[閲覧注意] ゴキブリ、ネズミ、洗剤入り生クリーム!絶叫の不衛生工場バイト!
どうもどうも、特殊犯罪アナリスト&裏社会ライターの丸野裕行です。
数年前、洋菓子業界に信じられない大不祥事が起こった。そう大手洋菓子製造メーカーの賞味期限切れ原料使用騒動だ。
これを皮切りに、駅で提供されていたネズミカレーが週刊誌にスッパ抜かれ、ゴキブリラーメン事件、牛タンを調理場の床に叩きつける焼肉店など、信じられない衛生管理体制の飲食業が次々と明るみになった。
それ以前には、韓国の業者が廃棄処分のはずのゴミを餃子の原料として使っていたこともあった。
しかし、これらはまだまだ甘い。
今回取材をした佐倉氏(仮名)が働いていた、百貨店にもショップを構える人気洋菓子製造会社の衛生管理は、想像していた以上の劣悪さだった。
とても人間の食べるものを作っている場所とは思えない製造工場の中で彼が見た凄まじい実態を聞いてほしい。
洗剤入りシュークリーム
告白者/佐倉文雄(仮名) 関西某市 28才 フリーター
オレが、新聞の折り込み求人で『××××』というマスコミにも取り上げられる洋菓子製造工場のバイトに入ったのは、4年前の平成26年。
他のバイトよりも実入りがいい1200円の時給と、関西圏では名の通ったブランドイメージで勤める事を決めた。面接して即採用。早速、小さなロッカーをあてがわれ、支給される作業着を着た。
<※編注・写真はイメージです。本文の会社とは異なります>
臭っ! 汗がしみこんだまま放置された作業着がハンパなく雑巾臭い。鼻をつまみながら、どす黒くなった帽子を着用して、工場内へ製菓長に案内された。
「今日から、一緒に働くことになった佐倉くんです、頼みますわ!」
工場内には、13人の従業員がいて、持ち場はそれぞれ決まっているようだった。職場の壁には、おびただしい黒カビが覆っている。
「じゃ、とりあえず、シュークリームの方に行ってもらおっか」
「えっ、とりあえずマクドみたいに手を洗ったり、消毒したりしないんですか?」
「ええよ、どうせ火ィ入れるし……」
<※編注・写真は本来あるべき清潔な職場のイメージです>
オレは手も洗わずに、寸胴鍋に入ったクリームとシュー生地が並んだ部署へ連れていかれた。
「そこのヘラ、洗ってきてくれ!」
いかにもベテランのオヤジが忙しなく動き回りながら、オレに怒鳴る。オレは、汚れがこびりついた流しにある台所用洗剤をヘラにふりかけ、洗いはじめた。
「何やっとんねん! 早く持って来い!!」
「いや、でもまだ洗剤がついてますから……」
「ええから、早く持ってこい!」
オヤジは台所用洗剤付きのヘラをオレからもぎ取り、生クリームの中へ ボチョン。ウソぉ~!! 滞りなく、数十個のシュークリームが出来上がった。
ゴキブリが撹拌機に混入
次はクッキー。担当の爺さんが軍歌を唄いながら、撹拌機を動かしている。オレは、ベルトコンベアに載った型を並べていた。
「あっちゃ~! 混ざってしもたんやなぁ~」
よく見ると、爺さんが摘みあげた生地のなかに黒いツブツブが……。足? なんや?
「ゴキちゃんや、ゴキちゃん。生地の撹拌機に入ったんやなぁ」
「って、どないするんですか?」
「原料費を嵩ませるわけにはイカンし、取り除いて、いっぺん濾(こ)そか」
ええ~それでええのん? 爺さんの話を聞けば、この人気洋菓子会社のオーナーは、鬼のような守銭奴で、恫喝・体罰は当たり前。ちょっとしたミスをするとソッコーでパワハラされ放題らしい。製造責任者の製菓長は、いつも顔色を窺って仕事をしているそうだ。
網を突っ込んで濾すと、足や羽根、腹に持っていた小豆のような卵など網に引っかかる。うげげげぇ~!!
しかし、生地はそのまま型に流され、キレイにおいしそうに焼きあがった。
爺さんは、注意書きに“焼き加減で黒いツブが混じることがありますが品質には問題ありません”と書いてあるがな……と笑っていた。
1年間開かずの冷蔵庫の中
オレは卒倒しそうな製造現場の実態に耐えながら、バイト2週間目を迎えた。
その間にも、2年前に賞味期限が切れたバターを溶かし、表面に青カビが繁殖した牛乳を寸胴鍋で煮沸殺菌し、2週間経ったカップケーキに傷みきったマンゴーで作ったジャムをのせ、極上スイーツに生まれ変わらせた。
確かに罪悪感がかなりあるが、高時給で楽な仕事。しかし、やはりこの日で辞めようと決定的に思わせる事件が起こった。
材料を入れておく大型冷蔵庫の隣にもう使われなくなった観音開きの古めかしい冷蔵庫がある。材料を取りにいくと、必ず中からおかしな音がして、ガタッと少し動くような気配がある。オレは気になって、先輩に訊ねた。
「あの冷蔵庫はもう1年くらい開けてないんよ。なんか、オーナーと製菓長が開けるなって」
「でも、なんか音がするし、処分するんやったら、早くした方がええんちゃいますか?」
「それも、そやな」
もう、やめさせてもらいます
言った先輩がガムテープをはずして、ドアを勢いよく開けた。
【ボトボトボトボトォ~!!】
黒い雪崩が起こり、何かが床にぶちまけられた。一瞬で周囲に立ち込める、獣とクソを混ぜたような異臭。く、臭ぁっ!! と思っていると、黒い雪崩は蜘蛛の子を散らすように周囲にザザッ~っと拡がった。な、なんやぁ!!
よくみると、それは何百匹というクマネズミの大群。赤い小さな赤ん坊と大小のネズミが床でうごめく。大きな奴になると20センチもある。
開けられることのない、冷却装置の壊れた冷蔵庫の中で大繁殖していたようだ。増えに増え、中で共食いに継ぐ共食いを繰り返して、生き抜いてきたようだ。
「ギャ~!!」
連中は、工房の中で逃げ場を失い、完成したケーキや焼き菓子の袋の中に顔を突っこんだ。飛んできた製菓長の顔は真っ青。今にもバタンと倒れそうだ。
「ネズミが住み着いたから、それは処分するつもりやったんや! どうしよう、オーナーに怒られる……」
子供のようなセリフを吐く製菓長。使われる側の製菓長は失職を恐れるばかり。オレたちは3時間に及ぶ気持ちの悪い格闘の末、商品からネズミを取り除き、出荷することができた。
「逃げたのはもうええわ。おい佐倉、一ヶ所に集めたネズミ、踏みつけて殺しといてくれ」
「えっ?」
「仕事やろが!」
「……もう、やめさせてもらいます」
■
ネズミ騒動のときにあった得体の知れない菌まみれの商品は、関西のマダムがこぞって買いにくる百貨店の店頭へ無事に並べられた。今は改善されているのかもしれないが、その店は今も大繁盛しており、お取り寄せグルメの上位に食い込んでいる。
(C)写真AC
※写真は全てイメージです
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