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上念司氏にツッコミを入れまくってみる(モノシリンの3分でまとめるモノシリ話)

増税と円安の影響で食料価格が上昇した一方で,賃金が上がらないため,エンゲル係数が急上昇したのである。

 
で,重要なのは実質賃金の低下により何が起きたか,である。

日本のGDPの約6割を占める実質民間最終消費支出(要するに国内消費の合計)が,とんでもない停滞を引き起こしている。

リフレ派はこの実質消費の停滞に絶対触れない。

実質民間最終消費支出

データ元:内閣府

見てのとおり,2014年~2016年にかけて,3年連続で落ちている。これは戦後初の現象。

2017年はプラスに転じたが,4年も前の2013年より下。この「4年前より下回る」という現象も戦後初。

増税+アベノミクスで戦後最悪の消費停滞が生じているのだ。

実質賃金,実質可処分所得,実質実収入が減り,その影響で実質消費は停滞し,アベノミクス前より上がったのはエンゲル係数。

断言しよう。我々はアベノミクス前より確実に苦しい生活を強いられている。

安倍総理は悪夢の民主党時代とか言ったそうだが,悪夢は今。

これほど国内消費が停滞しているのだから,名目賃金が伸びないのも当たり前。国内消費に頼る企業は儲かっていないのだから。

円安による為替効果で輸出大企業は儲かるだろうが,それ以外の企業は特に恩恵を受けない。むしろ,原材料費の高騰などで,相当苦しい状況に立たされている企業は多いだろう。

さらに,この数字ですら思いっきりかさ上げされた結果なのである。

2016年12月にGDPは改定されたが,改訂前後の名目民間最終消費支出の差額を示したのがこのグラフ。

新旧名目民間最終消費支出差額

データ元:内閣府

御覧のとおり,アベノミクス以降が突出している。

特に2015年が異常。8.2兆円ものかさ上げ。

なお,名目民間最終消費支出におけるかさ上げは,国際的GDP算出基準(2008SNA)とは全く関係ない「その他」という部分でなされている。

アベノミクス以降は大きくかさ上げしているのに,なぜか90年代は全部マイナス。

この「その他」によるかさ上げ・かさ下げ現象を「ソノタノミクス」という。

こんなに数値をかさ上げしても,なお実質消費の低迷を覆い隠すことができていない。

先ほどのグラフのとおり,2015年の実質民間最終消費支出は2014年を下回った。さらに,2016年はその2015年をも下回った。

なお,改定前はもっと悲惨。2015年の数字がアベノミクス前(2012年)より下だったのだから。

 
さて,話を上念氏の表に戻そう。

この表は他にもおかしな点がある。

それは,登場人物が4人しかいないため,ニューカマー効果が大きくなりすぎること。

具体的に表にしてみよう。

上念氏の試算表

上念氏の試算表だと,労働者の増加率が2年目は50%,3年目は33%。

では,現実はどうだろう。アベノミクス前の2012年を起点とした毎年の雇用者増加率を見てみよう(単位は万人)。

雇用者増加率

御覧のとおり,最も増えた年でもせいぜい2%

2018年と2012年を比較して増加率を出しても7%である。

現実の新規労働者の既存労働者に対する比率はこの程度。

つまり,上念氏の試算だと,新規労働者の既存労働者に対する比率が大きすぎるので,ニューカマー効果が過大に現れてしまう。

こんな試算に意味は無い。

上念氏の試算表についておかしい点をまとめてみよう。

1.そもそも指数になってない。

2.実質賃金指数の算出方法が間違い(なぜか実数を物価上昇率で割っている)

3.現実の名目賃金動向を無視(名目賃金は下がってない)

4.現実の物価動向を無視(増税と円安で物価が急上昇した点を無視)

5.現実の労働者増加率を無視(このためニューカマー効果が過大に現れる)

 
こんなに現実を無視した試算表など無意味である。

ただ自分の結論に都合の良い極めて非現実的な数字を並べただけ。

必要なのは現実のデータをダウンロードして分析すること。

だが,おそらく上念氏はそのような分析すらしたことが無いと思われる。

していたら「実質賃金指数6000」なんて間違いは絶対にしない。

どこにどんなデータがあるのかも把握していないだろう。

だいたい,彼の説が正しければ新規雇用者が増え続ける限りいつまでたっても実質賃金が上昇しないことになりかねない。そんな馬鹿な話があるわけない。

ここで,高度経済成長期の賃金と物価の動向を見てみよう。なお,総合的な賃金指数が無いので代表的な産業である製造業で見てみる(1954年=100とする指数)。

製造業

見てのとおり,名目賃金が圧倒的な伸びを示し,それが物価を引っ張り上げている。物価は開始時と比べると2倍以上になっているが,名目賃金は7倍以上。

このように名目賃金の伸びが物価上昇を遥かに上回るので,実質賃金も順調に伸び,開始時と比べると3倍以上になっている。

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