理系学習マンガは誰を先生役にし、誰を生徒役にしてきたか。-NHKキズナアイ騒動をうけて(銀河孤児亭)

「マンガでわかる物理 力学編」2006年11月1日『amazon.co.jp』
https://www.amazon.co.jp/dp/4274066657/?tag=hatena_st1-22&ascsubtag=d-1oof3d
2006年11月出版。オーム社の「マンガでわかる」シリーズは他にも「電磁気学」や「熱力学」などがあるのに何故本書が「力学」でなく「物理[力学編]」となっているかというと、あくまで高校物理の力学範囲の内容だから。ちなみに2006年に本書は出ているのだが、その後、高校物理第2弾の物理[光・音・波編]が刊行されるのは何故か2015年まで待たされる。いくつかある本シリーズの謎の1つである。
内容はテニス部の女子高生が、冴えないガリ勉男子に教えを請う構図。という訳で先生役男キャラ、生徒役女キャラ。ちなみに作画は「恋愛☆SLG」の高津ケイタだ!(知らんとか言うな)

「マンガでわかる電気」2006年12月1日『amazon.co.jp』
https://www.amazon.co.jp/dp/427406672X/?tag=hatena_st1-22&ascsubtag=d-1oof3d
2006年11月出版。
内容は、電気の国エレクトピアで生まれ育ったレレコが、日本に電気について学びに来るという内容。ここに来て生徒役の主人公はまさかの異世界から来た女の子。所謂「落ちもの」という飛び道具がかまされる。先生役のヒカル先生は成人男性。落ちもので何らか学ぶ系の漫画なら普通はヒロインの方が先生役ではないかと思うが、この漫画では逆。しかしこのヒカル先生、電気系の研究者らしいが一貫して白衣姿。電気系ならせめて作業着ではなかろうか。

「マンガでわかる分子生物学」2008年1月1日『amazon.co.jp』
https://www.amazon.co.jp/dp/4274067025/?tag=hatena_st1-22&ascsubtag=d-1oof3d
2008年1月出版。
出席日数の足りない女子大生2人が何故か孤島で補講を受けるという内容。授業担当は老人教授だが、実際に直接先生役をするのは助教だか院生だかの若い男性。最後にちょっとだけSF染みたオチがある。という訳で先生役男キャラに生徒役女キャラ。

「マンガ 物理に強くなる―力学は野球よりやさしい (ブルーバックス)」2008年8月21日『amazon.co.jp』
https://www.amazon.co.jp/dp/4062576058/?tag=hatena_st1-22&ascsubtag=d-1oof3d
2008年8月出版。7年の時を経て、鈴木みそ先生のブルーバックス学習漫画第2弾が刊行。
内容は化学とは逆の男女配役で、野球部員の男子高校生が生徒役で、優等生タイプの女子高生が先生役で高校物理について学んでいる。2冊目ということでこなれたのか、個人的には化学式より日常会話から物理学の話への繋げ方が洗練されたように思う。その分逆に「何でもかんでも化学の話に無理矢理にでも持ってく化学バカ」のようなキャラのアクの強さは薄れて、キャラ魅力は落ちたかも?

「マンガでわかるシーケンス制御」2008年10月1日『amazon.co.jp』
https://www.amazon.co.jp/dp/4274067351/?tag=hatena_st1-22&ascsubtag=d-1oof3d
2008年10月出版。本当に何故このテーマが選ばれたのかサッパリ分からないのだが、ここに来てさらにマイナーなシーケンス制御。せめて制御工学ならまだ理解できなくもないのだが、何故いきなりシーケンス制御……。この辺、「統計学」からスタートしたり、「データベース」が初期に刊行されたりしてる所を考えると、実は元々は社会人向けを強く想定していたのではないかと予想したり。
先生役はアパートに引きこもって生活する若い女性大家で、生徒役はそこの住居人の男(大学生のように見えるがどういう社会的立場の人間かは明示されず)。そこだけ聞くと、この配役でどうやってシーケンス制御の話をするのかと疑問に思わされるが、アクロバットな論理展開でそこそこスムーズに導入を描いていて結構面白い。ヒロインの巨乳+ストレートロング+ジャージというビジュアルは、絵柄の好みも相まって個人的には結構お気に入りである。

「マンガでわかる宇宙」2008年12月1日『amazon.co.jp』
https://www.amazon.co.jp/dp/4274067378/?tag=hatena_st1-22&ascsubtag=d-1oof3d

記者: 寄稿
ガジェット通信はデジタルガジェット情報・ライフスタイル提案等を提供するウェブ媒体です。シリアスさを排除し、ジョークを交えながら肩の力を抜いて楽しんでいただけるやわらかニュースサイトを目指しています。 こちらのアカウントから記事の寄稿依頼をさせていただいております。
TwitterID: getnews_kiko