ガジェット通信 GetNews

見たことのないものを見に行こう

体験を伝える―『ガジェット通信』の考え方

面白いものを探しにいこう 本物を体験し体感しよう 会いたい人に会いに行こう 見たことのないものを見に行こう そしてそれをやわらかくみんなに伝えよう [→ガジェ通についてもっと詳しく] [→ガジェット通信フロアについて]

ヘリコプターの下に人が数珠つなぎでブラ〜ン……でもこれが一番早い撤収方法なんです!

ヘリコプターの下に人が数珠つなぎでブラ〜ン……でもこれが一番早い撤収方法なんです!

 空を飛ぶヘリコプターの下に、ロープでつながれた兵士が数珠つなぎでブラ~ンと下がっている光景。これはアメリカ軍の訓練風景なのですが、彼らは何をしているのでしょう。ぶら下がって空中散歩?いえいえ、これは特殊部隊などが行う「素早い撤収」の訓練なのです。

【さらに詳しい元の記事はこちら】

 特殊部隊など、少人数で編成されたチームが素早く機動的に展開する方法のうち、ヘリコプターを使ったものをヘリボーンといいます。チームを構成する要員は複数のヘリコプターに分乗し、作戦目標へと移動(空中移動)します。

 作戦目標に到達すると、それぞれのヘリコプターから部隊が降機します。この時、周囲に敵対勢力の脅威がない状況であれば着陸することもあるのですが、ヘリボーンを行う場合はほとんどが相手の脅威(武力攻撃)を完全に排除できていないことが多く、ヘリコプターは着陸せず、何かあった場合には速やかに離脱できるように、空中で停止(ホバリング)して作戦に従事する部隊要員を降ろす(投入する)ことになります。これにも周囲の状況によっていくつかの選択肢がありますが、最も速やかに全員を降機させる方法は、直径4cmほどの太いロープを地上まで下ろして、兵士がそれを掴んだ状態で次々に滑り降りる「ファストロープ」と呼ばれる方法。人数にもよりますが、おおむね1、2分以内に全員の降機が完了します。




 そして任務を達成した部隊を撤収させるためには、どのような方法があるのでしょうか。余裕があればヘリコプターが着陸し、全員を収容して離陸することができます。しかし周辺の敵対勢力が襲撃に気づき、反撃してくる恐れがある場合や、ヘリコプターが降りられるような構造になっていない船舶での作戦の場合に選択されるのが、冒頭で紹介した「ファスト・エキストラクション・ロープ(Fast Extraction Rope)」というものを使ったシステム。見た目は降下の際に使用するファストロープのようですが、こちらの方には一定間隔でパーソネル・ループと呼ばれる輪が編み込まれています。通常はファストロープとセットで「ファストロープ・インサーション・エキストラクション・システム(Fast-Rope Insertion Extraction System=ファストロープを使った進入・撤収システム)」と呼ばれ、その頭文字をとってFRIESと略称されます。

 使用する際は、この輪の部分に各自のハーネスに取り付けられたカラビナを取り付け、自身とロープを連結します。先頭の兵士から順番に、ヘリコプターから垂らされたロープに自身を連結していき、チーム各自の体とロープがしっかりと連結され、ロープ本体もヘリコプターに連結されたことを確認すると、ヘリコプターはそのまま上昇。作戦地域から離脱します。この時、場合によっては地上から攻撃される恐れがあるので、釣られた兵士は携行火器を構えていつでも反撃できる状態を維持します。





 ロープの種類によっては兵士がひとかたまりに接続されるので、まるでミノムシのような状態になってちょっとユーモラスな光景です。陸上自衛隊の場合、ひとかたまりになるタイプを使用しています。


 そして敵対勢力の脅威が及ばない地域まで後退し、安全な状況で改めて全員がヘリコプターに乗り込み、拠点へと帰還するのです。降機する際は空中から次々と降りることができますが、乗り込むとなるとどうしても着陸する必要があります。このため収容に時間がかかってしまうので、その間に反撃を受ける可能性が高く、その危険を最小限にする最短の撤収法が、この方法なのです。一見ユーモラスに見えますが、実際に使われるのは命の危険に直面している場面。兵士たちの表情は真剣です。

Image:USMC/U.S.Army

(咲村珠樹)

関連記事リンク(外部サイト)

室屋義秀・佐藤琢磨・中上貴晶が「ジャパン・レーサーズ・スクワッド」を結成!&レッドブル・エアレース2018年を振り返る室屋義秀インタビュー
尾白鷲ファントム最後の日米共同統合演習「キーン・ソード」始まる
海上自衛隊の護衛艦に搭載予定 新型イージスシステムがミサイル迎撃に成功

おたくま経済新聞の記事一覧をみる
  • 誤字を発見した方はこちらからご連絡ください。
  • ガジェット通信編集部への情報提供はこちらから
  • 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。