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上念司氏にツッコミを入れまくってみる(モノシリンの3分でまとめるモノシリ話)

 
これが本物の経済成長だ。

 
先に賃金が伸び,それが物価を引っ張り上げる。だから実質賃金も上がり,庶民も経済成長を実感できるのだ。

これとアベノミクスは真逆。物価だけ上がってしまい,名目賃金は全然追い付かない。実質賃金は墜落する。未だに開始前の水準にすら戻らない。

景気回復の実感が無いのは当たり前。

 
さて,ついでに安倍総理が喧伝している総雇用者所得についてもツッコミを入れておく。

要するに,1人当たりの実質賃金は減っているが,総額なら増えているというのである。

これは確かにそのとおりで,雇用者数が増えているから。

だが,問題は「それ,アベノミクスのおかげなの?」ということである。

ここで,職種別の増加雇用者数を見てみよう。これは2018年の職種別雇用者数からアベノミクス前である2012年の職種別雇用者数を引いたもの。

雇用者増加数

データ元:総務省統計局

 
医療・福祉が2位以下を大きく引き離してぶっちぎりの1位。125万人も増えている。2位と3位を合わせた数よりもなお多い。

これは明らかに高齢者の増大が影響しているので,アベノミクスと無関係。

2位の卸売・小売も,円安によって恩恵を受けるわけではないし,原材料費の高騰や記録的な消費低迷からするとむしろ害を受ける方なのでアベノミクスと無関係。

3位の宿泊業・飲食業について,宿泊は円安による外国人旅行客の増加で恩恵を受けるかもしれないが,飲食は原材料費高騰や消費低迷の影響を大きく受けるので,アベノミクスとは無関係。

4位の製造業はアベノミクスの影響といってよい。

5位以下は基本的に国内需要に頼るものばかりなのでこれもアベノミクスとは無関係。

 
アベノミクスがしたことは,要するに「円の価値を落とした」だけである。これと因果関係が無ければ「アベノミクスのおかげで雇用が増えた」とは言えない。

 
そして,このように,「増えた雇用の内訳」を見ると,アベノミクスと全然関係ないことが良く分かるのである。リフレ派はこの雇用の内訳に絶対触れない。

記録的な消費低迷が無ければむしろもっと増えていたのではないだろうか。

 
ついでに失業率の低下についても見てみよう。

失業率

データ元:総務省統計局

 
ご覧のとおり,失業率の低下はアベノミクス開始前からとっくに始まっている。

失業率ではなく完全失業者の絶対数についても見てみよう。

完全失業者数

データ元:総務省統計局

 
当たり前だが,同じ傾向である。単に失業者が減ったから,失業率が下がっただけ。

ところで,リフレ派はこれについて,「民主党時代の失業率低下と,アベノミクス後の失業率の低下は質が違う」と言う。

総務省による完全失業者の定義は下記のとおり。

「労働力調査 用語の解説」『統計局ホームページ』
https://www.stat.go.jp/data/roudou/definit.html

完全失業者 : 次の3つの条件を満たす者
1.仕事がなくて調査週間中に少しも仕事をしなかった(就業者ではない。)。
2.仕事があればすぐ就くことができる。
3.調査週間中に,仕事を探す活動や事業を始める準備をしていた(過去の求職活動の結果を待っている場合を含む。)。

上の3つに全部当てはまらないと完全失業者ではない。

そして,リフレ派は「民主党時代は職を探すことすら諦めた人が増えたので完全失業者が減り,失業率が下がっただけ」と言うのである。

もう,想像力が豊かですねとしか言いようがない。

 
確かに就業者数(雇用者に加え自営業者等も含む)も雇用者数もは2013年から増え始めたが,さっきも指摘したとおり増えた内訳(なお,就業者で見ても傾向はだいたい同じ)を見ると全然アベノミクスの引き起こした円安と関係ない業種ばかり。

たまたま増加のタイミングが一致しただけのものをアベノミクスの成果にしているだけ。

「俺が雨乞いしたら雨が降った。俺のおかげだ!」と言っているのと同じ。

 
さらに有効求人倍率についても見てみよう。

有効求人倍率

f:id:monoshirin:20190210224434p:plain
データ元:厚生労働省

 
アベノミクス前から,有効求職者数の減少が始まり,他方で有効求人数が増加し続けているため,有効求人倍率(有効求人数÷有効求職者数)は増加し続けている。

アベノミクス前後で傾向に変化は無い。

 
まあこれも見てもリフレ派は「民主党時代は求職活動を諦める人が増えただけ」って言うんだろうね。

 
なお,ついでにどういう年齢層の就業者が増えたのか見てみよう。

このグラフは年齢別の就業者について,2018年の数字から2012年の数字を差し引いて算出したもの。

年齢別就業者数

データ元:総務省統計局

 
65歳以上の増加が圧倒的。266万人も増えている。年金だけだと生活していけないということなのだろうかね。

我々が老後を迎える頃よりも,今の老後世代の方が恵まれた環境にいると思うが,それでこの状態。あぁ,きっと我々の世代は死ぬまで働くはめになるのだろう。年金支給開始年齢が80歳になってたりして。

 
さて,上念氏がいかに適当な「経済評論家」であるかがより深く理解できたと思う。

彼もリフレ派の1人であるが,そんなリフレ派の財政楽観論を完全否定しているのが私の新著。

「データが語る日本財政の未来 (インターナショナル新書)」2019年2月7日『amazon.co.jp』
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4797680334/hatena-blog-22/

これを読めば今の日本の立ち位置が良く分かるはず。

 
執筆: この記事はモノシリンさんのブログ『モノシリンの3分でまとめるモノシリ話』からご寄稿いただきました。

寄稿いただいた記事は2019年2月28日時点のものです。

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