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上念司氏にツッコミを入れまくってみる(モノシリンの3分でまとめるモノシリ話)

見てのとおり,アベノミクス前は1ドル80円程度だったものが,2015年に120円を超すレベルになり,ピークを迎えた。

その後,2016年にいったん円高になったので,2016年は前年に比べ物価が0.1ポイント落ちている。

そして,2017年からまた上昇に転じた。これは,また円安になったことに加え,原油価格が影響している。

原油は燃料だけではなく様々な商品の原材料にもなるので,その動向は物価に大きく影響する。

月足チャート

「WTI原油先物チャート」『チャート広場』
https://chartpark.com/wti.html

見てのとおり,2015年に原油は暴落した。これが円安による物価上昇をある程度相殺してくれたおかげで,2015年は1ポイントの物価上昇で済んだのである。この原油下落傾向は2016年も続いた。

ところが,2017年と2018年はだんだん原油価格が元に戻ってきたので,円安インフレに対する相殺効果が薄れ,物価がまた上がり始めたのである。なお,2018年の年末にまたぼこんと落ちているので,2019年の物価上昇は抑えこまれるかもしれない。

 
ここで注意すべきは,上昇したと言っても,2015年の暴落前の水準にはほど遠いということ。

すなわち,アベノミクス開始時の原油価格水準がそのままずっと維持されていたら,円安による物価上昇はこんなものでは済まなかったはずである。

で,なぜ円安になったかと言えば,日銀が異次元の金融緩和(アベノミクス第1の矢)を行ったことを受けて,投資家が「円が安くなる」と予想し,円売りに動いたから。

 
つまり,「増税とアベノミクス」によって無理やり物価を上げる一方,賃金の伸びがそれに全然追い付かないから,実質賃金が大きく落ちているのである。

ニューカマー効果を強調する輩は,平均値のことばかり言って,この「物価が急激に上がってしまった」点に全く触れない。

再掲するが,実質賃金指数=名目賃金指数÷消費者物価指数×100である。

つまり,実質賃金の話をするなら「物価」に触れなければならない。この点が全然分かっていない。

 
日銀がいつまでも物価目標を達成できないので,多くの人が「物価が上がっていない」と勘違いしている。

日銀の目標は「前年比2%の物価上昇」つまり毎年2%ずつ物価を上げていくこと。

「アベノミクス開始時点から2%」ではない。さらに,この物価目標は増税の影響を除くとされている。

 
アベノミクス開始時から,増税の影響も含めると,2018年の時点で6.6%も物価は上がっている。

その間,名目賃金は2018年に超絶インチキをしたのにもかかわらず開始前と比較して2.8%しか上がっていない。

このように,物価上昇が名目賃金の上昇を大きく上回ってしまったので,実質賃金がいつまで経ってもアベノミクス前の水準にすら届かないのだ。

 
ここで,総務省家計調査について見てみよう。

家計調査はサンプル数の上限が予め決まっている。その上,可処分所得や実収入については二人以上の世帯のうち勤労者世帯を対象にしているので,ニューカマー効果は無いと思われる。現在,2017年分までが公表されている。

まずは収入から税金や保険料を除いた可処分所得の推移から。

こちらもアベノミクス前との比較が重要なので2012=100とする指数で見てみよう。

可処分所得と物価

データ元:総務省統計局

名目可処分所得は2014年に少し落ち込んだ後,上昇に転じているが,物価の上昇が大きく上回っているので,結局2017年時点での実質可処分所得はアベノミクス前を3ポイント下回っている。

次に,税金や社会保険料も含めた実収入について見てみよう。

実収入と物価

データ元:総務省統計局

当然だがこちらも傾向は同じ。税金や社会保険料でお金を取られなかったとしてもなおアベノミクス前の水準より2.3ポイント低い。

このように,実質賃金で見ても,またニューカマー効果が無いと思われる実質可処分所得や実質実収入で見ても,アベノミクス前の水準を下回る。

これは,増税とアベノミクス(円安)で無理やり物価を上げる一方,賃金がそれに全然追い付かないから。

そして,この急激な物価上昇がエンゲル係数(家族の総支出のうち、食物のための支出が占める割合。係数が高いほど生活水準は低い)の急上昇にもつながっている。

エンゲル係数と食料価格指数

データ元:総務省統計局

食料価格指数はアベノミクス前と比べると2018年の時点で10.3ポイントも上がっている。増税が全て食料価格に転化されて3ポイント寄与したとしても,7.3ポイント残るが,その最も大きな要因は円安である。

この点について「天候不順で野菜が高騰したせいだ!」とか言い出す輩が出てくるが,2014年あたりから日本は毎年異常気象に襲われ続けているのだろうか。んなわけない。

なお上念氏は高齢化が影響したなどと言っているが,それだと2014年あたりから急に高齢化が進行したことになる。こちらもそんなわけないだろう。

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