「竹田会長事件」、「ゴーン氏事件」との“決定的な違い”~政府・国会による事実解明が不可欠(郷原信郎が斬る)

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 以上のように両事件を比較すると、司法手続の適正さ、公正さという面で、日本の検察当局のやり方がいかに異常なものかが一層明白となる。フランス当局側が、「ゴーン氏事件」での重要な局面と同じタイミングで「竹田会長事件」の「訴追」に向けての手続を公表したことに、両者の違いを強調する意図があった可能性もあるだろう。

 今後の、ゴーン氏事件と竹田会長事件への日本社会としての対応では、この「共通点」と「決定的な違い」を十分に認識して行っていく必要があろう。

日本の政府として、社会として採るべき対応

 まず、ゴーン氏事件への対応だが、既に弁護人から出されている保釈請求について、裁判所が、「特捜部が起訴した特別背任の否認事件なので早期保釈はあり得ない」などという「固定観念」から離れて、起訴事実の嫌疑の程度と具体的な「罪証隠滅のおそれ」の有無の二つの面から適切に判断することだ。もし、不当な保釈請求却下が行われた場合、凶悪事件でもない経済事犯での身柄拘束が解消される見込みが全く立たないという異常な事態となる。その場合、日本の「人質司法」に対して国際的批判を受けることになるだろうが、本件でのゴーン氏の早期保釈は、適切な「罪証隠滅のおそれ」を判断すれば十分可能なのであり、決して国際的批判におもねるものではない。

そして、「竹田会長事件」に対しては、まず、今日(1月15日)に予定されている竹田会長の記者会見が極めて重要だ。予審手続の開始が報じられた直後のコメントのように調査報告書で「不正なし」とされたことを強調するだけでは、フランス当局で「訴追」に向けて手続が開始されたことに対するJOC会長としての説明責任を果たしたことにはならない。少なくとも、以下の点については、十分な説明を行うべきだ。

 (1) 「ブラック・タイディングス」社の招致実績を評価した具体的理由(電通に実績を確認した際に、実績についてどのような説明があったのか。特に、同社が世界陸上北京大会を実現させた実績は、いかなる手法によって実現されたと認識していたのか。)

 (2) 国会(平成28年5月16日衆院予算委員会)では「ブラック・タイディングス」社の活動報告書の所在についての質問に、「関係書類は、法人清算人で招致委員会元専務理事の水野正人氏が確実に保管している」と答弁している。招致関係の書類は、調査委員会の報告書では「全て破棄された」とされているが、書類は、いつ廃棄したのか。

 (3) 成功報酬を支払った際、東京五輪招致までの「ブラック・タイディング」社の活動の内容についてどのような説明を受けたのか。

 竹田会長は、今日の記者会見で、質疑応答に全く応じず、「調査委員会で不正が否定された」と一方的に自分の言い分を述べて、会見を打ち切った。質疑応答に応じないのであれば、記者会見ではなく、書面を配れば良いのであり、まさに「記者会見の偽装」と言うべきだ。

 JOC竹田会長側に説明責任を果たす気がないのであれば、国として事実解明を積極的に行うしかない。中立性・独立性という面で国民に十分納得できる委員からなる第三者委員会を政府が設置するか、或いは、福島原発事故について国会に設置されたような、独立した調査委員会を国会に設置することも検討すべきだ。

 
執筆: この記事は郷原信郎さんのブログ『郷原信郎が斬る』からご寄稿いただきました。

寄稿いただいた記事は2019年1月17日時点のものです。

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