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理系学習マンガは誰を先生役にし、誰を生徒役にしてきたか。-NHKキズナアイ騒動をうけて(銀河孤児亭)

私がこれを読んだのは確か高2の夏だったと記憶しているが、初めて読んだ時はかなり衝撃的だった。歴史漫画や雑学系などはともかくとして、これまでこうした学校の授業内容を追いかけるタイプの学習漫画と言ったら、「漫画」としては正直「毒にも薬にもならない」程度の内容だと思っていたので、絵柄は勿論、女の子の方がギャルでラブコメストーリーとしても面白い、というのは全くの予想外だったのだ。2001年当時としてはまだかなり異端だったと思う。
配役は先生役に「理系男性」、生徒役に「理科嫌い女子」とで、千田女史らが怒り狂うであろう典型的なジェンダー配役。

立て続けにブルーバックスから2冊紹介したが、ここからしばらくブルーバックスから漫画本の出版は見られなくなる。その間に現れたのがオーム社の「マンガでわかる」シリーズだ。

マンガでわかる統計学

「マンガでわかる統計学」2004年7月1日『amazon.co.jp』
https://www.amazon.co.jp/dp/4274065707/?tag=hatena_st1-22&ascsubtag=d-1oof3d

2004年7月出版。オーム社「マンガでわかる」シリーズの記念すべき第1弾。「統計学」というちょっと第1弾にしては変化球気味な題材は、実はシリーズ化する予定は本来無かったのだろうかと考えさせられる。
内容は上記の「化学式に強くなる」と多少似ており、数学苦手めな女子高生がイケメン目当てで統計学に興味があると言って家庭教師を頼もうとする話。が、実際家庭教師に現れたのは目当てのイケメンでなく瓶底メガネの冴えないオタク男で…という内容。学習漫画としては種々の分布関数を紹介するあたりから「初心者が漫画で学ぶ」という目的からしたら結構説明が苦しくなっているのだが、これは本の問題と言うより統計学の宿命と言った所。

表紙を見て分かる通り、かなり今風で萌え絵寄りな絵柄(と言っても10年前の漫画なのだが)。「大学レベルの数学を学習漫画の形式で」というコンセプト自体が当時としてはかなり珍しかったのだが、そこに堂々と一般的な漫画雑誌でも見かけるような可愛い萌え絵を載せてくるという手法は学習漫画界的にかなり革新的だったと思う。
ただまあ、当時はこの前年に「もえたん」も発売されており、何というか、アレもコレも全部萌えキャラ化じゃあ的な雰囲気の萌芽を日本全体あちこちで見かけていた頃でもあり、「とうとうこのレベルの理系本にまで」という気分もあった。
で、当然配役は先生役が男キャラ、生徒役が女キャラ。

ちなみにシリーズ第1弾である統計学は、この後「回帰分析編」「因子分析編」と続編が続き、キャラも継続して出演しているそうなのだが、そちらの方は残念ながら未読。

偉人と語るふしぎの化学史 化学法則が生み出されるプロセスを追体験する

「偉人と語るふしぎの化学史 化学法則が生み出されるプロセスを追体験する【電子書籍】[ 松本泉 ] 」『はてなキーワード』
http://d.hatena.ne.jp/rakuten/rakutenkobo-ebooks/15508744

2005年1月出版。「しばらくブルーバックスから漫画本は出ていない」と言ったが、これは漫画でなく小説形式。ただ表紙を見てもらえば分かる通り、ラノベ的なものを志向しているのは明らかで、挿絵も豊富なのでこちらも番外編的に紹介しておく。
内容は歴史系の定番の所謂「時間旅行モノ」。案内役が男性教師、生徒役は女子高生と男子高校生が一人ずつ。

ところで、元の騒動ではジェンダーギャップとして「先生役が男性で聞き手が女性」というステロタイプが批判された訳だが、実は生徒役に男女両方が配置された場合のステロタイプというのも多少あって、概ね女の子の方が真面目で勉強ができるタイプ、男の子の方が勉強嫌いで奔放なタイプが配置されやすい。本書はまさにそういったキャラクター設定で書かれている。
こうしたステロタイプもこれはこれで「女の子は大人しくしていなきゃ」という抑圧の現れとも取れるし、「男の子なんて基本バカ」という偏見の現れともとれるのだが、その辺もやはりジェンダー学的には批判対象なのだろうか。

マンガでわかる微分積分

「マンガでわかる微分積分」2005年12月1日『amazon.co.jp』
https://www.amazon.co.jp/dp/4274066320/?tag=hatena_st1-22&ascsubtag=d-1oof3d

2005年12月出版。オーム社「マンガで分かる」シリーズ第2弾(正確には統計学回帰分析編が挟まるので正確には第3弾)の微分積分。同時発売に「データベース」があるのだがそちらは未読。
テーマが微分積分の割に舞台は新聞社で登場人物は皆社会人。会社の先輩後輩がそのまま先生役と生徒役。先生役は男性で生徒役は女性。登場人物を反映してか、内容も高校や大学の数学と言うより、実社会での実用例をふんだんに交えた「社会人向けの学び直し」の雰囲気を感じる。

「マンガでわかるフーリエ解析 」2006年3月1日『amazon.co.jp』
https://www.amazon.co.jp/dp/4274066177/?tag=hatena_st1-22&ascsubtag=d-1oof3d

2006年3月出版。今もって謎なのだが、何故「統計学」「微分積分」と来て次に来るのが「フーリエ解析」だったのだろうか? 著者の執筆速度の問題なのかは分からんが、このアクロバットな出版順には当時もかなり驚いた。
ここに来て絵柄が完全に萌え漫画のそれになったのがハッキリ分かる。内容もけいおんブームを先取りしたかのようなJKガールズバンドもので、実際きららの雰囲気を強く感じる。
ここで遂に先生役に女キャラが配役された作品が登場。先生役もJK、生徒役もJK。主人公フミカの幼馴染のイケメン男子が序盤から登場するのだが、主人公とラブがコメるかと思いきや、女3人の友情の噛ませ犬化しており、この辺も百合人気を先取りした感があって面白い。

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