映画の大ヒットで緊急復刊!フレディ・マーキュリーの決定的伝記
2018年を席捲した映画『ボヘミアン・ラプソディ』。イギリスのロックバンド「クイーン」の軌跡を描いた同作は、この年に日本で公開された映画興行収入ランキングで第1位を獲得し、社会現象ともいえる一大トレンドを巻き起こしました。
そして映画のヒットとともにふたたび注目を集めているのが「クイーン」のヴォーカル、フレディ・マーキュリー。映画を観た皆さんの中には、さらに詳しくフレディの人物像や生き様を知りたいと思った人も多いはず。その高まりの中、緊急復刊された書籍が『フレディ・マーキュリー 孤独な道化』です。
著者は、『ボヘミアン・ラプソディ』の脚本家ピーター・モーガンの脚本コンサルタントも務めたレスリー・アン・ジョーンズ。「クイーン」のツアーに同行して世界中をまわった元ロック・ジャーナリストであり、プライベートな世界に立ち入ってその素顔に迫ることを許されたごくひとにぎりの人間だといいます。伝説やゴシップも多いフレディですが、本書にはアフリカのザンジバルでの幼年時代からインドでの学校時代、一家でのロンドンへの亡命、クイーンの未曽有の成功、そしてエイズによる最期まで、彼の真実の姿が余すところなく徹底的に明かされています。
『ボヘミアン・ラプソディ』で最高潮に盛り上がるのはラストのライヴ・エイドのシーンではないかと思いますが、本書でライヴ・エイドが登場するのは第1章。空中分解し始めていたクイーンというバンドを再び団結させ、二度目の輝かしい未来を迎えるための分岐点となった伝説的なパフォーマンスについて、いちばん最初に鮮明に再現しています。そして、そこにいたるまでのフレディの人生が、今度は幼少期から順を追って描き出されていきます。
フレディに関する書籍はほかにも多数出ていますが、本書が類まれなるのは、恋人たちや家族、友達、ミュージシャンやプロデューサーなど、彼の人生のカギを握る人々の証言が数えきれないほど多く盛り込まれている点。
たとえば「クイーン」のギタリストでフレディのバンド仲間であったブライアン・メイは、「ライブ・エイドはフレディのものだった。彼みたいな人間はほかにはいない。僕たちの音楽がフレディの中を流れているのが見えるような気がするくらいだった。彼を無視することはできない。ユニークで、特別な人だった。あの日会場にいたのはうちのファンだけじゃなく、みんなのファンだった。フレディは本当に全身全霊で歌いきったんだ」とライブ・エイドでのパフォーマンスについて振り返ります。
また、フレディの恋人だったジム・ハットンは「子供時代に愛情をあまり受けてこなかったために、自分は『大人になってから肉体的な愛に異常に固執してしまう』ようになったのだろうか、とフレディはたまに考え込んでいた」というエピソードを語ります。
音楽について、私生活について、さまざまな人物がフレディにまつわる証言をすることで、幅広い視点や角度からフレディというキャラクターに読者もともに肉薄することができるでしょう。そして世間で伝説化されたスターの姿ではなく、フレディ自身がとらえていた自分というものについても、本書では深く掘り下げられています。
映画『ボヘミアン・ラプソディ』は感動的なエンタテイメント作品として事実と異なる部分もありますが、本書は数多くの証言からフレディの真実の姿を浮かび上がらせることに成功しています。本書を読むことで、フレディ・マーキュリーというアーティストの人物像にさらに深く迫ることができるに違いありません。
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