日本が人手不足なら、なぜ私たちの給料は増えないのか?(note)

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失業率が低すぎる国、日本

失業者は「労働力人口」に分類されます。ILOに準拠して述べれば、労働力人口に分類される人の中で、就業しておらず、就業する意思はあり、調査時点からさかのぼって数週間以内に仕事を探している人、その割合が失業率です。

完全失業率

年間を通して失業率を計測した1973年以降では、上の図6-7のように推移しています。

バブル崩壊以降、失業率は徐々に高くなり、2002年には最大5.4%まで上がりますが、それから少しずつ下がっていきます。2008年秋に起きたリーマンショックで、2009年には再び5.1%まで上がりましたが、以降は下がり続けて、3%を下回るまでになりました。

ちなみに3%以下という失業率は、国際比較するとかなり低く現れています。OECDが発表した2017年失業率国際比較は以下の図6-8の通りです。

OECD加盟国完全失業率国際比較

日本はアイスランドの次に低い結果でした。国によって法律、習慣など様々な事情も違うでしょうし、一概には言えませんが、日本は労働力人口に対する失業率が低い国なのは間違いないようです。

その理由として、労働者の解雇に対する規制が日本は厳しいから、失業者が出にくいという指摘もあります。が、OECDの調査によると、フランス、フィンランド、イタリアは日本よりも解雇規制が強いとされていて、「辞めさせにくいから」だけでは理由になりません。様々な要因が複雑に絡み合い過ぎていて、なぜ世界と比べて日本の失業率が低いのか、ひとつの原因だけでは説明がつかないでしょう。

失業率を良くするテクニックが使われている?

ところで、失業率3%という数字が怪しいと思っている人も中にはいます。実際は失業状態に等しいのに、就職活動期間を意図的に短く設定して非労働力人口に見せたり、補助金を与えることで社内失業者を就業者に見立てたり、数字上見かけを良くするテクニックを使っているから3%台なのではないかという批判もあります。

こうした声は世界的に起きているらしく、2013年10月に開催された第19回国際労働統計家会議において「労働力の十分な活用が行われているか」という議論が行われ、いわゆる「未活用労働」が注目を集めました(図6-9)。

未活用労働

特に重要視されたのが、追加就労希望人口(A)や、非労働力の中で仕事はしたいけど探していない潜在的労働力人口(C)です。見方を変えれば、(A)まで含めて余っている労働力ですし、(C)まで含めて本当の失業率です。両方とも、今まで見過ごされていた「隠れた労働力」です。

日本政府では、失業率という指標LU1 だけでなく、(A)を含めた指標LU2、(C)を含めた指標LU3 、双方含めた指標LU4を2018年5月から発表しています。こちらも国際比較をしてみましょう(図6-10)。

主要国の未活用労働指標

韓国やイタリアでは、潜在的労働人口は失業者数以上にいると分かりました。これが故意か偶然かはわかりませんが、実際の失業率が隠されてしまうと、その国の労働政策にも影響が出てしまうでしょう。

それにしても海外諸国と相対的に比較してみると、日本は未活用労働力も低いようです。つまり余っている労働力はあまり無いと言えるでしょう。

しかし、だからといって「本当の失業者数」が少ないとは限らないのです。

この章のまとめ

別の角度の数字を取り上げます。日本銀行が全ての規模の企業を対象として、企業の雇用人員判断DIを発表しています。これは雇用状況が過剰と答えた割合から不足と答えた割合を差し引いています。つまりマイナスに行くほど、人手不足という意味です。

データの計測が始まった1974年以降の推移は以下の図6-11の通りです。

雇用人員判断DI

2000年代を見て下さい。リーマンショックで一気にプラスに高く転じていますが、以降は下降し続けており、失業率と同じような傾向を示しています。

しかし、その内訳となると相当ばらつきます。リーマンショック発生直前から現在までのDIの推移で、もっとも下落している業種とそうではない業種は、以下の図6-12のように違います。

雇用人員判断DI内訳
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