ガジェット通信 GetNews

見たことのないものを見に行こう

体験を伝える―『ガジェット通信』の考え方

面白いものを探しにいこう 本物を体験し体感しよう 会いたい人に会いに行こう 見たことのないものを見に行こう そしてそれをやわらかくみんなに伝えよう [→ガジェ通についてもっと詳しく] [→ガジェット通信フロアについて]
ガジェ通制作ライブ
→ガジェ通制作生放送一覧

アベノミクスで景気回復って言うけど、GDPって本当に実態に合った経済指標か?(note)

GDPは内訳として家計消費、投資、政府支出、輸出入の4種類の項目が示されており、それらを足しあげれば約500兆円になります。家計による消費財への支払いを意味する家計消費(正確には「民間最終消費支出」)は、GDPの約57%を占めており、経済成長の鍵は一般家計の消費が握っているとさえ言われています。

この「家計消費」の動きがここ数年変なのです。そもそもGDP全体でみた成長率と、家計消費単体で見た成長率は、図3-5の通り極めて高い相関を示してきました。そもそもGDPの約6割を占めているので連動するのは当然かもしれません。

家計消費単体成長率

しかしその法則から外れて、家計消費単体で見れば成長率はマイナスなのに、GDP全体で見ればプラスになっている年があります。それが2014 年、2015年です。

家計消費はさらに細かく、「家計最終支出」「除く持ち家の帰属家賃」の2段階に分解して見ることができます。詳しい話は経済書を読んで頂くとして、簡単に言えばNPOなどの組織形態を除いて本当に一般家計のみを扱ったものが「家計最終支出」、持ち家であったとしても家賃を払っている体で家計を計算していたのを辞めたのが「除く持ち家の帰属家賃」にあたります。ちなみに「家計最終支出」「除く持ち家の帰属家賃」で見ると、2016年も成長率はマイナスでした。

つまり家計という観点で見れば2014年~2016年は成長しておらず景気は悪いのに、その他の企業の投資や政府や輸出入なども含めたGDP全体で見れば成長しているから景気は良いという矛盾するような状態が続いていたのです。ちなみにこの3年間、G D P 全体を押し上げていたのは企業の設備投資や政府支出でした。

景気の良し悪しを自身の家計から推し量るなら、経済成長を実感できていない一部の人たちがいるのも当然です。家計と全体でズレが生じているのですから。

ちなみに家計の景気を調べるうえで参考になるデータとして、同じく内閣府が発表している景気ウォッチャー調査が挙げられます。2000年から毎月発表している景気に関する指標です。小売店やタクシー運転手、レジャー業界など景気に敏感な職業の人々に対して、家計や企業の景気動向をインタビューして、その景況感を数値化したものです。GDPが示す景況感とは違う「街角景気」とも評されています。

景気ウォッチャー調査は、3カ月前と比較した景気の現状を意味する「現況判断DI」と、今後2~3カ月先の景気の見通しを意味する「先行き判断DI」の2種類で構成されています。DIは0~100の範囲で表現され、50が横ばい、上回れば良い、下回れば悪いという意味です。

家計動向の現況判断D I を見てみましょう。図3-6の通りに推移しています。

家計動向の現況

基準である50を超えた期間の方が少ないので、そもそもGDPと家計消費が示す経済成長率には大きな違いがあります。このあたりも景気ウォッチャー調査が景気全体ではなく、「街角景気」と評される所以でしょう。

2016年は、2014年消費増税、2011年東日本大震災、2008年リーマンショック以来の落ち込みを示しています。2017年の後半になってようやく脱却できたと思ったら、2018年にまた基準である50を割ってしまいました。街場の家計動向は、GDPで見るほど成長していないというのが実際なのかもしれません。

もしかしたらGDPという指標自体が日本全体の景気動向を表しきれていないのではないでしょうか。そもそもGDPという数字は、どこまで信用できる数字なのでしょうか。私たちはGDPという指標の過去、弱点、問題点に目を瞑つむったまま、数字だけを見て「良い」「悪い」と判断しているのかもしれません。

GDPは20世紀の遺産

GDPはいつ頃、どのような目的で発明されたのでしょうか。諸説あるようですが、原型は1665年のイギリスだと言われています。

1665年から1667年にかけて行われた第二次英蘭戦争を前に、戦争に必要な資源が足りているか、徴税で戦費を賄えるかを見積もる必要がありました。そのために学者だったウィリアム・ペティが、イングランドとウェールズの収入、支出その他資産を推計したのが始まりでした。ただし「国の経済力の大きさを測る」という目的は同じでも、現在のGDPのような単一指標ではありませんでした。

それ以降、様々な国が経済力の計測に力を注ぎますが、目には見えない経済という概念をどう測るかに苦戦します。測り方も数え方も国によってバラバラで質は悪く、国家間の比較には到底耐えられませんでした。目に見えないものを可視化・数値化するのは、それぐらい大変だったと言えます。

それから約260年後の1930年代、GDPの前身であるGNPが生まれます。キッカケになったのが世界恐慌です。フランクリン・ルーズヴェルト政権下、不況に関するより正確な情報を得るために、全米経済研究所に勤めるサイモン・クズネッツが国民所得計算を作成しました。

その結果、1929年から1932年の間にアメリカの国民生産が半減していることを明らかにしたレポートが1934年に連邦議会に提出されました。今まで表現できなかった経済力という包括的な概念が数字で表現されたこと、その数字がたった数年で半減したと示したこと。これらは全米を騒然とさせるのに十分でした。

1942年にはアメリカ発のGNP統計が発表され、運用が始まります。1947年にはマーシャル・プランと呼ばれた欧州復興計画を遂行するため、少ない資源をより効率的に使うことを目標に、国連が中心となって経済測定のための基準が作られることが決まりました。これが1953年に開始した国民経済計算体系(SNA)であり、GDPの計測方法を纏まとめた体系です。

前のページ 1 2 3 4 5次のページ
寄稿の記事一覧をみる

記者:

ガジェット通信はデジタルガジェット情報・ライフスタイル提案等を提供するウェブ媒体です。シリアスさを排除し、ジョークを交えながら肩の力を抜いて楽しんでいただけるやわらかニュースサイトを目指しています。 こちらのアカウントから記事の寄稿依頼をさせていただいております。

TwitterID: getnews_kiko

  • 誤字を発見した方はこちらからご連絡ください。
  • ガジェット通信編集部への情報提供はこちらから
  • 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。
スマホゲーム タラコたたき