台北パン散歩

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台北パン散歩

パン屋さんがあって、一軒置いてまたパン屋さんがあって。台湾は中華圏だから私たちと同じ米文化で、あ、朝食はお粥かな。漠然としたイメージを持っていた台湾の食の日常でしたが、もはや街なかのベーカリーの数は日本以上なのでは?そう思わせるほど、台湾には至るところにパン屋があり、台湾人はパンが大好きで慣れ親しんでいました。日本のパンとの共通点も多く、その中で台湾ならではの独特な味わいのものもあり、隣国のパンの香りを楽しみながら発見した台パンの魅力をお伝えしたいと思います。

2019年 2月     レポーター 尾見典子

菠蘿麺包(メロンパン)

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台北・松山空港から鉄道MRT(台北メトロ)に乗り移動途中、一番最初に目に入ってきたのが「ぼろパン」でした。真っ赤なゴシック体で大きく”ぼろ”の文字、続いてカタカナで「パン」、これは間違いなくパン屋さんの看板です。市内あちこちで同じ看板を見かけたのでチェーン店のようです。台湾は親日派が多く、観光地では日本語が通じるとは聞いていましたが、公用語は中国語なので、ひらがなとカタカナの店名は、もしかしたら私たちのような日本人観光客向けのお店かと、最初不思議に思ったくらいです。

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宿泊したホテルから徒歩圏内にあった台北車站(駅)店に行ってきました。購入したのは、バターをサンドしたメロンパン「冰火菠蘿油」とエッグタルト「葡式蛋塔」。購入した時は、間にチーズが挟まっているのかと思いましたが食べてみたらバター!なぜバター?そういうのが台湾では好まれているのかも?その後も、“メロンパンバターサンド”は大抵のパン屋さんで見かけたのでどうやら定番のようでした。上に被せているクッキー生地は日本のメロンパンと同じものですが、バターをサンドするという発想はちょっとしたカルチャーショックでした。その場で食べると伝えると、熱々の原味菠蘿(プレーンのメロンパン)に冷たいバターをサンドしてくれます。

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外袋にはこう説明が(原文のまま)
『ぼ、ぼろパン?ぼろパンはメロンパンと同じ意味の造語です。菠蘿麵包の菠蘿(boluo)の音を拾って “ ぼろ ” と可愛くひらがな表記し、パンだけじゃなく店名にも楽しさと美味しさを詰め込みました。ボロボロのパンじゃないから安心してください(笑)』同じ内容のものが英語と中国語(台湾は中国語圏です)でも書かれていました。
boluo(ボーロォ)は中国語でパイナップルの意味で、台湾ではメロンパンのことを指すのだそうです。メロンでなく、パイナップルパンなんですね。

台湾葱麺包(台湾葱パン)

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台パン巡りをしたなかで、メロンパンより更に日常的に食べられている惣菜パンを見つけました。「葱麺包」(ツォンミェンパオ)葱パンです。使用する葱にもブランドがあるようで、台湾東部の宜蘭産のものがよく使われているそうです。形は様々ですが、食べた限りではどこの葱パンも同じような印象、パンが甘めでしっとりもっちり柔らかだということでした。生地にネギが練りこまれているのではなく、台湾マヨネーズ(日本のマヨネーズに練乳を混ぜた感じです)と刻んだネギをたっぷりのせたものが圧倒的に多かったです。葱パンは一つの店舗でもバリエーションがあり、葱パンの上に更に肉鬆(肉でんぶ)を一面にまぶしたもの、胡椒の効いたもの、ベーコンやチーズを巻き込んだものなど、ラインナップが豊かです。

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パンとは少し違うのですが、生地にネギを練りこんだ葱油餅(ツォンヨゥピン)というお好み焼きのようなパンのような屋台の食べ物が、スタンドや朝食専門店で食べられます。スタンドとは、日本でいうとたい焼き屋さんのような店構えです。

肉鬆(ローソン)パン

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前出で少し触れましたが、葱パンと並んで人気なのが肉鬆麺包(肉でんぶのパン)でした。肉鬆は日本ではお目にかからない食材なので、大変貴重な体験でした。でんぶというと日本では魚ですよね。肉鬆は、刻んだ搾菜とともにお粥にかけたり、茶葉炒飯(台湾名物です)にトッピングされていたり、台湾人の食卓には欠かせないものです。葱パンと肉鬆パンは台湾人のソウルフードといっても過言ではないでしょう。

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饅頭(マントウ)

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台湾では、饅頭はおまんじゅうではなく、肉まんの中身のない花巻(ホワジュアン)のようなもので、中華蒸しパンです。台北のパン屋さんにはどこでも置いてあり、パンと並び朝食の定番メニューです。写真のように、袋詰めされていることが多かったです。そのまま食べたり、山査子のジャムをつけたり、水平に切れ目を入れて八角の効いた豚の角煮を挟んだりしていただきます。

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呉寶春麥方店(ウーパオチュンマイファンディエン)

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こちらのお店は、パンの世界大会「マスター・ド・ラ・ブランジュリー」2010年に優勝した呉寶春(呉宝春/ウーパオチュン)さんが経営している「呉寶春麥方店(ウーパオチュンマイファンディエン)」というベーカリーです。

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世界大会で優勝した時に生まれた「というライチとバラのパン。試食を配っていたので一口いただいてみました。バラの香りは気づかない程度でくるみが良いアクセントに!口当たりは、日本のパン屋さんのハード系と全く変わりません。美味しいです。欧州のパンを台湾の人たちにも食べてもらいたい、という ナビゲートの役割を果たしているかと。夜7時をとうに過ぎていましたので、さすがにほとんどパンがなかったです。

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《(リュウガンとワインのパン)》
リュウガンというのは初めて聞く言葉でしたが、アジア地域ではよく食べられている果物で、ライチのような大きさのぶどうの実のような味わいのものなのだそうです。実際に頂いてみたのですが、言われなければ気付かないくらい “ レーズン ” でした。材料に赤ワインが使われているようです。レジで、お酒を使っている、というようなニュアンスの説明をしてくださり、確かに袋を開けた時に酒饅頭のようなアルコール臭がしました。そして、現地語のパンの名前にも酒の字が入っています。英語名にはred wineの文字。リュウガンを赤ワインでつけてあるのかもしれませんし、加水の一部に赤ワインを使用しているのかもしれません。しっとりもっちり、そのままでもパクパク、バターがよく合いました。イメージとしてはくるみレーズンパン、もしかしたら黒砂糖も使用しているような、そんなコクを感じました。

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《北欧極地麵包 (ノルディック・ブレッド)》
スウェーデンあたりでよく食されているタイプの、日本でいうとロールパンみたいな立ち位置、平たいパンです。甘く柔らかいパンでした。

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《台灣春鹽布里歐》
そしてこちらは、バラ売りのほか4〜5個入りで袋売りもされていました。台北店限定というポップが付いていました。台南地域にお店の本店があるそうです。人気商品のようです。食べてみたら、ブリオッシュでした。

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それから、台湾のパン屋さんはどこも食パンがあります。最近では、無添加、北海道産小麦を謳ったTREES BREADという高級食パンブランドが新光三越に催事出店するなど、パンについても日本の企業がどんどん進出しています。

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そして最後に…

ル ブーランジェ ドゥ モンジュ(微風南山アトレ店)

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2019年1月10日オープン。春節前(2019年の春節は2月5日)ということもあり、微風南山アトレはまるで銀座にあるデパートのような華やかさでした。台湾初上陸のアトレですから、商業施設自体がすごく話題になっていました。パンのラインナップは銀座SIXとほぼ同じで忠実にパリを再現しています。日本の店舗と違いは、広くとられた店内にカフェスペースを併設し、ゆっくりと過ごせるという点です。モンジュのある2階には、世界中から高感度な食関連ショップが集まり上質な空間を作り出していました。

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駆け足で巡った台ぱん巡りでしたが、こんなに楽しいとは思ってもみなかったです。甘くて柔らかな台式のパンから入門したばかりのまだまだ未熟な私ですが、ロシアパンや台湾ドーナツ、夜市で人気のB級グルメ「棺桶パン」!?など、試してみたいものが沢山で、また機会があったら訪れたいと思います。

台湾は、小籠包に負けないくらいパンも熱い!ですよ。

■この記事を執筆したパンライター
パンライターのりこ
https://pansta.jp/user/iim1538/
パンは心の糧。美味しいパンでみんなほっくり〜心豊かに。パンの気になる情報やおいしい食べ方、愉しみ方を提案していきます。

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パンスタ

国内最大級のパン専門コミュニティー、パンとパン屋さんのガイド「パンスタ」です。 パンスタ編集部ではパン屋さんへの取材、パン女子会の運営、パンイベントの企画運営などを行っています。

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