海外の反応:捕鯨でクジラを殺している日本でホエールウォッチング人口が増えているのってヘン?

マサチューセッツ州に本拠を置く国際動物福祉基金(IFAW)の調査によると、日本のホエールウォッチング業界は近年、勢いを増しているそうです。同基金が統計を取っている2015年までの7年間で、日本のホエールウォッチング人口は4万人以上増加。そのうち3分の2は日本人と推定しています。

ホエールウォッチングツアー参加者数、ツアー事業者数、売上(百万ドル)のグラフは、いずれも右肩上がり。

『ナショナルジオグラフィック』のレイチェル・フォバー記者は、この“ホエールウォッチング人気”を“捕鯨問題”と絡めて記事にしています。途中、「美しいクジラの写真集」を挟みつつ、また、ホエールウォッチング事業者とIFAW責任者の「反捕鯨運動とホエールウォッチング人気は無関係」とする見解を紹介しつつも、どちらかというと捕鯨問題に比重を置いた内容になっています。
https://www.nationalgeographic.com/animals/2019/03/whale-watching-becomes-increasingly-popular-in-japan0/[リンク]

牧場で牛さんと触れ合った後にレストランでビーフステーキを美味しくいただくなんてことが普通にできてしまう筆者からすると、クジラの観賞とクジラ肉を食べることは「それはそれ、これはこれ」であり、この記事の切り口自体が面白いと思ったのですが、海外の人はどう感じたのでしょうか。

このニュースを見た人たちの反応
・クジラ肉は実際のところ日本では全然人気ない。捕鯨はすべて政治の問題
・助成金なしでは成り立たない産業なんだけど、農林水産省の官僚が将来の天下り先を確保するために乗り気なんだよ。あとは、投票率の低い中で政治家が捕鯨に反対する外国人の批判をすれば愛国者票を稼げるから
・ロビー活動というよりも捕鯨の町を守ろうとしているんだと思う。田舎の過疎化問題をだましだまし遅らせている前線の1つに過ぎない
・ウェストバージニアの炭鉱町を支えようとしているようなものか?
・捕鯨は時代遅れで無意味だけど、カナダが日本の2倍のクジラを殺して、大部分は無駄になるか、先住民に売られるかしているのに、そこを飛び越して日本を攻撃しようとする人がいるのが面白い
・右翼の民族主義者によると捕鯨は日本古来の伝統文化だから守らなきゃいけないんだって
・キツネ狩りといい闘牛といい、右翼がいつも持ち出す“伝統”
・大型船を使った南氷洋での遠洋捕鯨は食糧難だった戦後に始まったもので、伝統ではないからね。伝統的なのは小さな木造船による沿岸捕鯨。これは禁止されていない
・持続可能な捕鯨には何の問題もないと思う。クジラ肉試してみなよ
・これはいいニュース。エコツーリズムが発展して食肉産業に取って代わるといいなあ
・見るのも食べるのも、両方すればいいのでは?
・なんで食べることと見ることを比較研究してるんだろう?

日本の“調査捕鯨”について、地方の過疎化問題や官僚の天下り利権にまで突っ込んだ議論が交わされていて驚きました。これでは「かわいそう」とか「クジラは賢いから」といった感情的な捕鯨禁止論者の出る幕はありません(いやまあ、ちょっとはいたけど)。

昨年、国際捕鯨委員会(IWC)からの脱退を表明し、独自に商業捕鯨を再開する道を選択した日本。今となってはクジラ肉の1人当たり年間消費量はわずか30gくらいしかないそうですが(牛肉は5kgほど)、クジラ肉を食べたい人と捕鯨で生活している人がまだいるのならば、利権構造を排除した上で持続可能な捕鯨を続けることに異議を唱える理由もないでしょう。それとは別に、エコツーリズムが流行って、地域経済が潤うと同時に自然環境の保全ができるなら、それもまたよし。

それぞれの立場が“正義”を振りかざすことで摩擦が生じている捕鯨問題ですが、あまりこだわりすぎることなく、「是々非々」の精神でもって、なんとか丸く収まらないもんですかねえ?

画像とソース引用:『ナショナルジオグラフィック』『reddit』『いらすとや』より
https://old.reddit.com/r/worldnews/comments/b1eptl/whale_watching_in_japan_is_on_the_rise_even_as/[リンク]

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