秘境好き必見!標高5000m近い峠を越えていく、インドのザンスカールトレッキングが絶景すぎる

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秘境好き必見!標高5000m近い峠を越えていく、インドのザンスカールトレッキングが絶景すぎる

インドの最北端ジャンムー・カシミール州、ラダック地方。この地方には息をのむような大地と山岳地帯の絶景が広がっています。

その中でもさらに奥地に位置するのがザンスカールと呼ばれる地域。この地域には、より色濃く昔ながらの伝統的な生活が、残されています。

昔々からこの地に住む人々によって利用されてきた山道を行き、もっと奥地の村々を訪ね歩いてみたい。そして気がつけば、私はザンスカールへと続く山道を歩きだしていました。

 

ザンスカールって?

photo by Tomoya Yamauchi

インド北端ラダック地方のさらに奥地にザンスカールと呼ばれる地域があります。一番標高の低いところでも3500mの山岳地帯。雨が極端に少なく、一年中乾燥しています。冬の期間は長く厳しく、マイナス30度になるような気候です。

生物の存在をまるで感じさせない砂漠のようにも見える地肌むき出しの山々。ザンスカールこそ、本当の秘境地域。1979年、カーギル-パドゥム間にザンスカールで初めての自動車道ができたくらいです。

その他の地域を訪れるためには、現在でも厳しい山岳地帯の峠道を通過していかねばなりません。自動車が通行可能な道も建設されつつありますが、主な移動手段は徒歩。またはロバや馬を使って峠道を越えていく事になります。

photo by Tomoya Yamauchi

そして冬季には積雪で峠道さえも遮断され、ザンスカール地方は全く陸の孤島になります。そうなれば他地域に抜けるルートは「チャダル」と呼ばれる道しかありません。

「チャダル」とは、冬の寒さがもっとも厳しい1月中旬から2月中旬までの間に現れる氷の道です。山々の間を流れ込むザンスカール川が凍結し、その氷の上を歩けるようになるのです。

このアクセスの難しさもあり、訪れる旅人もまだまだ少ないザンスカール地方。そのおかげもあり、人々は大自然の中で伝統的な素朴な暮らしを続けています。

photo by Tomoya Yamauchi

ザンスカールトレックは、そんな地域を5000m近い峠をいくつも越え、美しい村々を訪ねながら歩いていきます。

 

トレッキングルートと必要日数

ちなみに上記の地図が私が歩いたザンスカールトレックのルートです。計算してみると歩行距離は180km、12日間の旅でした。

ツアーグループで行くとだいたい10日程かけて歩くようです。そしてその間の大量の食糧が必要なので、山岳ガイドに加えて馬やロバを雇って食料を運ぶことになります。

しかし私はもっと自由に、自分の好きなように歩きたかったので、単独で地図を片手にテントを担いで行きました。ルートもはっきりしていて、地図さえあれば迷うこともないと思います。

「お前は一人で歩いてるのか⁉︎」と驚かれることも何回もありましたが。

photo by Tomoya Yamauchi

大量の食糧が必要で荷物が重くなると思われるかもしれませんが、訪れる先々の村で少しお金を払えば、ホームステイさせてもらうこともでき、ご飯も食べさせてもらえます。実際に大自然の中でキャンプしたのは2日間だけでした。その他はホームステイか民家の庭にお願いしてテントを張らしてもらっていました。

中にはお金を払おうとしても、お金なんて必要ないよと言って下さる家庭もいて、親切なザンスカールの方々に感謝です。

 

トレッキング中の絶景の数々 5000mを近くを越えていく

photo by Tomoya Yamauchi

ザンスカールトレックでは、5000m近いいくつかの峠道を越えて行くことになります。ここではシルシルラ峠とシンギラ峠、その峠道で出会った絶景を紹介します。

 

シルシルラ峠 ハナプタからフォトクサル間

photo by Tomoya Yamauchi

まず紹介するのは「シルシルラ峠」です。この峠は、ハナプタ村からフォトクサル村の間にあります。

トレッキング3日目の朝でした。朝日がテントに差し込み、その光で目を覚まします。ハナプタからフォトクサルまでの距離は25kmほど。長い一日になりそうです。

ハヌプタからの道は徐々に視界が広がってきて、砂漠のような高原や雪を抱いた山を眼前にしながら歩いていきます。しばらく歩き続けていくと、大量の山羊を放牧している一家に出会いました。

photo by Tomoya Yamauchi

「ジュレー(こんにちは)」「今できたてのお茶があるけど飲んでく?」

もう2時間以上も歩いて疲れていたので、お言葉に甘えて一緒に休憩させてもらいました。どうやら以前にも日本人のトレッカーを家に泊めたことがあるみたいで、次回来るときはぜひ家に泊まるようにと言ってくれました。

こんな風に現地の人々とふれあいながら歩けるのが、単独トレッキングの魅力の一つ。お茶を頂いて一服した後には、シルシルラ峠への坂道が続きます。

うねうねと曲がりくねったトレイルを、高度のせいで息を切らしながらゆっくり登っていきます。ついにシルシルラ(4800m)に到達すると広がる絶景。山の頂上ではなく、峠道で4800mもあるなんて。

photo by Tomoya Yamauchi

photo by Tomoya Yamauchi

景色も良いのでしばし休憩。峠道には高く積まれた石塔と願いをのせたタルチョ(祈祷旗)がたなびく。眼前には荒涼とした大地が広がっており、奥には翌日越えるであろうシルシルラ峠が見えています。

まるで砂漠のように見えるこの土地にも生命が。近くに可憐に咲く白い花を見つけました。またこの辺りでは、まるで鳥が鳴いているような独特の鳴き声を持つマーモット達も。

photo by Tomoya Yamauchi

マーモットは岩場の上に登って、警戒するようにこちらを見ています。少し近づいたら岩の下に隠れてしまいます。そんなマーモットを片目に、峠道からゆっくり下って行くと、フォトクサルが見えてきます。

 

シンギラ峠 フォトクサルからリンシェ間

photo by Tomoya Yamauchi

次に紹介するのはシンギラ峠です。今回のトレッキングの中で一番高い5000mもある峠道。

フォトクサルからゆっくり高度を上げながらしばらく歩いていると、美しいシンギラ峠が見えてきます。ここからは前方に見える峠道を目指して、楽園にきたような美しい景色の中を歩いていきます。

photo by Tomoya Yamauchi

上記の写真の中で双方の山に挟まれた中央部分がシンギラ峠で、標高は5000mです。

しばらく歩いていると、川を越えて対岸に渡らないといけない場所に出ました。ここはまだそれほど川が深くなかったので、ズボンをまくって、サンダルに履き替えて越えていきます。雪どけ水なので、水温が低くめちゃくちゃ冷たい!

川を越えると、うねうねと曲がりくねった道をたどって標高を上げていき、シンギラ峠へ到達。山の先には山、そしてまた山。いったいどこまで続いているんだろう。

photo by Tomoya Yamauchi

峠で景色を楽しみながら少し休憩して、今夜キャンプできる場所を探しながら峠道を下っていきます。すると前方からベルがリンリンとなる音が聞こえてきました。

前方からロバに荷物を括り付けた小隊が登ってきます。この辺りは車では入ってくることはできません。このように動物に頼って、荷物を運んでいます。

photo by Tomoya Yamauchi

まだまだザンスカールやラダックには車道が整備されていない場所がたくさんありますが、整備されれば徐々にそこに暮らす人々の暮らしも変わっていくのでしょう。

峠道をしばらく下り、今日のキャンプ地候補を発見。雪解け水が流れる小さな川もあるし、何より景色がいい。近くの川で顔を洗って体をふいて、テントを設置します。

photo by Tomoya Yamauchi

昨日フォトクサルで調達したパンや缶詰、ビスケットを頬張りながら、ただただ景色と一人だけの静かな時間を楽しみます。眠りにつく頃には満点の星空が夜空に輝いていました。

その翌朝のこと、気持ちいい景色の中を歩いていると放牧されているヤクに出会いました。ヤクは牛に似ているけれど、毛がもさっと長いのが大きな特徴です。

photo by Tomoya Yamauchi

photo by Tomoya Yamauchi

ヤクはザンスカールでも大切で重要な家畜。人々はヤクと共に穀物を脱穀したり、土地を耕したり、荷物の運搬をします。そして乾燥させたヤクの糞は、圧倒的に木の少ないこの地方で唯一の燃料になるのです。

美しい秘境の村々にホームステイしながらトレッキング

photo by Tomoya Yamauchi

トレッキングのルート上には、大自然の中に点在する美しい村々を訪れることができます。厳しい環境の中で限られた居住可能な土地。ここではその中でもフォトクサル村とリンシェ村をご紹介します。

 

崖ギリギリに美しく存在する村 フォトクサル

photo by Tomoya Yamauchi

シルシルラ峠からゆっくり下りながら、しばらく歩くとフォトクサルが見えてきました。荒々しい山をバックに、崖に沿って家が建てられています。

何て美しいところなんだろう。フォトクサルの標高は4100m。山岳地帯のザンスカールの村では耕作地として使える平らな場所が限られています。そのため農業に使えない崖近くの斜面に家を建てるのだと思われます。

photo by Tomoya Yamauchi

畑があるエリアを歩き回ってみると、山から流れてくる雪解け水がどの畑にも届くように、水路がうまくはりめぐされています。限られた水を農業に有効に使う先祖代々の知恵。

村の畑を歩き回ってみると、大麦などが順調に育っていて、茶色の大地に映える緑が美しい。

川があって、花が咲き乱れ、良いところだなあ。これまでの荒涼とした大地からは考えられません。今まで見てきたザンスカールの村もそうですが、村がうまく自然に溶け込んでいるように見えます。

photo by Tomoya Yamauchi

村人の暮らしもそうで自然の恵みと一緒に生きています。ここに何十年も暮らすとどんな気持ちになるだろう。この村では民家に頼んで、使っていない耕作地にテントを張らせてもらいました。

photo by Tomoya Yamauchi

このように各村ではテントだけどこかに張って、お金を少し払いホームステイでご飯だけ食べさせてもらうことも可能です。

 

現在まで続く伝統文化 リンシェ村

photo by Tomoya Yamauchi

リンシェに到着し今夜の宿探しに民家を訪ね歩いていると、ロブザンという青年に出会いました。彼はジャンムーという都市で学生をしており、ちょうど休暇で故郷に帰ってきているそうです。彼がこころよく実家に迎えてくれました。

リンシェ(4100m)は山に囲まれた盆地にあります。斜面の緑に輝く畑が美しく、その中に家がぽつぽつと建っています。この村が気に入ったのと、少し疲れていたので数日の間村に滞在することにしました。

photo by Tomoya Yamauchi

ロブザンと話をしていると彼は休暇で故郷に戻ってきていますが、この時期は多くのトレッキング客がザンスカールやラダックを訪れるため、山岳ガイドとしても働いているようです。

村の一番高い場所には由緒あるゲルク派の大きなゴンパ,リンシェ・ゴンパがあります。ダライ・ラマも何度か訪問されたことがあるようです。

そして私が滞在していた日はたまたまダライ・ラマの誕生日なのでした。村人みんなで祝福するようなので、私も参加するよう招待を受けました。

photo by Tomoya Yamauchi

まずは子どもたちとダライ・ラマの写真を持って、村中を歩き回ります。学校のために遠くの村から来ている子どもも多いそう。学校には寮があり、小学生の時から子どもたちは親元から離れ、そこで暮らしています。

村中を歩き回った後は、リンシェ・ゴンパへと向かっていきます。ゴンパの前では村人達が待っていて、我々とダライ・ラマの写真の到着を祝福します。

photo by Tomoya Yamauchi

photo by Tomoya Yamauchi

ゴンパではバター茶やお菓子が村人に振る舞われ、僧によるお経やスピーチなどがスタート。 眺めの良い屋上から誕生日のお祝いを見守る人もいました。

このリンシェ・ゴンパは500年の歴史があります。それから毎年ここで同じように彼の誕生日を祝福してきたのでしょうか。

photo by Tomoya Yamauchi

photo by Tomoya Yamauchi

村を歩いているとここではまだ伝統が息づいているのがわかります。リンシェに住む村人は日干しレンガの家に住み、大麦、小麦、豆を主産物とする農業とヤギ、ヤク、ゾーを中心とする牧畜で生活しています。

家畜からはミルク、バター、ヨーグルト、チーズを入手し、その毛や毛皮は衣類や靴、紐に。家畜の糞は乾燥させて燃料にします。村では現在でも伝統的な方法で衣類が作られていました。

photo by Tomoya Yamauchi

photo by Tomoya Yamauchi

またリンシェではコミュニティで協力して放牧が行われています。毎日交代で放牧を担当する者が、朝のうちに村人の山羊やヤクなどの家畜をまとめて放牧地に連れて行き、夕方に連れて帰ってくるのです。

photo by Tomoya Yamauchi

ちなみに写真の中の女性で動物の皮を腰に着けている女性は既婚、着けていない女性は未婚ということのようです。

山の向こうに家畜が戻ってくるのが見えてきました。のんびり帰ってくるのか思いきや、ヤギがドォーーーっと群れになってひとまとめになって戻ってきました。土が乾燥しているので砂ぼこりがブワァーっと立ち込めて、ゴホゴホとせき込まざるをえません。

photo by Tomoya Yamauchi

どうやって判別するのか不明ですが、村人たちは自分の家畜を上手く見つけて分けていきます。そして、それぞれ順番に家に連れ帰っていくのです。

photo by Tomoya Yamauchi

このように伝統的なザンスカールの生活は、コミュニティに住む者同士で助け合って成り立っています。ザンスカール地方の厳しい環境に適した適した農業や牧畜、様々な知識や技術が現在の世代まで継承されてきたのでしょう。

 

おわりに

photo by Tomoya Yamauchi

ザンスカールトレックの一部をご紹介させていただきましたが、いかがでしたでしょうか。10日間以上のトレッキングは大変なように思われるかもしれませんが、本当に美しい場所で絶対に行って後悔することはないでしょう。

様々な場所を旅してきましたが、世界中でも最も美しい場所の一つです。ぜひ訪れてみてください。

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