悪役令嬢の歴史・ルーツを、漫画やゲームから考察してみた。(青猫文具旅)

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「ガラスの城」のあらすじは「イサドラは母の死の間際、妹のマリサ(ヒロイン)が実は伯爵令嬢であることを知る。マリサに成り代わって令嬢となるイサドラ。イサドラはマリサのことを召使として側に置き、苛め抜く」というもの。

成り代わりではあるものの、美少女なイサドラはいかにもお嬢様で、ヒロイン苛めっぷりが半端ないです。ただしヒーロー不在。主人公を憎んでるタイプですね。

成り代わり令嬢がヒロインを苛める(というか命を狙う)展開は「伯爵令嬢」(細川智栄子あんど芙〜みん)(1979年)でもあります。宝塚で上演されたのでこっちが有名かな。記憶を失った少女コリンヌ、元スリで成り代わり令嬢となったアンナ、ふたりの貴族青年による四角関係が、ベタすぎて逆に新鮮。

70年代

もう少し時代が進んで70年代、といえば、世界的にも有名ですね、

「キャンディ・キャンディ (1) 講談社コミックスなかよし (222巻)」『amazon.co.jp』
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「明るく前向きな孤児の少女キャンディ(ヒロイン)が、周囲の偏見に負けずに人々に影響を与え成長していく」ストーリー。キャンディを苛める令嬢でイライザが序盤から登場。

兄のニールと一緒にヒロインを苛めるイライザはとっても悪役なお嬢様です。何より縦ロール。マンガの知名度的にも悪役令嬢の原型はイライザ、という人が多いんじゃないかな(主人公の幼馴染で貴族の養女になり、微妙に距離を置くようになったアニーの方が腹黒令嬢扱いされることも。恋敵だしね)

同じ70年代、「王家の紋章」(細川智栄子あんど芙〜みん)(1977年)では、ヒロインのキャロルをヒーローの異母姉であるアイシスが執拗に命を狙ったり、「ときめきトゥナイト」(池野恋)(1982年)で、ヒロイン蘭世にライバル曜子お嬢さんがヒーローを巡って恋の鞘当てをしたり。曜子さんは、暴力団組長の娘設定なので、ちょっと違うかなー。

前述の「ベルサイユのばら」もこの時代。ポリニャック伯夫人やジャンヌ、デュ・バリー夫人はポジション的にまさに!かも。

悪役令嬢と関係ありませんが、この時期、少女漫画の神様とも呼ばれた萩尾望都先生が「ポーの一族」を連載されてます。キャンディ・キャンディ、ベルサイユのばら、ポーの一族…こう並べてみると伝説的な時代だ。

80年代

さらに時代を進めて80年代。お金持ち学校を舞台にした「有閑倶楽部」(一条ゆかり)(1981年)や「笑う大天使」(川原泉)(1987年)なんか有名で、真性お嬢様おぼっちゃま出てきますが、あれ、サスペンスやコメディでジャンル違いだと思うので割愛しました。でも「舞台設定:お金持ち学校」という意味で、有閑倶楽部の影響は大きいはず。

「有閑倶楽部 1 (りぼんマスコットコミックスDIGITAL)」『amazon.co.jp』
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90年代

次の90年代。漫画からドラマ・映画・アニメなど多角的に展開されたので、普通に男性だって名前を知ってるかと思います。

「花より男子 1 (マーガレットコミックスDIGITAL)」『amazon.co.jp』
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「お金持ち学校が舞台+庶民ヒロインが苛められ、やがて周囲に認められていく」という王道展開は、昨今の悪役令嬢モノの原典に上げる人が一番多そうな作品。庶民ヒロインつくしちゃんを苛めるリリーズ(百合子さまと仲間たち)がいます。

小説家になろうで「ジャンル:悪役令嬢」のブームの発祥になった、ひよこのケーキ先生の「謙虚、堅実をモットーに生きております!」作中作マンガ「君は僕のドルチェ」は、「花より男子」オマージュぽいですよね。若葉ちゃんと鏑木の関係性が、往年のつくしちゃんと道明寺に被る人、結構いるんじゃないかな。まぁでも花より男子には、麗華さま的強力なライバルキャラは登場しないです。

00年代

そしてその先00年代ミレニアム。

「メイちゃんの執事 1 (マーガレットコミックスDIGITAL)」『amazon.co.jp』
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空前の執事ブーム到来。やっぱり榮倉奈々、水嶋ヒロ、佐藤健競演で話題になったメイちゃんの執事が飛び抜けて有名なんでないかと。主人公メイちゃんに対するライバル役で詩織様がそんな立ち位置です。

同じようなお嬢様学校+庶民ヒロイン+オプション執事だと「執事さまのお気に入り」(津山冬、伊沢玲)(2007年)もあります。

これ以降、2010年代以降も悪役令嬢的なポジションのキャラクターは随所に出てきますが、すでにオリジナルを前提とした、アイコン(記号)、お約束としての悪役令嬢という印象です。少なくとも源流とはいえない。

こうした悪役令嬢的なポジションのキャラクターは、少女マンガに限らず、少年マンガや青年マンガにも時折登場しています。男性向けの場合は、ツンデレ要素をつけて準ヒロインなことも多いですね。

 

乙女ゲーの悪役令嬢はマイネリーベにあり。

初代乙女ゲーム「アンジェリーク」(1994年)の時代から、ロザリアのようなお嬢様キャラは登場してます。乙女ゲーム2作目の「アルバレアの乙女」(1997年)のファナもお嬢様キャラ。いずれも切磋琢磨が気持ちよい、お嬢様ライバルキャラです。女王や聖乙女の地位を巡って、苛めなんてせず正々堂々ヒロインと戦ってくれます。貴族としての矜持(プライド)ゆえに、自分にも他人にも厳しいイメージ。

その後、「ときめきメモリアル Girl’s Side」(2002年)の須藤さんや 「ワンド オブ フォーチュン」(2009年)のシンシアなど、ヒーローを巡る恋の鞘当て的お嬢様キャラが出てきますが、正直、登場時間的尺の短さから存在感が薄い。乙女ゲームって、マルチシナリオで複数ヒーローそれぞれにルートがあって、そのうちひとりのライバル役でしかないので…。

でもそんな中、燦然と悪役令嬢が登場した乙女ゲームがありました。

マイネリーベII ~誇りと正義と愛~」『amazon.co.jp』
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明るく家庭的な成金お嬢様、ぶりっ子腹黒公爵令嬢、男勝りクールお嬢様が、ヒーローを巡ってヒロインとつばぜり合いを繰り広げるゲーム。「ジャンル:美少年誘惑シュミレーション」の名は伊達ではなく、油断するとヒロインは陥れられます。

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