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著しく短縮して語る著作権延長問題の歴史と、これからどうなり、何をしていくのか(骨董通り法律事務所)

著しく短縮して語る著作権延長問題の歴史と、これからどうなり、何をしていくのか

今回は福井健策さんのブログ『骨董通り法律事務所』からご寄稿いただきました。

著しく短縮して語る著作権延長問題の歴史と、これからどうなり、何をしていくのか(骨董通り法律事務所)

驚くほど淡々と、最後の60日間は始まった。

複数報道されましたね。前回報道より早まり、12/30をもって2016年の改正著作権法も施行され、日本の著作権は「死後70年」に、侵害は非親告罪となります(二次創作等は対象外)。
>TPP11、12月30日発効へ 6カ国が国内手続き終了:日本経済新聞 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO37155380R31C18A0000000/

2006年以来、一貫して関わって来た延長問題である。今後の記録として自分の目に映った延長問題の歴史、保護期間はどうなるのか、そしてこれから私たちに出来ることを記しておきたい。すっごく長くなりそうだから著しく短縮して。(関わった多くの方の名前も基本的に不記載です。ご寛容を!)

極端に短い著作権延長問題の歴史

15世紀
グーテンベルクが活版印刷術を発明

1710年
最古の著作権法といわれるアン女王法*1 がイギリスで施行。保護期間は原則「発行後14年又は28年」
*1:「The Statute of Anne, 1710 (1/6)」『The History of Copyright』
http://www.copyrighthistory.com/anne.html

19世紀末~
複製芸術の時代が進み、知的成果の複製と流通が爆発的に増大。著作権の存在感が高まり保護期間も長期化が始まる

1899年
日本でベルヌ条約加盟と共に、著作者の死後30年に保護を延長

1909年
米国で発行後28年(更新で56年)に延長

1971年
日本で死後50年に延長

1978年
米国で死後50年(古い作品は発行後75年)に延長

1993年
EUが統合に伴い、加盟国中最も長い死後70年に期間を統一

1998年
米国で死後70年(古い作品は発行後95年)に延長。激論となり、違憲訴訟の結果は7対2で合憲。以後、欧米は他国に延長要求を開始(日本には日米年次改革要望書に記載)
この前後ネット社会の本格到来を迎え流通コンテンツは更に爆発的に増大。著作権は「万人の法」となり、制度に不安を抱く声が増える

2006年
文化庁が延長検討を開始。慎重な立場のクリエイター・研究者・実務家などによって「著作権保護期間の延長問題を考える国民会議(後に同フォーラム)」(thinkC)が発足、賛否双方による連続ネット中継シンポや提言を続ける
発起人(肩書は当時)はこちら*2
*2:「著作権保護期間の延長問題を考えるフォーラム発起人」『著作権保護期間の延長問題を考えるフォーラム』
http://thinkcopyright.org/list.html

~2010年
文化審議会「保護利用小委員会*3 」と「基本問題小委員会*4 」は、賛否の論議を尽くした上で延長を事実上見送る。この間の経緯は林・田中編「著作権保護期間」(勁草書房)やこちら参照
*3:「著作権分科会 過去の著作物等の保護と利用に関する小委員会」『文化庁』
http://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/chosakuken/hogo/
*4:「基本問題小委員会」『文化庁』
http://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/chosakuken/kihon/

2011年
秘密交渉中のTPPでの米国提案による知的財産権条項が流出。内容は著作権保護の「死後70年又は発行から95年」化、侵害の非親告罪化など。同条項の解説は拙著「ネットの自由vs著作権」(光文社新書)やこちらも参照

12年12月
クリエイティブコモンズ・ジャパン、MIAU(インターネットユーザー協会)、thinkCによって「TPPの知的財産権と協議の透明化を考えるフォーラム」(thinkTPPIP)*5 が結成され、ニコニコ動画での連続シンポや政府への意見書提出、交渉会議や共同声明への参加等をおこなう
*5:『TPPの知的財産権と協議の透明化を考えるフォーラム』
http://thinktppip.jp/

この頃から
政府TPP交渉説明会に多数の知財関係団体が参加。政府は「延長問題と非親告罪化は重要な問題と認識しており、各国が激しく対立している」と説明

13年3月
米国議会で著作権局長が恐らく議会史上初めて、保護期間の部分短縮を提案*6
*6:「マリア・パランテはかく語りき―米国著作権局長による著作権法改正提言を全訳する」2013年4月 3日『骨董通り法律事務所』
https://www.kottolaw.com/column/000527.html

同6月
thinkTPPIPシンポに、青空文庫・富田倫生が生前最後の登壇。芥川龍之介「後世」を朗読*7 (1:42経過頃から)。8月、富田死去
*7:「【thinkTPPIPシンポジウム】日本はTPPをどう交渉すべきか ~「死後70年」「非親告罪化」は文化を豊かに、経済を強靭にするのか?」『YouTube』
https://www.youtube.com/watch?v=OsmeGmy0WuU

14年7月
各国有力NPOが連名で延長反対の国際声明*8
*8:「TPPによる著作権保護期間の延長に反対する国際共同声明の和訳公開と声明への参加の呼び掛け」『TPPの知的財産権と協議の透明化を考えるフォーラム』
http://thinktppip.jp/?p=383

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