨降りでしたが、天気の良い日には素晴らしい眺望が楽しめます。

阿波尾鶏を使った中華そば店「藍庵」

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薬王寺の門前に店を構える「藍庵」は、徳島のブランド鶏「阿波尾鶏」を使った中華そばが味わえる人気店。スープに阿波尾鶏からとったダシに加え、トッピングにも直火で焼いた阿波尾鶏を贅沢に使用しています。

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徳島ラーメンといえば、ご飯のおかずになるこってりとした味わいが特徴ですが、藍庵の中華そばは、いわゆる徳島ラーメンとは別物。

薬王寺のご本尊である医療の仏、薬師如来にちなみ、生姜やナツメ、高麗人参などを採り入れた薬膳メニューで、「最後の一滴まで飲み干せるように」と開発されたスープは、コクがあるのにすっきりとした後味が楽しめます。麺はもちろん自家製麺、ナルトまで特注というこだわりぶり。

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東京からやってきた店主のこだわりが詰まった中華そばは、毎日でも食べたくなるほど優しく奥深い味わいです。

阿波尾鶏中華そば 藍庵
住所:徳島県海部郡美波町奥河内字寺前229-1
https://iron.momojiro.site/

ノスタルジックな「お宿日和佐」

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美波町の名物宿が、この町に魅了されたフランス人のご主人が営む「お宿日和佐」。1919年に建てられた漁師の平屋を改装した古民家宿で、彫刻家でもあるご主人の美意識が感じられるお宿です。

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今となっては手に入らないような「超」がつくほどの上質素材で建てられた家は、建造当時の調度品で調えられたノスタルジックなたたずまい。ご主人の彫刻作品が花を添え、手頃な料金の素泊まり宿ながら、唯一無二の上質な空間を造りあげています。

お宿日和佐
住所:徳島県海部郡美波町奧河内字本村148-1
http://oyadohiwasa.com/

素朴な日常感が最大の魅力

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これほどまでに美しい海をもち、四国第23番札所の薬王寺もありながら、美波町は観光地の喧噪や俗っぽさとは無縁。気取らず素朴なたたずまいを崩さない美波町には、どこまでも穏やかな日常の時間が流れています。

首都圏から美波町に移住した女性曰く、「太平洋に面した開放的な環境に加え、古くからのお遍路文化がある美波町には、よそから来た人を受け入れる土壌がある」。そんなオープンな気風が、独特の居心地の良さにつながっているのでしょう。

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これまで世界中の町をたくさん見てきましたが、こんなに美しくてあたたかい、隠れた宝石のような場所が、こんなにも近くにあったなんて・・・自然と歴史が調和した、美波町の優しい風景が、今も忘れられません。

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[All photos by Haruna]
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TABIZINE(タビジン)は旅と自由をテーマにし、日常に旅心をもてるようなライフスタイルを提案します。覗き込めば、世界地図を拡げた時のワクワクがあるような、はたまた旅する非日常を感じ旅へ向かわずにはいられなくなるような、そんな夢見心地にするパワーがあるメディアでありたいと思っています。人生は一瞬一瞬が心の旅。皆さんが何にもとらわれることなく、自由で冒険に満ちた毎日になるような情報をお届けします。

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